北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

アカマダラとサカハチチョウの区別点 and ミヤマカラスアゲハの大吸水集団を見つけたら

2018-12-28 14:38:39 | シロベニヒカゲ
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アカマダラとサカハチチョウの区別点 and ミヤマカラスアゲハの大吸水集団を見つけたら。


2017-8-4 (金) 曇のち晴れ 22度C


朝10;00 北見市郊外の蝶の多い林道へ向かった。


林道整備のつもりだろうかグレーダーが入り、林道のでこぼこを治そうとしたようだが、かえって林道がひどく荒れて走りにくい。



グレーダーは道路脇の植物まで全部なぎたおし、そのためこの日はいつもより林道沿いに蝶が少なかった。



それでも、深い森へ入る手前、まだ明るい林道沿いの花にサカハチチョウとアカマダラの夏型、クジャクチョウが多い。








アカマダラはサカハチチョウに似ていますが、北海道特産種で本州にはいません。



ところで、サカハチチョウとアカマダラの区別はできますか ?。



本州の方たちはアカマダラをみる機会がないのでむずかしいかも知れませんね。



上の二個体がアカマダラ夏型、それ以外はサカハチチョウ夏型です。



前翅表の白斑に注目すれば区別は容易でしょう。平行になっているのがアカマダラです。





エゾヒメシロ夏型1♂採集。





森へ入ると急にチョウはいなくなる。



うっそうとした川沿いの林道をぬけて牧場へいたると、明るい道路沿いにミヤマカラスアゲハ夏型♂たちの大吸水集団が3カ所。



いずれも極めて慎重に近づくのだが、さあ撮影という瞬間に一斉に舞いたってしまい見事な大きな群れの撮影ならず。



群れへの接近がむずかしい時は、望遠レンズが有効でしょうか。



いずれにしても吸水集団への接近方法になにか一工夫が必要だとおもいます。



それでも、この程度の写真は撮れました。


この吸水集団にエイヤッとネットをかぶせて一網打尽にしたい衝動にかられる採集家の方がいるかもしれもせんが、それは是非やめることをおすすめします。


ネットの中で大暴れする多数のチョウたちで、せっかくの完全美麗個体の多くは尾状突起が折れ、羽根はすれてボロボロ、見るも無惨なことになってしまいます。


美麗な個体を得るためには、せいぜい数匹づつまでを、こまめに採集するしかないのです。



ここで採集したミヤマカラス夏型♂たち。












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キタベニヒカゲ♂が私の指で汗を吸う

2018-11-29 20:26:20 | シロベニヒカゲ
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キタベニヒカゲ♂が私の指で汗を吸う

もう一枚、蝶が私の指に止まった写真を発見しました。



スマホやタブレットでは画像が色化けするかもしれません。コンピュータではきれい。



2004-8-15 (日) 晴れ のち夕方から 雨

朝、ブタ丼、親子丼を食べて9時に出発。順調に清里峠についた。すでにK氏、Y氏が入ってベニヒカゲを採集していた。入ってすぐに待望のシロベニヒカゲ♀(やや汚損)が黄色い花にきたが撮影中に飛び去った。ベニヒカゲは今年はとても多く、トウヒレンのピンク紫の花の群落に群れていた。♂はおおかた汚損。♀はまだ新鮮なものが半分くらいでやや盛期を過ぎていた。ユキバトウヒレンと思われる高山植物の花が特に好まれてベニヒカゲが吸蜜で群れていた。シロベニヒカゲはここに3♀♀やってきた。多数のデジカメ写真を撮影。あとでみるとやや接近しすぎのものが多かったがかなりよい写真が撮れた。シロベニヒカゲは、Y氏3♀♀、K氏3♀♀、かみさん5♀♀を採集。他に私が3-4♀♀撮影して合計14-15頭のシロベニヒカゲ♀が採集確認された。2♀を産卵用にK氏とY氏に1♀ずつあずけた。どんな飼育結果になるか楽しみだ。K氏は大量の普通ベニヒカゲ♀も採集。かみさんも普通のベニヒカゲ15♂♂30♀♀採集していたが1/3はボロでした。他にオオチャバネセセリ少し、モンキチョウ少し、ヒョウモンチョウやや汚損すこし、ギンボシヒョウモン汚損少し、ゴマシジミ数頭汚損、ヒメキマダラヒカゲ少し、ミヤマカラスアゲハ少数がみられたがベニヒカゲ以外の蝶はとても少ない。

林道のヨツバヒヨドリには前年多数群れていたコヒオドシ、クジャクチョウは、まったくみられなかった。

午後5時30分。肺炎で入院していた私の父親の退院祝いをやって父はけっこうご機嫌であった。午後9時に引き上げて0時30分まで寝て、シロベニヒカゲ展翅やデジカメ写真の整理をしたら明け方の4時30分であった。


上記は、この日のコンピューター日記を開いてみたものですが、この日撮影されたキタベニヒカゲが私の指に止まって汗を吸っている写真については何も記述がありません。


まったく気にせずなんとなく私の指に止まって汗を吸うキタベニヒカゲをパシャパシャと撮影したもので、きっと頭の中はシロベニヒカゲの撮影で一杯だったのでしょう。






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シギリアの美女とセイロンキシタアゲハ Troides darsius Gray 1852

2017-04-08 12:03:28 | シロベニヒカゲ
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シギリアの美女とセイロンキシタアゲハ
( ダルシウスキシタアゲハ )♂  
Troides darsius Gray 1852




シギリアレディ : Sigiriya Lady

スリランカ中北部の平地密林のなかに忽然とそびえる小高い巨大な岩山シギリアロックがあり、この付近では有名な観光スポットになっていました。





5世紀後半、はるか昔、この岩山の上にはカーシャバ王の王宮があって、たった11年間でしたがこの付近の都となって栄えていたようです。


この岩山の裏の密林にはダルシウスが飛んでいました。


岩山には急な階段があり、息を切らしながら登ってゆくと岩山中腹の洞窟には有名な壁画シギリアレディが残っていました。


シギリアレディの壁画の前にはガードのおじさんがいて、撮影禁止と怖い顔で見張っていました。


私はなんとか撮影したいと思いこっそり1ドル紙幣数枚を握らせると、誰もいなくなってから撮影してもよい、ただし ノーフラッシュと交渉成立。


せっせと撮影したのが、ここに示す写真です。












40年以上前のずいぶん古い写真で劣化が激しく申し訳ありません。今から1500年も昔のシギリアの美女たちの様子がよくわかります。


彼女たちが歩く道沿いのランタナの花には、当時も今と同じようにダルシウスキシタアゲハが吸蜜に飛来していたのではないでしょうか。



Troides darsius Gray 1852


最近では日本の蝶愛好家は ダルシウスキシタアゲハを略してダルシウスと呼ぶことが多い。


インド南西部に分布する Troides minos ミノスキシタアゲハ と同じものだと、したり顔で話しているのを聞いたことがあるが、その人は本物のダルシウスをみたことがないことは明白だ。


一見、ミノスに似ているようですが、ダルシウスは一瞥してまったく異なる特異なスリランカの固有種です。


ミノス♂にはダルシウス♂の特徴である後翅表面基部の大きな黒色斑がありません。


ダルシウス♀はもっと特徴がありますが次項で説明しましょう。 


上述の会話のように、実は日本ではダルシウスの現物をみたことがある蝶愛好家はそれほど多くはないと思われます。


その理由はスリランカの厳重な昆虫採集禁止措置で蝶の標本が日本に入ってこなくなって久しいからです。




1976-3-3 Kandy Sri-Lanka ♂表面



1976-2-27 Kurnagala Sri-Lanka ♂表面



1976-11-7 Kulnagala Sri-Lanka ♂表面



1976-2-11 Uduwala Sri-Lanka ♂表面




    次項、ダルシウスキシタアゲハ♀に続く。





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ミスジチョウが多い渓流に広がるニジマス汚染

2016-02-23 20:31:20 | シロベニヒカゲ
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2012-7-6 (金) 曇り後雨のち曇り 暑い

ミスジチョウが多い渓流に広がるニジマス汚染

この渓流では放流ニジマスが自然繁殖をはじめ在来種オショロコマを駆逐し続けて、源流域へと追いつめている。

2015年現在、この付近は完全にニジマスに占拠されてしまい、ニジマスとオショロコマの競合するフロンティアは、さらに2Kmほど上流へと移動している。

ニジマスはエサの先取り、威嚇、追い払い、時には捕食することによりオショロコマを駆逐してゆく。




オショロコマは源流へ源流へと追い立てられ最終的には消えてしまう。

いつのまにかこのあたりは大雨大増水の後などに源流方面から流されてくるオショロコマが稀にみられるに過ぎない水域になっている。







もう少しするとオショロコマは消えニジマス一色の渓流がまた一つ増えることになるだろう。

こういった状況に対し北海道では行政も所謂魚類学者とされる人たちも、まったく無為無策、マスコミすら知らぬふりを決め込んでいるのは一体どういったことなのだろう。

この渓流は以前よりミスジチョウが多いところだ。



一般的にミスジチョウはオオイチモンジよりは遙かに発生個体数が少ない蝶だが、今のところ毎年一定数の個体が見られる。

オオイチモンジがとても少ない年でもミスジチョウの発生数は絶対数こそ多くはないものの、毎年さほど変わらないと思う。






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シロベニヒカゲ総採集数 シロベニヒカゲ物語 その七

2016-01-10 14:20:51 | シロベニヒカゲ
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シロベニヒカゲ物語 その七

シロベニヒカゲ総採集数

シロベニヒカゲの1991~2007年までの総採集数は3♂♂122♀♀、移行型は1♂2♀♀であった。

北海道産ベニヒカゲの異常型シロベニヒカゲにつき紹介した。この異常型は清里峠から遠く離れた利尻島仙法志でも2003年8月24日に1♀が採集されており今後、北海道・本州の他の産地でも発見される可能性がある。ちなみに1000頭を越える道北産ベニヒカゲや、モンゴル各地で採集した数百頭のベニヒカゲ(E.neriene :恐らく北海道産と同一の個体群)のなかにはこのタイプの異常型個体は見つかっていない。

 註:日本産ベニヒカゲの学名は E. niphonica が用いられることもあるが、いまだ諸説があり今回は 対象が北海道東部産でもあり E . neriene を用いた。

シロベニヒカゲの特徴

1. 赤色色素が発現しない。 そのため前翅表の赤色ないし橙色斑は 淡いクリーム色を呈し 飛翔中は白く見える。

2. ほとんどの個体が♀である。発生地での出現頻度は約1%.

3. 採集されるのは個体群としてやや発生の盛期を過ぎた時期で、多くの♂は汚損しはじめている。♀の盛期をやや過ぎた時期に多く採集される。

4. ある特定の狭い場所で発見される。

5. アルピノ個体のように目が赤く見えることはない。

6. 性染色体性劣性遺伝と推定され、雌性劣性ホモでシロベニヒカゲの形質が発現するのではなかろうか。しかしシロベニヒカゲ♂の存在や、移行型の存在もあり確定的な要因については不明。





右7列はシロベニヒカゲ。











参考文献

1. 福田晴夫、浜 栄一 他: 原色日本蝶類生態図鑑() 1984 保育社
2. 猪又敏男 : 原色蝶類検索図鑑  1990  北隆館
3. 藤岡知夫 : 図説 日本の蝶  1972  ニュー・サイエンス社
4. 永盛拓行、永盛俊行 他 :北海道の蝶 1986 北海道新聞社  
5. 矢崎康幸 :モンゴルの蝶類 Vol.3 ジャノメチョウ科 2002 自費出版 
6. 木村匡孝 : コヒオドシとベニヒカゲの白化型を採集 jezoensis No.32 p.44 、2006 
7. 網田安雄 : ベニヒカゲの白化型を採集 jezoensis No.32 p.44 、2006 
8. 矢崎康幸、他 :北海道東部産ベニヒカゲの白化型についての検討  月刊むし N0.463 pp10~14、2009


                 終わり。






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