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今回、久しぶりにお目にかかったカラタカ♀たちは在来種植物の花ではなく、外来種(植物の場合、もはやなじんでしまった外来種には帰化植物という折衷案みたいな名称があてられる)のなかの外来種、クローバーに狂ったように吸蜜していた。おかげで十分な撮影時間を確保できせっせと撮影することができた。
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この白い花のクローバーは明治初期に牧草としてヨーロッパから持ち込まれ、やがて日本中に広がり、最終的には北海道にまでやってきたいわゆる帰化植物である。
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もちろん、もともと北海道には存在しなかった植物でカラフトタカネキマダラセセリがこの白い花で吸蜜するようになったのはほんの少し前のことと思われる。すなわち100年もたっていない。
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北海道特産種代表のカラフトタカネキマダラセセリが外来種筆頭の白いクローバーの花で吸蜜している光景は、実は私自身も初めて見たのであった。
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恐らく何万年もにおよぶ北海道のカラフトタカネキマダラセセリの歴史においてクローバーの花とのつきあいはこの付近で牛が飼われるようになった、この数十年のごく短い関係に過ぎないのだろう。
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私は今回、何の違和感もなく白いクローバーの花に吸蜜するカラフトタカネキマダラセセリを撮影したが、冷静に考えればこれは相当な異常事態であろう。しかし、もはや、そういった時代なのかとつくずく思った次第です。
この感情は、最近、大雪山の高山蝶クモマベニヒカゲがなんと外来種代表 The 外来種 とでも呼びたくなるようなコウリンタンポポの花を最も好む格好で吸蜜していることに対して、強い違和感をおぼえたのと同じものである。
私は生態系とは常に流動的に変化を続けているのもので、未来永劫変化しない生態系は無いと思っている。
今ある生態系のみをかたくなに守ろうとしても(生態系原理主義などと呼ばれることもある)現実にそぐわない場合もあることを強く感じながら自然を見てきた。
ただ、今危機に陥っている貴重な自然が消えてゆくのを少しでも先送りしたいという気持ちは 絶滅危惧種オショロコマと長らくかかわってきた私には痛いほどよくわかります。
しかし、北海道の在来の自然の代表選手みたいなカラタカとクモマベニヒカゲが、いつのまにか外来種筆頭とおもわれるこれら帰化植物に依存している姿を見るのはなんとも複雑な心境です。
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