北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

美麗蝶カキカモルフォの採集

2022-06-29 15:58:11 | 南米の蝶

美麗蝶カキカモルフォの採集

 

 

 

南米ペルーのリマから出発し東へ向かうと標高5000m級の山並みアンデス山脈がそびえ立っている。

 

 

 

このアンデスを越えて下ってゆくとアマゾン川の源流域アンデスアマゾンに到達する。

 

 

 

そこは大蛇アナコンダやジャガーの棲息する原始のジャングル地帯だ。

 

 

 

この密林の奥地に美麗蝶が乱舞する蝶の谷 Shimaシマがある。ここに雨期の一時期にだけとりわけ美しいカキカモルフォ (  Morpho  cacica  )が出現する。

 

 

雨期の蝶採集は運次第。

 

 

 

雨期艱難辛苦のすえ、やっとシマにたどりついても連日の雨で涙をのんで引き返すことは稀でない。

 

 

 

私がシマを訪れたときは雨期の真っ最中。毎日雨が降り続き、キャンプ地の前を流れるシマ川は轟々と流れる濁流で大増水。

 

 

 

 

20XX-12-29 。 運よく連日の雨がやみ、みるみる青空が広がった。

 

 

急速に川の水は引いて蝶の集まる川岸が現れはじめた。

 

 

 

やがて、待望のカキカモルフォが次々と現れた。

 

 

 

カキカモルフォ(現地ではカシカと呼んでいる)の飛翔は美しい。褐色の濁流の上を目も覚めるようなメタリックブルーの大きなカキカが滑空し、羽ばたいて反転して、また滑空する。まるで夢かと思うほどの美しい光景で現実のものとは思われないほどだ。

 

 

 

 

しかし、地面におりたカキカはなんと格好悪いことか。

 

 

 

異様に羽根の高さがあるためか重心が不安定でこけつまろびつヨタヨタよちよちと歩き、つまずいてつんのめったりする。

 

 

 

 

見ていて吹き出してしまう。地面を歩くのがこんなに不器用な蝶は見たことがない。 

 

 

 

 

 

地面のトラップを吸いはじめるとまるで麻酔状態になる。酔っぱらったかのようにものすごく鈍感になり、100%の確率で指でつまんで容易に採集できる。本種の採集はいかにもあっけない。

 

 

 

私は死んで乾燥ミイラ標本となったカキカしか見たことがなかった。

 

 

標本になったカキカの美しさに異論をはさむ気はないが、いかに構造色とはいえ、実際に生きているカキカのメタリックブルーは明らかに乾燥展翅標本の何倍も美しい。

 

 

 

 

しっとりとしたメタリックブルーとでも言おうか、青いギラギラが手に照り返す美しさは例えようもない。

 

 

夢のような至福の時間はたちまち終わり、再び猛烈な雨が降り始めると美麗蝶の姿は消えていた。

 

 

 

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナーのいずれかを をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村


北海道天塩岳産ミヤマカラスアゲハ春型の特徴

2022-06-21 01:28:21 | ミヤマカラスアゲハ

北海道天塩岳産ミヤマカラスアゲハ春型の特徴

 

2021-8-6 (金) 晴れ 35℃ 猛暑

手塩岳からの帰路、かなり下流域の林道までおびただしい数のキベリタテハが発生していて、午後5時を過ぎても飛んでいた。ミヤマカラス1♀ A-  夕刻の林道を低く飛んでいるのを採集、ごく普通タイプの夏型♀であったが採卵用にもちかえった。 

 

 

2021-8-14(土) 薄曇り 25℃

天塩岳のミヤマカラスアゲハをコクサギに袋がけして採卵を試みていたが、この日、死亡しているのを確認。ネットや コクサギの葉に 合計60卵産卵していた。

 

 

コクサギの葉を与えて飼育したところ、やや小型の越冬蛹 30蛹を得た。これらの蛹を蝶友のK氏にあずけたが、蛹死や羽化失敗がけっこうあったが、2022-3-20~28 にかけて順調に羽化した7♂♂6♀♀を展翅標本にして持ってきてくれました。

 

天塩岳産ミヤマカラスアゲハ春型♂表面

 

 

天塩岳産ミヤマカラスアゲハ春型♂裏面

 

 

 

天塩岳産ミヤマカラスアゲハ春型♀表面

 

 

天塩岳産ミヤマカラスアゲハ春型♀裏面

 

 

時期的には春型として羽化した格好で♂前翅長平均40mm   ♀前翅長平均42mm  で♂♀ともにとても小型です。

 

翅表の色調・斑紋は春型のパターンで特別変わった個体はないのですが、裏面の白帯は春型にしてはやや狭い。かといって夏型の白帯ほどは狭くない。 

 

春型の翅表と春型にしてはやや狭い裏面白帯といった変わったパターンになりましたが、これが天塩岳のミヤマカラスアゲハの特徴なのか、コクサギで飼育したせいなのか、それとも他の理由があるのかはよくわかりません。

 

 

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナー をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 88_31.gifにほんブログ村

 

 

88_31.gifにほんブログ村


白い牡丹の花に飛来するセイヨウオオマルハナバチ

2022-06-16 11:34:35 | ハチの仲間

白い牡丹の花に飛来するセイヨウオオマルハナバチ

 

 

 

2022-6-6 (月)  曇り のち 晴れ 17度C

 

 

セイヨウオオマルハナバチ( Bombus terrestris )はヨーロッパ原産。大型のミツバチの仲間で1990年代初めからわが国に輸入されトマト、ナス、イチゴなど温室栽培の受粉に威力を発揮しました。この際、このハチを決して温室の外には逃さないと言う、まあ最初から無理な大前提のもとに導入されたようです。

 

 

しかし、当初から予想されていたように、たちまち温室から逃げ出して外来種として猛烈な勢いで繁殖した。日本各地で在来のマルハナバチたちを圧倒、他のオオマルハナバチとの雑交や、在来植物に対しても盗蜜行動等を介して受粉障害や損傷を与えるなど既存の生態系に大きな変化をもたらした。

 

 

わが家の庭にも10年ほど前から飛来するようになり、花畑でみられる蜂の中では今やもっとも目立つ存在になっています。

 

当初、このハチの使用を盛んに推奨していた行政も最近では利用を制限し、在来マルハナバチへの転換をするように許可基準を大きく変更している。

 

 

しかし、もはやセイヨウオオマルハナバチの完全駆除や、消えてしまった在来のマルハナバチ類の復活は現実には容易ではないと思われます。

 

 

今年は 1 匹のセイヨウオオマルハナバチ( 恐らくは単独で越冬した女王蜂 )が、春先からわが家の庭でブンブン飛び回って活動しています。 

 

 

少し前まではツツジの花に来ていましたが、ツツジが一段落すると、ボタンの花に来るようになりました。 

 

 

今はただ 1 匹のセイヨウオオマルハナバチですが、秋にかけて個体数がどんどん増えて行きます。 普通、この時期は1ないし数匹しかみられません。 

 

 

 

 

尾端が白いのが特徴で同定は白いお尻を確認することで容易。

 

 

 

 

生態系に大きな影響を与えつつあるのはおおいに問題ですが、もはや、此の期に及んでしまっては、私、個人的にこのハチは嫌いではありません。大きいけれど、ふだんは攻撃性は弱く、庭をブンブン飛び回っても安心して見ていられることが最も大きな理由でしょうか。

 

 

今後、新たにセイヨウオオマルハナバチを導入することには、極めて慎重にならざるを得ないのは言うまでもありませんが、もはや生態系の中にしっかりと組み込まれ、いわば 帰化昆虫 のようになってしまったものは諦めざるを得ないと言ってよいほど、私たちは実に多くの外来の生き物( 動物、魚類、昆虫、植物 etc )に囲まれて生きているのです。

 

 

白い大きな牡丹の花に飛来するセイヨウオオマルハナバチは、我が家の庭以外ではあまり見たことが無いので、今回、せっせと撮影してみました。

 

 

 

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナーのいずれかを をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村


コカ茶とパッションフルーツ

2022-06-09 13:53:46 | 南米の蝶

閑話休題、コカ茶とパッションフルーツ

 

 

 

ペルーではコカの葉を使用したコカ茶は日本の番茶・麦茶と似たような感覚で広く飲用されています。

 

コカの葉は麻薬コカインの原料にもなるので、飲んで良いものかどうか、最初はちょっと気になりましたが、よく出てくるので最後はあまり気にせず飲んでいました。

 

 

かなりの覚醒作用があるとはいうのですが別にそんな感じはなく、うまくもまずくもないタダのお茶です。

 

 

これは以前にも紹介したペルー産アグリアスの美蝶、ベアタアグリアス Agrias beatifica beata ですがこの蝶の幼虫はコカの葉を食べて発育します。

 

 

 

 

 

 

 

私の住む北海道ではパッションフルーツを売っているのを見たことがなく、南米ペルーに来て初めて目にした果物です。

 

 

収穫時期なのか至る所で路傍で売っていました。

 

 

 

帰国後、日本でも南米原産のパッションフルーツは暖かい地方ではけっこう栽培されていることを知りました。

 

 

 

おそるおそる食べてみたら、食レポ的表現はうまく出来ませんが、まあ嫌いではないがファンになるほどではなかったといった程度の感想です。

 

 

 

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナーのいずれかを をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村


蝶の大群の羽音

2022-06-02 15:00:30 | 南米の蝶

蝶の大群の羽音

 

南米ペルー、アンデスアマゾンのペレネ川を木製イカダのフェリーで渡りトヨタの4輪トラックで林道を登り下りしながら蝶の多い谷へと向かう。

 

 

その途中、小さな川の増水後の水が引いたばかりの河原に何百何千ものリコフロンアゲハ Papilio lycophron が吸水していた。

 

小刻みに羽根を震わせながら盛んに吸水してお尻から水を飛ばすポンピングをしている。

 

 

40度Cほどの猛暑なのでこうして体を冷やしているのかも知れない。

 

 

 

皆さんは蝶の羽音というものを聞いたことがあるでしょうか ? 。

 

 

おびただしい数の蝶の羽音がウワーンと異様な音響効果を出していました。

 

 

 

私は後にも先にもこんなに大量の蝶の吸水集団は見たことがありませんでした。

 

 

 

写真は吸水集団のごく一部で、どうも全体をうまく撮影することができませんでした。

 

 

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナーのいずれかを をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村