北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

野外におけるオオムラサキ矮小型の前翅長測定

2015-11-26 20:15:15 | オオムラサキ
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野外におけるオオムラサキ矮小型の前翅長測定

2015-11-14

モルフォオオムラサキの入っている高木秀了氏の標本箱に、たまたまとても小型のオオムラサキが入っていました。

小型・矮小型オオムラサキとしては、これまで稀にみられるオオムラサキ2化個体で観察されています。

または飼育時のひどいエサ不足などでもみられます。 

しかしこれらはそのどちらでもなくて 八剣山でオオムラサキが大発生した年に採集されたものでした。

試みに物差しを持ってきてもらい前翅長を測定してみました。


普通型♂  2012-7-4  八剣山 前翅長 46mm
矮小型 ♂ 2011-7-23 八剣山 前翅長36mm



普通型♀  2012-7-22 浜益村 前翅長53mm
矮小型♀  2011-7-23  八剣山 前翅長40mm




ついでに、夕張産オオムラサキによく見られる三日月紋の個体がありました。

一時期夕張産オオムラサキに特有の形質かとおもわれましたが、その後夕張以外でもしばしば見られることがわかりました。

ちなみに私の標本箱には40年前、札幌円山公園で野外で終令幼虫多数を採集してドイツ箱一杯のオオムラサキ標本をつくりましたがかなりの三日月紋個体がでていました。



2012-7-21 札幌市藻岩山 三日月紋オオムラサキ

 上は 普通型の♂



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2015年、モルフォオオムラサキ大拡散の試み

2015-11-25 22:04:40 | オオムラサキ
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2015年、モルフォオオムラサキ大拡散の試み

最近、話題になっているモルフォオオムラサキ。

雄の翅表の青がモルフォチョウの構造色のようにギラリとスカイブルーに青く輝き、一瞬これがオオムラサキかと目をうたがってしまいます。



何年か前のインセクトフェアで初めて見たような気がします。

通常のオオムラサキ鱗粉の櫛状構造の櫛上のヒダ間隔が103nmであるのに対し、モルフォオオムラサキでは169nm で、とても広くなっており、これがギラリ青く輝く構造色発現の理由であるという。

これまでも日本各地や中国山東省などで、比較的個体数の少ない産地において稀に見られていたようです。

あまり報告されることはなく、稀少性が高いが故にマニアの間で高額で取引されていたようです。

2014-9-7のオークションでは 1♂ 60800円で落札されていました。

劣性ホモで出現するとおもわれるこのモルフォオオムラサキを5年間にわたって累代・かけあわせを続けた結果、モルフォオオムラサキの純系種苗が確立された模様です。

種苗を確立された方のご苦労は大変なものであったと思われますが、この方の立派なところはこのモルフォオオムラサキを、ごく普通に見られるものにしてしまいたいと考えたことです。

すなわち稀少種、稀少個体を追い求めるマニアたちがあまり見向きもしない、ごくありふれたものにして、このチョウが自然状態で見られる滋賀県某発生地の個体群や生態系を乱獲から守ろうと考えたことです。

正にすばらしい発想の転換だとおもわれます。

単に採集禁止の指定のみ、看板をかかげるのみ、密猟者検挙に明け暮れるのみの、古典的でほとんど効果がない一般的な希少種保護対策に一石を投じるものです。

程度の差が大きいのですが多少なりともモルフォ的な輝きを現すオオムラサキ♂は大発生時の札幌近郊の八剣山でもみつかり jezoensis に高木秀了氏が発表しています。

昨年は 3000匹を越える純系モルフォオオムラサキの越冬幼虫がつくられ全国の愛好家に発送されたといいます。

これらがさらに累代されればおびただしい数のモルフォオオムラサキが日本中にあふれることになります。

jezoensis への発表が縁で この幼虫35匹が札幌市の高木秀了氏のところにも送られてきました。

北海道の蝶の飼育の達人、小高密春氏がこれらを飼育して 7♂♂2♀♀が見事に羽化しました。



このうち1♂が 2015年度北海道昆虫同好会懇親会のオークションに出品されたことは先のブログ記事に書いたとおりです。

落札価格は 7500円でした。

白熱したセリではさらに高額に発展しそうな勢いでしたが名音頭取り、事情をよく知っている島谷会員の裁量でこれで急遽落札、この蝶大好きの女性会員の手元にわたったものです。

モルフォオオムラサキ全国大拡散の動きはすでに北海道においても見られ、たとえば F氏の標本箱にもすでに名古屋方面からのモルフォオオムラサキ♂が鎮座していました。


北海道浜益村オオムラサキ♂♀


 左2列はモルフォオオムラサキ。右2列は浜益村通常型オオムラサキ。


モルフォオオムラサキ♂。


モルフォオオムラサキ♂。



もう一度、北海道浜益村オオムラサキ♂♀。


なかなか写真ではモルフォオオムラサキのギラギラスカイブルーをうまく表現できませんが 通常型オオムラサキ♂との違いはおわかりになられたのではないかと思います。






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 2015年石狩市浜益区のオオムラサキの発生状況

2015-08-04 20:06:06 | オオムラサキ
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2015年7月19日 石狩市浜益区のオオムラサキの発生状況を確認


この日、石狩市浜益区のオオムラサキを見に出かけた。

朝まで雨が降っていたので、8時過ぎに出発して、10時頃現地に到着、滞在中は晴れ間が時々あったが気温は20度少しと涼しかった。

結果から言うとオオムラサキは稀に高所を飛ぶ個体が見れる程度で、八剣山と同じく今年はやはり少ない。

結局、14時までいて3♂ネットに入れる ( これ以外はネットチャンスなし ) が、この時期にしては鮮度はまぁまぁ良く、通常より遅れて発生しているようだった。

♀は新鮮個体が飛ぶのを1度目撃したが、♂の鮮度から時期はこれからと思えた。

他はオオモンシロチョウ、ルリシジミが割りと見られただけ、ジョウザンミドリ、アイノミドリなど各種ゼフィルスが多い場所なのに今年は全く見ず。

クサフジ群落がありカバイロシジミも結構採れる場所だが、ボロボロが1頭飛んでいただけ。今年はどうなっているのか?

静岡県西伊豆町で死傷者が出た鹿避けの電気牧柵が今年からポイント横の水田に張り巡らされいて、♀が見つかり易かった山際は見廻る事が出来なくなっていた。

この場所では採集に夢中になり過ぎる方は、道路上で蝶が飛来するのを待つため、車にはねられないよう注意が必要だったが、これからは電気柵にも注意が必要になった。



設置された電気牧柵




オオムラサキが飛来する付近。電気柵があるのでご注意。



 
 オオムラサキが高所を飛ぶ斜面、自動車道でオオムラサキを待つので車にご注意。
 
 高木秀了 記

浜益のオオムラサキ採りは、命がけですね。ご注意ください。

道東ではオオモンシロチョウはほとんど見かけなくなりましたが浜益ではまだ多いのですね。



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北見市で馬追丘陵産オオムラサキ羽化を小学生に供覧

2015-07-25 22:30:23 | オオムラサキ
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北見市で馬追丘陵産オオムラサキ羽化を小学生に供覧

2015-7-25(土) 曇り 一時雨

今日、神戸から帰宅したら、妻が北海道新聞 オホーツク版 2015-7-25 朝刊の切り抜きを見せてくれた。





近年、北海道新聞オホーツク版としてはまれにみるすばらしい記事です。写真もとても上手に撮れていてオオムラサキを見る子供たちの表情がすべてを物語っている。さすがプロはすごい写真を撮ります。


このたぐいのイベントなどあるとクレイマーさんも登場する場合がしばしばあります。 そのため、一般的にお役人や行政はこういった試みやイベントを極力嫌います。

ムシの幼虫はキライ、生き物(昆虫)を殺すのはかわいそう、といったごく一部の近視眼的お母さん。

よその地域の生き物を持ってくるのは生態系を乱すなどと、ちょい物知り顔の無知お馬鹿さん etc….もいないことはないのだろうけれど、オオムラサキを北見で飼育、場合によっては放しても生態系にはまったく無関係。

雀のえさになる蝶が一匹増えたくらいの意味しかありません。

そんな無意味な心配をするぐらいなら最近道内各地の渓流でオショロコマを全滅させているニジマスや、ついに北見にまで分布を拡大してきた外来種カラフトセセリなどに注目することで恐るべき攻撃的外来種のことを子供たちに興味を持たせたほうが遙かにましといえよう。

このすばらしい記事を狭いオホーツクだけにとどめておくのはもったいないので北海道昆虫同好会ブログで全国的に紹介させていただきます。

ちなみに、このエゾエノキ鉢植えと北海道馬追丘陵産オオムラサキ幼虫を提供したのは、このブログでしばしば登場してくる F氏です。


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