ヒメウスバシロチョウ×ウスバシロチョウのF1雑種♂の外見的特徴
2017-2-4(土) 曇り
この日、とある学術集会に出席するため札幌へ向かった。札幌へ出かけるときはしばしば北海道昆虫同好会事務局のあるしにせの古書店南陽堂へ寄ります。南陽堂のご主人高木さんは北海道昆虫同好会の事務局長です。 店の二階は昆虫図書で溢れかえっており、その規模はおそらく世界一とおもわれます。そこで高木さんと蝶談義をすると時間が経つのを忘れてしまいます。
今回は 北海道穂別の ウスバシロとヒメウスバ混生地での 自然雑交F1 のことを いろいろ聞いて最後は彼が穂別で最終したF1 ♂標本の撮影をさせていただいた。
初めて何の予備知識もなくこの標本をみても何も感じないかもしれません。そういえば襟首の体毛は何となく黄色みをおびるがウスバシロチョウほど濃い色調ではない。
実は、これが F1 であることの区別点になります。
ヒメウスバシロチョウは北海道各地に広く分布する。一方ウスバシロチョウは北海道においては分布が局地的であり渡島半島、石狩低地帯から日高山脈、帯広周辺、根釧台地などに限局性に発生地がある。両者とも発生時期は5月下旬から6月上旬で、ほぼ同じ時期に発生する。
主たる食草は両者ともエゾエンゴサクで、このほかヒメウスバはエゾキケマン、ウスバシロはムラサキケマンを食する。
エゾエンゴサク。
エゾキケマン。
これらの生息地のうち、ヒメウスバとウスバシロの分布が重なるところがあり、そこではこれら2種の間で自然交雑がおこなわれ しばしば F1雑種が見られる。
F1雑種♂はそれほど稀ではなく採集されるため、これら二種の交尾段階での生殖的隔離状況は比較的ゆるいと考えられている。
ヒメウスバシロチョウ♂は胸、腹部の体毛が白、一方ウスバシロチョウ♂は胸、腹部の体毛は濃い黄色。
ヒメウスバシロチョウの体毛はとにかく白い。
F1 ♂は 腹部体毛が なんとなく黄色味を帯びており、かといってウスバシロほどの鮮やかな黄色にはならないのが特徴。
これら微妙な差異を写真で表現するのは従来なかなか大変とされてきたが、今回色々な角度から撮影して何とかF1の体毛の色調を表現できたと思うが、いかがでしょうか。
ヒメウスバ×ウスバシロの人工的な雑交実験を行った人がいて、それによれば、今回示したように肉眼的にF1 ♂と判別できるものの他に もともとのヒメウスバやウスバシロとの区別がむずかしい F1 個体もでるというから話は複雑になってゆく。
F1の中には生殖能力がある個体がいるのか、F2、F3 を出すことはは可能なのか、自然界で、もどし交雑みたいなことも起こっているのか、雑交F1 の♀はどうなるのか、頭がこんがらがってくるが、これらを逐一証明してゆくのはなかなか大変なことだと思う。
今回は、とりあえず F1♂と思われる個体の特徴を写真で表現できるか試してみました。
蝶をとりわけ専門とする方でなければ、一体何の話をしているのか、きっとまったくわからないのではないでしょうか。
専門的すぎて、一般の方には申し訳ない記事になってしまいました。
終わり。
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実は、これが F1 であることの区別点になります。
ヒメウスバシロチョウは北海道各地に広く分布する。一方ウスバシロチョウは北海道においては分布が局地的であり渡島半島、石狩低地帯から日高山脈、帯広周辺、根釧台地などに限局性に発生地がある。両者とも発生時期は5月下旬から6月上旬で、ほぼ同じ時期に発生する。
主たる食草は両者ともエゾエンゴサクで、このほかヒメウスバはエゾキケマン、ウスバシロはムラサキケマンを食する。
エゾエンゴサク。
エゾキケマン。
これらの生息地のうち、ヒメウスバとウスバシロの分布が重なるところがあり、そこではこれら2種の間で自然交雑がおこなわれ しばしば F1雑種が見られる。
F1雑種♂はそれほど稀ではなく採集されるため、これら二種の交尾段階での生殖的隔離状況は比較的ゆるいと考えられている。
ヒメウスバシロチョウ♂は胸、腹部の体毛が白、一方ウスバシロチョウ♂は胸、腹部の体毛は濃い黄色。
ヒメウスバシロチョウの体毛はとにかく白い。
F1 ♂は 腹部体毛が なんとなく黄色味を帯びており、かといってウスバシロほどの鮮やかな黄色にはならないのが特徴。
これら微妙な差異を写真で表現するのは従来なかなか大変とされてきたが、今回色々な角度から撮影して何とかF1の体毛の色調を表現できたと思うが、いかがでしょうか。
ヒメウスバ×ウスバシロの人工的な雑交実験を行った人がいて、それによれば、今回示したように肉眼的にF1 ♂と判別できるものの他に もともとのヒメウスバやウスバシロとの区別がむずかしい F1 個体もでるというから話は複雑になってゆく。
F1の中には生殖能力がある個体がいるのか、F2、F3 を出すことはは可能なのか、自然界で、もどし交雑みたいなことも起こっているのか、雑交F1 の♀はどうなるのか、頭がこんがらがってくるが、これらを逐一証明してゆくのはなかなか大変なことだと思う。
今回は、とりあえず F1♂と思われる個体の特徴を写真で表現できるか試してみました。
蝶をとりわけ専門とする方でなければ、一体何の話をしているのか、きっとまったくわからないのではないでしょうか。
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