渋谷のコクーンシアターで「切られの与三」を観た。
【みどころ】1994年の誕生以来、とどまることなく進化を続ける「渋谷・コクーン歌舞伎」。古典に新たな風を吹き込み、劇場空間には熱気が満ちあふれ、これまで数々の話題作を生み出してきた。
第十六弾となる今回、コクーン歌舞伎に待望の新作が登場。美男美女が別れと再会を繰り返す江戸世話物の人気作『与話情浮名横櫛』が、まったく新たな演出で生まれ変わる。串田和美の演出・美術、木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎主宰)の補綴で、古典と現代を融合させる新しい挑戦が今ここに始まる。出演は与三郎に中村七之助、お富には今回がコクーン歌舞伎初出演の中村梅枝、そして中村扇雀をはじめ、片岡亀蔵、中村萬太郎、中村歌女之丞、中村鶴松、真那胡敬二、笹野高史。奇遇な出逢いを繰り返す与三郎とお富、その因果の渦に巻き込まれ、運命に翻弄される周囲の人々、それぞれの生き様を描いた疾走感あふれる『切られの与三』。存分にご堪能ください!
私にとって2011年6月以来、7年ぶりのコクーン歌舞伎である。その時の演目「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)がとても素晴らしかったので、今回も楽しみに劇場へと向かう。
立見が出るほどの賑わいの館内は熱気でムンムンしており、若い観客が目立った。
私の好きな七之助はこの日も実に妖艶で、ピアノ・ベース・トランペットの生演奏や、今回も「雨」の演出がとても素晴らしく、花道のないコクーン名物?である観客席内を縦横無尽に練り歩く演出も健在だった。幕間も10分、20分で気が付けばあっという間の約2時間半だった。
運命とはいつだって数奇なものなのである。