年末恒例の藤山直美の「年忘れ喜劇特別公演」を新橋演舞場に観に行った。
彼女の芝居は二月以来で、昨年末の「清&直美」から早いものでもう一年が経った。年末の彼女の芝居は私にとって恒例行事となりつつある。(ポスターはどこかの何とか一座のようだ。)当日は開演時間ギリギリに席に着く。後ろのおば様がご友人に「小さな『ゅ』は何回か押すと・・・」とメールの変換方法を色々と説明し、隣のご年配のご夫婦は奥様の酸素ボンベ?の警告音を止められずあたふたしている中、一幕目の「銀のかんざし」が始まる。お父上である藤山寛美も演じた作品で舞台には奥行きがあり、非常に華やか下町の風情を表現していた。二幕目は「戸の様茶店の恋日和」は直美が三役、フットボールアワーの後藤似の坂東薪車が二役を演じる。彼の醍醐味のあるかなり長時間の立ち回りが続いた為、直美の登場シーンは非常に限られたものだった。
今回は喜劇と言うよりも人情劇の趣のある演目ばかりだったので大笑いではなくしみじみ・ほのぼのした約三時間であった。そして今年も暮れて行く・・・
一、銀のかんざし
舘直志 作
浅香哲哉 演出
時は大正の末、髪結いの姉さん女房を持つ清之助は、文字通りの左うちわで終日のらりくら り。さりながら、この年上女房のおかつは気が強い上に、この上ない焼き餅焼きときているから、清之助の行く末を案じる大家の本田などはやきもきしていま す。そこで清之助を働きに出そうと、二人を別れさせる事になったのですが…
二、殿様茶店の恋日和
舘直志 作 『駕や捕物帳』より
佐々木渚 脚本
浅香哲哉 演出
ご城下はずれの茶店に、嫉妬深い奥方藤江から逃れた領主前田能登守(のとのかみ)がお忍びで現れ、茶店の娘おはなに一目惚れしてしまいます。折から、城下を荒し回った兇盗の首領赤鞘主水(あかざやもんど)の賞金が懸かった人相書きが、あちこちに貼り出され、こ れを見た駕かき二人はお殿様と赤鞘主水がソックリで勘違いしてしまいます。そこへ役人に追いつめられた赤鞘主水、さらに女盗賊おりょうまでこの茶店に現れ たから、さあ大変…