幾何回転体の加工素材を板材でなくムク材で作ってみようとまずは垂木の端材で作ってみたのが先日の事だ。角材なので二面に投影図を描いて鋸で荒取りしサンダーで形を整えオービタルサンダーで曲面を仕上げたのだった。これはこれで思っていたよりスムーズに終わって、こうなると何時もの如く暴走が始まる。出来が悪ければ今度は「もう一度」となるのがお約束だから、どちらにしても面倒な性向なのである。
一夜明けない丑三つ時「そうだ丸棒から作ってみよう!」と「ビビビッ」と覚醒してしまい、その手順を考えつつ朝を迎えてしまったのだった。丸棒は杭の断材を使う事にしたのだが角材のように平面では無いので罫書き線をどうして描くかが難題だった。工場ではVブロックとトースカンで中心線を書き出せるのだが生憎そのような道具は無い。つらつら考えて杭棒の外周面を用紙に展開し、そこに四等分線と円弧の頂点を書き込んで移す事にした。これは上手くいってさっそく加工に入る。
この日の予報は「昼間は曇り、夕刻から雨」だったけれど朝には路面が濡れていたからフイールドは休みにして朝食後から直ちに工作を開始する。まずはオロイドの中心間を√2×Rの物を製図して鋸で荒取りしサンダーで大まかな外形を削りだした。仕上げはオービタルサンダーを平面に見立て、そこに未完成の部材を転がすようにして研磨を進める。この方法だと実際に転がり運動をさせながら仕上げていくので齟齬が少なくなるはずだ。表面仕上げはスポンジブロックで磨き荏胡麻油で塗装して一丁上がり。転がしてみればそこそこ転がるけれどやはり薄板仕立ての様な「おいおい、止まらんかい!」と言うほど転がらない。木目や加工精度、あるいは木質部の密度差などで微妙なバランスの乱れは生じるから気持ちよく転がらせるには微調整が必要なのだろう。ここまで仕上げて間違いに気が付いたのだった。
もう「あっれまあ!・・・」なのである。その間違いは円弧の中心間寸法が何故か不足していたのだった。正確な数字は書き出してあったのだが材の長さが短くなっていたのである。結局、新たに正しい寸法で作り直しになり、再度同じ工作を行う。正午ギリギリに完成して漸く一段落したのだが材料の残りはあるし道具も広げたままだったし軒下工作が出来ないほどの雨では無いのでスフェリコンも試作する事にした。必要な材の長さが短くなるだけで加工方法は同じだから意外に早く完成する。転がしてみればそつなく転がるけれど薄板作りより動きは不足だ。しかし木目の美しさと握った感覚のほっこり感は薄板仕立てには無い良さがある。で結局「むくの回転体は見本に用意して置き、量産には薄板仕立て」にするのが妥当と判断したのだった。
ネットの関連記事を検索すると「角材から削り出し」が丁寧に解説してあったけれど小生には削り出す部材のイメージが作り難く、結局はこの方法にした。この方法なら最初からナイフで削り出しして指の豆を潰す事も無いし出来上がりも想起し易く二辺ある円弧部には3カ所の目印を打つし、これを結べば円弧の先端になるので削り過ぎも防げるだろう。ただ手持ちで電動工具を使うから慣れていないと危ない。
出来栄え点も加工満足度も合格点だったから祝着至極・執着地獄の両方を味わったのだが「越後の生まれか⁉、それはそれはまずは寿司喰いねえ…」なんて石松さんもおらん孤爺ではスーパーの助六寿司を買って食べるのが関の山だなあ。今日は寒空だし出かける気にもならず「そうだ!ソーイングにしよう」。何を目論んでいるかと言うとキルトでローブカーディガンの大作に挑戦するのだ。