北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

アポロウスバシロチョウの食草 

2017-07-28 20:32:19 | 蝶・昆虫・自然・同好会など
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アポロウスバシロチョウの食草 
 





今から40年も昔のこと、私は 世界各地の蝶コレクターと蝶の標本の交換を盛んに行っていました。


特にヨーロッパ各地の愛好家からは アポロウスバシロチョウ( Parnassius apollo ) がよく送られてきて、私もこの蝶が好きでした。


当時はアポロはとても多い蝶だったようでずいぶんたくさんの標本がきました。 


最近では 地球温暖化をはじめ種々の環境変化のため世界各地で激減し、絶滅危惧種として採集や交換・売買も禁止されているようです。 


あるとき、スペインの蝶愛好家だったか(記憶がさだかでない)から標本が送られてきたおりに、アポロの食草として数本のベンケイソウ科植物の茎が入っていました。


私はそれを鉢植えにしたところ何とか根付きましたので、毎年それを増やしてゆきました。


彼からはその後、アポロの卵を送ると言ってきましたがそれきりになってしまいました。


40年後の今、この植物は庭の一角に畳1枚ほどの広さに繁殖しています。










5-6年前からはベンケイソウ科独特の黄色い花をつけるようになってきました。











ところでこの植物は本当にアポロの食草なのでしょうか。


これまでアポロの食草と信じて庭のかたすみで40年間も栽培してきたのですが、つい最近なんとなく気になって手持ちの資料やインターネットなどで調べてみました。


意外にもアポロの食草として図示されているのは、Sedum album をはじめとするもっと肉厚の葉のベンケイソウ科植物ばかりで、どうも我が家のものは野外での食草ではなさそうです。


飼育の際、与えれば食べるといった意味合いだったのでしょうか。


あしかけ2年から3年の幼虫期間もさることながら、大きなアポロの終令幼虫を育てるには我が家の庭にあるこの植物では足りなさそうです。


最近、このベンケイソウ科植物の同定を試みましたが植物学シロートの私には至難のことで、インターネット上で表示されている多数のSedum属植物の写真との絵合わせくらいしか出来ません。


しかし、我が家の庭の アポロの食草 にはっきりと合致する画像はなく しいて絵合わせすると Sedum reflexum が似ているかなといった結論になりました。 




どなたか、詳しい方のご意見を聞かせていただければ幸いです。


なにしろアポロの食草と信じて40年も栽培してきましたので、なんとか名前だけでもはっきりさせたいものです。


かって私は1992年のモンゴル開国直後から13年かよって蝶類の調査を行いました。


モンゴルのアポロウスバシロチョウは、場所によってはなんでこの蝶が絶滅危惧種なの???というほど沢山飛んでいましたが、当時は分布調査に熱心のあまり食草を確認したことがなかったのは怠慢でした。


本種の多いところにはロシアなどで食草とされる Sedum telephium ムラサキベンケイソウがみられ、モンゴルでの食草と目されています。



世界中の国々で野性生物の採集・持ち出しなどの規制が次第に厳しくなってきているなかで、モンゴルは比較的それが穏やかで、治安も安定しているせいか、いまだにモンゴルに蝶を楽しみに行く愛好家の方々が多いようです。


モンゴルの素晴らしい自然と蝶たちを日本に紹介してきた私としてはうれしい限りです。




モンゴルのアポロウスバシロチョウ♂  2007-6-26  ツェンケルジグール  吉田嘉男氏 撮影。









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SFTS 感染野良猫に噛まれた女性、たちまち死亡。

2017-07-25 02:57:57 | 蝶・昆虫・自然・同好会など
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SFTS 感染野良猫に噛まれた女性、たちまち死亡。


ここ数年、西日本を中心に死亡例が相次いでいる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)。


原因ウィルスはダニが媒介し、ダニに噛まれることで発症し、数日で死にいたることもあるのが怖い。 


最近猫に噛まれることにより重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症した女性が、たちまち死亡するというニュースがあった。


平成28年5月~7月、弱った野良猫を保護しようとした西日本在住の50代女性が猫にかまれ10日後に死亡したという。


先日私も似たような猫を発見し、保護をこころみたがむこうが逃げてくれた?ことがあった。


この猫の目のまわりにはびっしりとダニがついていたことを思うと背筋が寒くなる。





西日本と異なり北海道ではSFTSの危険はさほどではないと思われるが注意すべきと思います。



産経新聞によれば

厚生労働省は24日、草むらなど野外に生息するマダニが媒介する感染症に感染した猫にかまれた女性が死亡していたことを明らかにした。


厚労省は同日、都道府県や医師会などに注意を喚起する通達を出した。ダニ媒介の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で、哺乳類を介して人が死亡したことが判明したのは世界で初めてという。



国立感染症研究所によると、平成28年5月~7月、弱った野良猫を保護しようとした西日本在住の50代女性が猫にかまれた。女性に重大な持病などはなく、約10日後に死亡した。


半年後に感染研が女性の検体を受けて精査したところ、猫を介してSFTSを発症した可能性が高いことが分かった。




SFTSは国内で初めて感染が判明した23年から今年6月末までに全国で266人の発症例があり、そのうち57人が死亡。致死率は21%に上る。


北海道でも最近、ダニ媒介性髄膜脳炎を発症し、ダニに噛まれて数日後に発症、数週間で死亡した例がある。


亡くなった男性は、1993年に北海道で1人が発症して以来2例目で重症熱性血小板減少症候群(SFTS)と比較すれば極めて稀とはいえとても気になる。


この男性は40代と働き盛りであったが、若いからといって大丈夫とは言えず、噛まれたときの体調や侵入したウイルスの量などで重症化するという。


年中、ダニに噛まれるF氏など蝶愛好家や私たちとしてはまったく他人事とは思われない状況です。


かみさんに食いついたダニ。蝶の展翅用の極細特殊ピンセットでダニの頭をしっかり把持して摘出。この際ダニの腹部を圧することは禁忌。病原微生物を注入してしまうことになります。





F氏に食いついたダニを自分でむりやり摘出したあと。 きっと頭が残った感じ。





私に食いついたダニ。これは病院で摘出してもらった。






孫の長男君に食いついたダニを私が摘出。


摘出したダニ。頭部まできれいに取れた。





その後の調査で北海道ではこのウィルスを保有するキツネ、タヌキ、アライグマもけっこう存在する可能性が指摘されている。


ダニに咬まれないためには といったノウハウを保健所などで提示することがあるが経験上、そんなのはほとんど無効。


ダニに咬まれるのがイヤなら野山にゆくのをやめるしかない。


ダニは木の枝などに待機しているものも多く、下を通る人間の呼気中のCO2 を感知して何匹もがパラパラ落ちてくるのを体験したこともあります。


また咬まれる時期としては春から初夏に多いとおもいます。


いろいろ素人療法がありますが、たいてい頭が残ったり、最悪ウィルスを大量に注入してしまう可能性があり 心配な方は病院で摘出してもらうことをおすすめします。


また、ダニ刺入部位を中心に発赤が強い場合はライム病に感染した可能性もあり病院へ行くことをおすすめします。




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暑気払い エゾヒメギフの発生時期に積雪

2017-07-21 00:07:34 | エゾヒメギフチョウ
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暑気払い エゾヒメギフの発生時期に積雪


北海道では、2017年は7月上旬から、20年ぶりという気温 36-37℃のキチガイじみた猛暑日があり、最近でも30℃の日が続いています。



うだるような暑さでなかなか蝶を見に出かける気にもなれません。



暑気払いにヒメギフシーズン真っ最中に降った雪の日のことをアップします。



2016-4-29  (金)  強風 湿った雪


低気圧の接近で 朝から 風強く 荒れ模様の天候。 積雪は5cmほどでまだたいしたことはないが 明日のエゾヒメギフは絶望的。




2016-4-30 (土)  昨夜 雪 朝方より曇り












雪は止んだが 完全に冬景色にもどった。20cm 積雪。しかしこの時期の積雪の常で 気温があがると すぐ解けてしまうだろう。














雪は午前中には アスファルト道路のものは ほとんど解けてしまい、夏タイヤで走っても大丈夫そうだ。








2016-5-6 (金)  よく晴れた 15℃ 



今日は今年初めてエゾヒメギフを見に出かけた。



北見市郊外でエゾヒメギフ8♂♂9♀♀A-A1 観察、撮影した。




2016年は、4月下旬の雪にもかかわらずエゾヒメギフの発生は例年なみであったもよう。





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オオイチモンジ♂新鮮羽化個体

2017-07-16 20:57:34 | オオイチモンジ
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毎年、オホーツク方面ではヤマベ釣り解禁日は7月1日。


私は真面目に、この日からヤマベ釣りに行くが、より賢い方々はその何日も前にヤマベ釣りに入る。


広大なオホーツクの森には見張りなどいないのだ。


オホーツク平野部でオオイチモンジ♂が羽化するのは丁度この時期である。




近年、渓流釣りに気がいっていた私は、この時期もっぱら渓流にいることが多かった。




オオイチモンジが林道を飛んでも、あまり気にすることはなかった。


最近、ブログ用にチョウの撮影をするようになって、その気になればオオイチモンジは実によく目にはいりやすいチョウである。


どこの林道に入っても数匹程度ならこの時期、たいていオオイチモンジ♂がいる。





この日、オオイチモンジはひたすら滑空するばかりで、まったく止まる気配がないため、手のひら写真ばかりになりました。



昔のように一度に何十匹ものオオイチモンジを見ることはないが、羽化したての青光りするオオイチモンジ♂を見るのはいいものだ。





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シュウリザクラで育ったエゾシロチョウ、赤ボケに大量産卵。

2017-07-14 12:02:20 | エゾシロチョウ 
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シュウリザクラで育ったエゾシロチョウ、赤ボケに大量産卵。






2017-7-7 (金) 晴れ

シュウリザクラで発生したエゾシロチョウたちは交尾行動をひとしきりやって、その後気がついたら庭から消えてしまっていました。  


そういえば交尾後のエゾシロチョウは、どこか別の産卵場所を求めていなくなったのか、もしかすると赤ボケに産卵してはいないだろうかと気になって捜してみました。



この日の朝、産卵行動をとるエゾシロチョウ1♀を発見していたのです。






エゾシロ卵、ありました。



かなり産んでいます。 


今回6ペアの交尾を確認していますが、ざっと調べたところ13卵塊ありました。












1卵塊100〜300卵ありますから数千卵前後の卵が産まれたことになります。





こうしてみるとシュウリザクラと赤ボケは似ても似つかない植物ですが同じバラ科植物ということで、自分が羽化したとき目の前にあった赤ボケに難の抵抗もなく産卵したもようです。 



エゾシロチョウは栽培植物のボケ、リンゴ、ナシ、カイドウ、ナナカマド、種々のサクラなどに発生します。



蝦夷の昔にはこれらの栽培植物は北海道にはなかったはずで、最近の100年前後から和人が定着するようになって同時に入ってきたこれらの植物をエゾシロチョウが利用を始めたとおもわれます。



エゾシロチョウが原始の昔から利用してきたオリジナルの食樹は恐らくシュウリザクラ、エゾノウワミズザクラ、エゾノコリンゴ、サンザシなど北海道に自生するバラ科植物だったとおもいます。



さて、これらの卵は天敵のアブラムシ、獰猛なカンタンなどの襲撃を乗り越えれば、来年我が家の赤ボケの葉を丸裸にして大発生するとおもわれますが、今年のように思いがけないできごとで壊滅するかもしれません。



ケセラセラといったところです。



   今年も時々、エゾシロチョウ幼虫の状態などご報告したいとおもいます。




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