北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

白い牡丹の花に飛来するセイヨウオオマルハナバチ

2022-06-16 11:34:35 | ハチの仲間

白い牡丹の花に飛来するセイヨウオオマルハナバチ

 

 

 

2022-6-6 (月)  曇り のち 晴れ 17度C

 

 

セイヨウオオマルハナバチ( Bombus terrestris )はヨーロッパ原産。大型のミツバチの仲間で1990年代初めからわが国に輸入されトマト、ナス、イチゴなど温室栽培の受粉に威力を発揮しました。この際、このハチを決して温室の外には逃さないと言う、まあ最初から無理な大前提のもとに導入されたようです。

 

 

しかし、当初から予想されていたように、たちまち温室から逃げ出して外来種として猛烈な勢いで繁殖した。日本各地で在来のマルハナバチたちを圧倒、他のオオマルハナバチとの雑交や、在来植物に対しても盗蜜行動等を介して受粉障害や損傷を与えるなど既存の生態系に大きな変化をもたらした。

 

 

わが家の庭にも10年ほど前から飛来するようになり、花畑でみられる蜂の中では今やもっとも目立つ存在になっています。

 

当初、このハチの使用を盛んに推奨していた行政も最近では利用を制限し、在来マルハナバチへの転換をするように許可基準を大きく変更している。

 

 

しかし、もはやセイヨウオオマルハナバチの完全駆除や、消えてしまった在来のマルハナバチ類の復活は現実には容易ではないと思われます。

 

 

今年は 1 匹のセイヨウオオマルハナバチ( 恐らくは単独で越冬した女王蜂 )が、春先からわが家の庭でブンブン飛び回って活動しています。 

 

 

少し前まではツツジの花に来ていましたが、ツツジが一段落すると、ボタンの花に来るようになりました。 

 

 

今はただ 1 匹のセイヨウオオマルハナバチですが、秋にかけて個体数がどんどん増えて行きます。 普通、この時期は1ないし数匹しかみられません。 

 

 

 

 

尾端が白いのが特徴で同定は白いお尻を確認することで容易。

 

 

 

 

生態系に大きな影響を与えつつあるのはおおいに問題ですが、もはや、此の期に及んでしまっては、私、個人的にこのハチは嫌いではありません。大きいけれど、ふだんは攻撃性は弱く、庭をブンブン飛び回っても安心して見ていられることが最も大きな理由でしょうか。

 

 

今後、新たにセイヨウオオマルハナバチを導入することには、極めて慎重にならざるを得ないのは言うまでもありませんが、もはや生態系の中にしっかりと組み込まれ、いわば 帰化昆虫 のようになってしまったものは諦めざるを得ないと言ってよいほど、私たちは実に多くの外来の生き物( 動物、魚類、昆虫、植物 etc )に囲まれて生きているのです。

 

 

白い大きな牡丹の花に飛来するセイヨウオオマルハナバチは、我が家の庭以外ではあまり見たことが無いので、今回、せっせと撮影してみました。

 

 

 

最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナーのいずれかを をワンクリックしていただければ幸いです。

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村

 

 

 

88_31.gifにほんブログ村


セイヨウオオマルハナバチのいる風景, このハチの存在意義は?

2020-09-20 14:43:19 | ハチの仲間
セイヨウオオマルハナバチのいる風景, このハチの存在意義は?



ネギボウズの花にきているセイヨウオオマルハナバチをせっせと撮影してみました。




このハチはヨーロッパ原産のハナバチの一種でそれまで手作業で行われていた温室内でのトマト受粉用に1992年から日本に導入され、そのおかげで安全高品質なトマトが大増産されるようになりました。






いまや日本の温室トマト生産には欠かせない存在になっています。








このハチの同定はいたって簡単で尾端の毛が白いことで他のマルハナバチ類と容易に鑑別できます。







当初からこのハチが温室から逃げ出すと在来のマルハナバチ類に多大なる悪影響をあたえることが危惧されていて、ハチの逃亡は断固阻止するといった体制をとることを前提に導入が許可されたのでした。







しかし不吉な予想は的中し、温室からの逃亡防止用のネットなどたちまち突破して野外に出たセイヨウオオマルハナバチは北海道の環境に適応し猛烈な勢いで野生化しました。




在来のマルハナバチたちをたちまち駆逐したり交雑したり、盗蜜行動による野生植物の生殖妨害を行ったり、生態系破壊の限りを尽くしていることは 渓流における攻撃的外来種筆頭の野生化ニジマスとよく似ています。





しかし、そんなセイヨウオオマルハナバチですがさほど憎まれている感じがしないと思っているのは私だけではないかもしれません。




我が家のトマト、キュウリ、ナス、サヤインゲンなど家庭菜園で受粉は、ほとんどこのハチに依存しているような気がするのです。




我が家の畑で数千個のトマトの花を次から次へと飛び回っているセイヨウオオマルハナバチは、なんとなく頼もしい存在にすら見えてしまいます。




もはや、北見の市街地でセイヨウオオマルハナバチ以外のマルハナバチをみることはきわめて稀で、北見市界隈で畑をブンブン飛んでいる大きなハチは全部セイヨウオオマルハナバチであるといっても過言ではないと思います。




在来種のオショロコマなどが全て駆逐されてニジマス一色に染め上げられた渓流みたいなものです。




このような状況に陥ってしまったが最後、セイヨウオオマルハナバチもニジマスも、駆除など不可能な段階に陥っており、もうどうにもなりません。





しかし、北見市郊外、いまだオショロコマが生き残っているような自然度の高い森、いわゆるオショロコマの森ではいまのところセイヨウオオマルハナバチをみかけることはありません。




これは エゾキリンソウの花にきている在来のマルハナバチの一種と思われますが、この付近ではセイヨウオオマルハナバチはまったく見かけません。















農耕地におけるこのハチの存在意義に関しては、もはや認めざるを得ない状況に陥っていると思われ、物理的な駆除や生物化学的手法でこれを完全駆逐するよりは、現状を認めた上で、これ以上の分布拡大を防ぐ手立てがを考える方が現実的かもしれません。



この私個人的な考えは攻撃的外来種ニジマスに対する今現在の考えと同じです。



生態系とは、ある一定の状態にいつまでもとどまることはむしろ少なく、人為による変化も含めて常に流動的であるとおもいます。







最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナーのいずれかを をワンクリックしていただければ幸いです。





にほんブログ村 その他ペットブログ 昆虫へにほんブログ村




にほんブログ村 その他ペットブログ 蝶(チョウ)へにほんブログ村