黒澤明生誕百年を記念し、放映されていた映画「羅生門(1950年公開)」を観た。
【解説】世界にクロサワの名を知らしめた歴史的作品。原作は芥川龍之介の短編「藪の中」。平安時代、都にほど近い山中で貴族女性が山賊に襲われ、供回りの侍が殺された。やがて盗賊は捕われ裁判となるが、山賊と貴族女性の言い分は真っ向から対立する。検非違使は巫女の口寄せによって侍の霊を呼び出し証言を得ようとする、それもまた二人の言い分とは異なっていた……。豪雨に浮き立つ羅生門の造形美、立ち回りシーンの迫力、生き生きとした役者たちの演技などすべてが印象深い作品。ベネチア国際映画祭でグランプリを受賞した、黒澤明の出世作である。米アカデミー協会の全面的バックアップを受け、映像とサウンドを修復した「デジタル完全版」が2008年に公開された。
三者三様の言い分が違うのは劇中の台詞のように「自分勝手な言い訳」であって、現代まで通ずる人間の業なのかも知れない。個人的には巫女の言い分が一番興味深い。
88分という非常に短い作品でやたら大雨の羅生門と華麗ではない立ち回りがやたら印象的だった。