先日新聞で「自死遺族で悩み共有広がる」との記事。
自死とは自殺のことのようである。記事の中で賃貸アパートで自死したケースが掲載されており、管理業者が火葬場に来て、家賃5年分と改修費の計800万円を請求されたり、アパート全体の建て替え費1億2000万を請求された事例が挙げられていた。支援グループの弁護士さん曰く「1~2年の家賃は認められ、建て替え費などの過剰な請求は認められない判例が多くなっている」とのこと。また葬儀を拒否されるケースや通夜・葬儀中に警察に何度も呼び出される・・・等々が全国であり、記事の最後は「病気なとに比べ、自死が疎まれ、遺族に対する差別意識が生まれている背景」と結んでいた。
記事にある火葬場での管理会社の家賃請求についても、火葬場まで行かざるを得なかった管理会社の背景を考えてみると、もしかして遺族のそれまでの対応にも何かしらの不誠実な部分がなかったのだろうか?と思ってしまう。普通はそこまではやらないだろうと信じたい。
当社では心理的瑕疵物件は過去にも数件あるが、すべて自然死・病死でまだ自殺物件はない。当然「自然死」と「自らの意志がある自殺」とは管理会社としては対応がかなり異なる。先日も瑕疵物件の成約があった。室内で倒れられ、病院へ搬送されてお亡くなりになったケースであったが、死亡診断書上の死亡場所は室内となっていたので、それを告知した上で成約となった。私自身このケースが心理的瑕疵があるとは思えないが、法的に明確でない以上は告知すべきである。ただ今回はあくまでも病死であるが、もしこれが自殺となれば私も入居希望者さんも対応や反応は明らかに異なる。
そもそも以前も書いたように告知義務の範囲が今も不明確な点がまず第一の課題である。記事では政府もようやく乗り出し始めたようで、厚生労働省によると「関係省庁や自治体の協力がまだ得られていない」とまだまだ時間が掛かりそうであるとあるが、ただそれはあくまでも昨夏に閣議決定した「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して」とした自殺総合対策大綱の話である。自殺ではあるが大綱が決まれば、自然死・事故死等についても準ずるようになるだろう。まずは死亡原因の区分「事故死・自死・自然死」の区分分けが先決だと思うのだが、それにしてもやはり自殺の罪は重いと思う。