公開中の映画「侍タイムスリッパ―」を観に行った。
【解説】現代の時代劇撮影所にタイムスリップした幕末の侍が時代劇の斬られ役として奮闘する姿を描いた時代劇コメディ。幕末の京都。会津藩士の高坂新左衛門は家老から長州藩士を討つよう密命を受けるが、標的の男と刃を交えた瞬間、落雷によって気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。新左衛門は行く先々で騒動を起こしながら、江戸幕府が140年前に滅んだことを知り、がく然とする。一度は死を覚悟する新左衛門だったが、心優しい人たちに助けられ、生きる気力を取り戻していく。やがて彼は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩き、斬られ役として生きていくことを決意する。テレビドラマ「剣客商売」シリーズなど数々の時代劇に出演してきた山口馬木也が主演を務め、冨家ノリマサ、沙倉ゆうのが共演。「ごはん」「拳銃と目玉焼」の安田淳一が監督・脚本を手がけ、自主制作作品でありながら東映京都撮影所の特別協力によって完成させた。2024年8月17日に池袋シネマ・ロサの一館のみで封切られ(8月30日からは川崎チネチッタでシーンを追加した「デラックス版」が上映スタート)、口コミで話題が広まったことから同年9月13日からはギャガが共同配給につき、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ日比谷ほか全国100館以上で順次拡大公開される。
映画好き入居者さんのおすすめ作品で、映画「カメラを止めるな」のような単館上映からの全国公開に広がった浪漫に惹かれて休日に鑑賞。平日昼過ぎの上映にも関わらず、多くの観客で埋まっていた。とにかく主役である山口馬木也(高坂新左衛門役)がいい。前半で笑わせてくれ、中盤から冨家ノリマサ(風見恭一郎役)の登場から想定外な展開になる。ラストの殺陣が始まる際の長い間(ま)がとても印象的だった。タイムスリップする時差の設定も面白くおかげで最後もくすりとさせてくれる。潔さと礼儀の詰まった武士魂はずる賢い現代においてとても清々しく思えた作品だった。
未来へタイムスリップする独特の展開でスリップについてもあえてくどくどと説明がなく、スリップされた側はスリップした事実を知らないのが映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」同様スマートでとても良い。最近「MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」「パーム・スプリングス」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」らのタイムループ物も増えて来たが、本作品のような「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「幕末高校生」「青天の霹靂」「コーヒーが冷めないうちに」「テルマエ・ロマエ」の王道であるタイムスリップ物はやはり面白い。