北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

ヒメウスバシロチョウ×ウスバシロチョウのF1雑種♂の外見的特徴

2020-06-27 19:06:32 | ヒメウスバシロチョウ
ヒメウスバシロチョウ×ウスバシロチョウのF1雑種♂の外見的特徴


    



2017-2-4(土) 曇り




この日、とある学術集会に出席するため札幌へ向かった。札幌へ出かけるときはしばしば北海道昆虫同好会事務局のあるしにせの古書店南陽堂へ寄ります。南陽堂のご主人高木さんは北海道昆虫同好会の事務局長です。 店の二階は昆虫図書で溢れかえっており、その規模はおそらく世界一とおもわれます。そこで高木さんと蝶談義をすると時間が経つのを忘れてしまいます。

 




今回は 北海道穂別の ウスバシロとヒメウスバ混生地での 自然雑交F1 のことを いろいろ聞いて最後は彼が穂別で最終したF1 ♂標本の撮影をさせていただいた。










初めて何の予備知識もなくこの標本をみても何も感じないかもしれません。そういえば襟首の体毛は何となく黄色みをおびるがウスバシロチョウほど濃い色調ではない。
実は、これが  F1 であることの区別点になります。




ヒメウスバシロチョウは北海道各地に広く分布する。一方ウスバシロチョウは北海道においては分布が局地的であり渡島半島、石狩低地帯から日高山脈、帯広周辺、根釧台地などに限局性に発生地がある。両者とも発生時期は5月下旬から6月上旬で、ほぼ同じ時期に発生する。





主たる食草は両者ともエゾエンゴサクで、このほかヒメウスバはエゾキケマン、ウスバシロはムラサキケマンを食する。






エゾエンゴサク。







エゾキケマン。





これらの生息地のうち、ヒメウスバとウスバシロの分布が重なるところがあり、そこではこれら2種の間で自然交雑がおこなわれ しばしば F1雑種が見られる。






F1雑種♂はそれほど稀ではなく採集されるため、これら二種の交尾段階での生殖的隔離状況は比較的ゆるいと考えられている。






ヒメウスバシロチョウ♂は胸、腹部の体毛が白、一方ウスバシロチョウ♂は胸、腹部の体毛は濃い黄色。




ヒメウスバシロチョウの体毛はとにかく白い。











F1 ♂は 腹部体毛が なんとなく黄色味を帯びており、かといってウスバシロほどの鮮やかな黄色にはならないのが特徴。








これら微妙な差異を写真で表現するのは従来なかなか大変とされてきたが、今回色々な角度から撮影して何とかF1の体毛の色調を表現できたと思うが、いかがでしょうか。


 



ヒメウスバ×ウスバシロの人工的な雑交実験を行った人がいて、それによれば、今回示したように肉眼的にF1 ♂と判別できるものの他に もともとのヒメウスバやウスバシロとの区別がむずかしい F1 個体もでるというから話は複雑になってゆく。






F1の中には生殖能力がある個体がいるのか、F2、F3 を出すことはは可能なのか、自然界で、もどし交雑みたいなことも起こっているのか、雑交F1 の♀はどうなるのか、頭がこんがらがってくるが、これらを逐一証明してゆくのはなかなか大変なことだと思う。






今回は、とりあえず F1♂と思われる個体の特徴を写真で表現できるか試してみました。





蝶をとりわけ専門とする方でなければ、一体何の話をしているのか、きっとまったくわからないのではないでしょうか。





専門的すぎて、一般の方には申し訳ない記事になってしまいました。


              終わり。



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コクサギ飼育のミヤマカラスアゲハ越冬蛹が夏型として羽化 その弐

2020-06-23 20:56:41 | ミヤマカラスアゲハ
コクサギ飼育のミヤマカラスアゲハ越冬蛹が夏型として羽化 その弐



2016-6-8 (水)   晴れ 夕方から雨




午後9時。この日は夜遅く帰宅したが コクサギ飼育のミヤマカラスアゲハ越冬蛹1個が羽化していた。








♂個体で、先日羽化したものとまったく同じ傾向の個体で、6月羽化というのに裏面白帯は狭くて夏型を思わせるものであった。




夏型の外観だが大きさは小型で春型サイズ。





♂翅表の発香鱗の毛並みがよくないのと尾状突起の展開がややあまい。





最終的には残りの蛹は羽化することなく死亡。




結局2016年夏にコクサギに産卵されたミヤマカラスアゲハ卵76卵中、かろうじて羽化に至ったのは、この2頭のみであった。羽化率 2.6% 。




過去にミヤマカラスアゲハを地元の山に自生しているキハダを用いて数百頭以上を無事に飼育羽化させた経験( 羽化成功率は春型、夏型とも約95%以上 )からすると、コクサギでの飼育はあまりにも成績が悪い。



少なくともこの年の飼育実験においては北海道オホーツク界隈のミヤマカラスアゲハにとっては適した食樹とは言えなかった。




しかし、その後もコクサギによるミヤマカラスアゲハ飼育実験を繰り返した結果、年や種苗によっては良好な飼育羽化をみる場合もあることがわかったのは既報のごとし







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コクサギ飼育ミヤマカラスアゲハ越冬蛹が 6月に夏型として羽化 その壱

2020-06-17 22:07:38 | ミヤマカラスアゲハ
コクサギ飼育ミヤマカラスアゲハ越冬蛹が 6月に夏型として羽化 その壱



2016-6-6 (月)  晴れ




夜7時。2階の私の部屋に出していた昨年コクサギで飼育したミヤマカラスアゲハ越冬蛹5個のうち1♂が羽化している。








久しぶりに見る生きたミヤマカラスアゲハは文句なく美しくあれこれ撮影した。


 

本来、本種の飼育には不適とされるコクサギで飼育したとはいえ一応、美しいミヤマカラスアゲハなのだが、ちょっと注文をつけると以下のようになる。




越冬して6月6日に羽化してきたのに春型ではなく、夏型を思わせる外観の小型♂。




羽化状態はまあまあだが尾状突起の展開がやや甘い感じ。




きれいはきれいなのだがダントツの美形とは言えず小さな夏型♂みたいといったところ。



後翅裏面白帯が細く狭いのは夏型の特徴。






ひそかに期待していた異常な色調や斑紋は見られない。




この蛹の前に黒くなって羽化間近と思われた2蛹は、その後急に異常低温が続いたせいか力つき羽化に至らず蛹内で死亡した。





残り2個、うまく羽化するかな。





夜。とある蝶友からの電話あり。





ミヤマカラスアゲハの越冬蛹を、思い切りたくさん作ったが美麗異常型を期待して低温処理したら全部死んでしまったとのこと。



ご愁傷様です。






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エゾヒメギフチョウの悲劇の痕跡

2020-06-13 15:03:06 | エゾヒメギフチョウ
エゾヒメギフチョウの悲劇の痕跡



201X-6-18 (土)  雨のち曇のち雨  気温18度C




この日の午後、早春にエゾヒメギフチョウが飛んでいた林道へ入る機会があった。




早春の時期にはエゾヒメギフチョウの産卵も確認している林道です。






木々の葉や草の葉がでていない早春とくらべると別世界のようにかなり鬱蒼としている。




強風、曇でチョウ飛ばず。
 



笹の斜面をすかしてみるとエゾヒメギフチョウの幼虫が食べるオクエゾサイシンの若いのが沢山でているがすべて笹の葉に覆い尽くされてひ弱な感じ。

 



オクエゾサイシン縁がエゾヒメギフ1令幼虫に食べられた食痕が2枚の葉に見られたが天敵に襲われたのか幼虫の姿はどこにもいなかった。












悲劇の痕跡でしょうか。




食痕にクモの巣まで見られる。




恐らく10-15匹いた1令幼虫は一匹 また一匹とクモに襲われ全滅したのでしょう。



エゾヒメギフチョウ1♀が100卵ほどの卵を産んで、孵化した幼虫のうち、種々の試練をかいくぐって翌年の平均2匹ほどの蝶が羽化すれば例年どおりの発生になるとおもわれます。



平均1匹ほどが羽化すれば、今年は例年の半分くらい、もし3匹羽化すれば大発生ということになるかと思います。



さて、この林道のエゾヒメギフチョウは来年はどうでしょうか。

 
北見ではめずらしいエビラフジがありました。



帯広の河川敷で ヒメシロチョウの発生地を見にいったときは、エビラフジが群生していました。





ミツバがたくさん生えているので夫婦分だけ採集し 夕食のごまあえお浸しにしたが香りが強くておいしかった。
















最近、木々草本が茂って庭の管理が大変。


ついに決心して庭のヤマボウシの根元から出ていたミズナラとニレをノコギリで切って除去した。





モミジなども選定したら結構な量の枝をゴミに出すことになった。





疲れたが 庭がたいそうスッキリした。




エゾシロチョウ 産卵している。 まだ赤ぼけの葉は大きくなっていないが 小さな葉の表にも 裏にも 多数の卵塊見られる。今年は 約30卵塊はある。



夕食後 ゴールデンキュウイを食べたがおいしかった。







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エゾヒメギフチョウの真珠色の卵に執着する小昆虫、天敵か ?

2020-06-07 23:53:15 | エゾヒメギフチョウ
エゾヒメギフチョウの真珠色の卵に執着する小昆虫、天敵か ?



2015-5-5 (火)   曇り 時々晴 強風  20℃




この日、北見市郊外にエゾヒメギフチョウを見にでかけた。



エゾノリュウキンカ(ヤチブキ)の黄色い花に吸密するエゾヒメギフチョウ♂。


やや盛期を過ぎていたが30匹ほどを観察できたが半数は羽根が汚損していた。




今日は♂ 2/3 ♀1/3 といったところ。 



北海道大学の校章になっている春の花、オオバナノエンレイソウが沢山咲いていました。

 



林道沿いに小規模なオクエゾサイシン(エゾヒメギフチョウの幼虫が食べる食草)の群落を発見した。 








産卵されている。




葉2枚 花1個に産卵を確認。真珠色の独特の卵が産み付けられていた。











少し卵の隙間が開いており数日前の産卵とおもわれる。





はや、卵をエサにしようと小昆虫が寄ってきていた。





アブラムシの一種だろうか。この昆虫の同定は私には難しそうだ。





卵の中身を吸うやつかな。







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