木を愛し、土に親しみ、犬と戯れ、思いつくまま気ままに発信、知る人ぞ知る「山章工房」のブログです。
山章工房の木土愛楽(きどあいらく)




2日続けていい天気でした。
ブログも2日続けて漆喰壁の話です。
今日は、施工上のポイントを上げたいと思います。

 1.段取りと道具洗いが肝心
左官仕事は石灰類の粉状にしたものに
水を加えることで、初めて利用できます。
練られた石膏(プラスター)は、水が混入された瞬間から
練られた漆喰は空気にふれた瞬間から硬化が始まります。
材料を練り上げて一番最初にすることは何か?
とりあえず使わないものをすべて洗います。
また、練る最中に回りに飛び散った汚れを洗っておきます。
固まってからでは落とすことはできなくなります。

2.養生をしっかりやること
養生とはいろいろな意味がありますが、
この場合は、塗り作業をする箇所以外は
塗り物が付かないようにように
しっかりカバーをすることです。
1.同様固まってからでは遅すぎます。
マスカーテープを使うのが便利です。

ここまで準備できたらいよいよ塗りの作業です。

3.練り物は柔らかいほどよい
下地塗りのプラスター(石膏:商品名「Bドライ」)
仕上げの漆喰(商品名「城かべ」)
いずれも水と練り合わせるわけですが、
最初は袋に指定された水量を入れます。
私も最初は規定どおりで練っていました。
しかし、職人さんに言わせれば
「材料は柔らかければ柔らかいほど良い。」
理由は鏝伸び(こてのび)がよく、仕事がやりやすい。
規定に水量よりも1~2割増しの加水になります。
漆喰で言えば、ちょうど色も柔らかさも
木工ボンドを想定して練り上げてください。
柔らかいので、壁に着かず落ちる可能性も高くなります。
だから、2.に戻って養生が大切になるのです。
また、セメント、漆喰、石膏いずれも「賞味期限」があります。
古いものは、空気や湿気に触れることにより、
すでに硬化が始まっています。
柔らかく練りたくて、水を加えてもなかなか柔らかくなりません。
また、塗った後の乾燥(「水引」)も速く、伸ばしにくくなります。
今回私が使用したのは2年前の資材。
(賞味期限は普通は製造日より半年)
ベテラン職人の石田さんも
「これは古くて水引が速くて大変だ」と嘆いていました。
材料は鮮度の良いものを使いましょう。

4.チリが美しさの決め手
「チリ」とは1枚の塗装面の一番はしっこを言います。
普通は柱や鴨居、見切り縁などの木材で仕切られる場所です。
塗りおえたらまずやることが、
チリに着いた塗り物(汚れ)を「チリホウキ」に
水をつけて洗い落とすことです。
「チリホウキ」は、腰の強いペンキ塗り用のハケを使います。

5.新たに材料を練る時には、古い材料とは混ぜない
何坪も塗る時には、何度も「タル」「フネ」で材料を練ります。
その時には前の少し残っていた材料と
新しいものは一緒にしない。
「タル」「フネ」をきれいに水洗いします。
理由は古いものはだまになりやすく
新しく練ったものの「鏝伸び」の妨げになるからです。

以上の5点が初心者が気をつける漆喰壁の作業上の注意です。
書いてあるほど簡単ではありませんが、
挑戦してみてください、何とかなるものです。



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