北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

2016年4月29日、まさかの雪、GW初日はヒメギフと ?

2016-04-29 12:53:49 | エゾヒメギフチョウ
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2016年4月29日、まさかの雪、GW初日はヒメギフと ?


2015-5-1 北見市にて

2016-4-29 (金) まさかの雪

この日は朝から雪、風も強い。




このところ、あまりに好天が続くので夏タイヤに変えたばかりです。

発達した低気圧の接近に伴い、北海道では29日から30日にかけて道東中心に大荒れになるとの予想。

午前11時現在ではさほどの大荒れではなく、湿ったいやな雪が降りしきっているが積もるほどではなさそう。

しかし予想では明日にかけて40cm積雪の恐れとのことで、また除雪機ホンダ雪丸君の出動になるかもしれない。風も強まってきた。



庭のチューリップ。



タッタソウも花をたたんでしまった。この花が満開になるとエゾヒメギフは最盛期です。






葉を展開したオクエゾサイシンも雪の下。



私がこの一年間楽しみにしてきたヒメギフチョウに会うことは、当面おあずけとなってしまった。



せっかく咲いたカタクリモしぼんでしまった。


ただ、この間の好天続きで北見市界隈のエゾヒメギフ発生地ではボツボツ飛翔は見られていたもようです。

この数日はヒメギフたちも雪のなかでじっと晴れ間をまっているのでしょうか。

どうやら 2016年のオホーツクのスプリングエフェメラルはGW 後半あたりになりそうです。



ギョウジャニンニク。


フクジュソウも雪の下。



フキノトウ。



エゾムラサキツツジもボツボツ咲き始めています。


お天気には勝てません。天候回復を祈るしかなさそうです。




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エゾリュウキンカとエゾヒメギフ新産地発見

2016-04-28 00:24:12 | エゾヒメギフチョウ
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エゾリュウキンカとエゾヒメギフ新産地発見

2015-5-4 (月) 晴れ のち曇りのち小雨

道北や旭川周辺ではエゾヒメギフの新産地発見は発生時期の後半にエゾノリュウキンカ群落を捜すと効率的だ。

エゾノリュウキンカの黄色い花に群がる汚損エゾヒメギフをさがすのは新産地確認のもっとも簡単な方法である。

しかし、北見市ではエゾノリュウキンカの群落はとても少ない。

などと思いながら我が家からほど近い、いまだ未調査であった早春の林道をしばらくゆくと、思いがけず沢筋の湿地にエゾリュウキンカ(ヤチブキ)群落を発見。


道北ではこんなところにはよくヒメギフが飛んでくるんだがと見渡すと、なんとヒメギフが数頭舞っているではないか。

これで今日、またまた新産地を発見したことになる。


気温が上がり出すとヒメギフの個体数はどんどん増えてヤチブキに吸蜜する個体よりは盛んに低く高く縦横に飛び交う♂が多く(この飛び方の意味・理由は後に判明する)多くは破損個体であった。

時々、完全品個体も混ざるが総じて発生時期後半といったところであった。

蝶は活発に飛んでおり、いわゆる生態写真(吸蜜にとまっている写真など)を撮るのは至難である。

これまで私は他人に言うのもはずかしくなるほどの、おびただしい数のヒメギフ展翅標本(ミイラ)を作ってきた。

若い頃は考えもしなかったが、私ほどの年齢になると、ヒメギフを手当たり次第無慈悲に殺し続けたり、不要の大量ミイラ標本をつくることに畏怖の念を持つようになる。

近い将来、あの世で恐怖の蝶殺し地獄へ送られるのを恐れているのだ。

そこで記録用にネットで採集した蝶の手のひら写真撮影を試みた。












しかし、生きたままの蝶の手のひら写真はけっこう難しく猛烈に暴れる蝶をどうやっておとなしくさせるかが難題である。


ヤチブキの湿地を歩くには長靴が必需品。しかしズボンまで泥だらけ。





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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記  その九

2016-04-27 00:05:04 | 採集記・旅行・写真
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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~

             その九

                   中川忠則 



2014年10月17日・18日(スラウェシ島にて)

本ツアーは、経由するスラウェシ島のマカッサル郊外バンチムルン渓谷周辺での採集が追加された。

ここは、オオルリオビアゲハやアンドロクレスオナガタイマイで有名な「バンチムルン蝶の谷」がある。

渓谷一帯は、国立公園に指定され、水遊びの観光客で賑わっているが、蝶の採集は禁じられている。

ところが、ポイントに到着したものの、異様な風景に驚いた。

周りの草や竹林が枯れ、川も干上がっているのである。

蝶が乱舞するというポイントも僅かにマダラチョウの仲間とトンボを目にするだけで、ここがスラウェシかと唖然とした。

地球温暖化の影響か、例年比べて雨が少なく、異常に乾燥しているとのことであった。

それでも、ジャングルの奥に進むと、次第に熱帯雨林の様相となり、ヘレナキシタやサビモンキシタを観察することができ、数は少ないものの、スラウェシ特産の蝶を採集することができた。

最終日は、午前中に採集を行い、正午に公園近くの標本商に立ち寄り、コーランを聞きながらの昼食と標本の購入となった。

ここでも、セラム島のゴライアストリバネをはじめ、各地のトリバネ・キシタを扱っているが、サイテスの認可を受けていないことから、購入はできても、日本に持ち帰ることはできない。

そろそろ終了時間のため帰路に着いたが、飛行場に向かう街道はオートバイと車の数が異常に多く、マカッサル郊外は人力車を巻き込んでの渋滞に次ぐ渋滞、さながら交通戦争であった。

渋滞により、いよいよ帰りの飛行機の時間が無くなってきたことから、ガイドが機転を利かして、空港に近いビジネスホテルへ急遽変更、全員シャワーを浴びて空港に向かった。

お世話になったガイドに別れを告げて、空路ジャカルタへ。深夜のジャカルタ~成田便に乗り換え、翌朝定刻に無事帰国、西イリアンの旅を終えることができた。

さいごに

今回、トリバネチョウの採集成果は端境期のため少なく、筆者の承知しているところでは、メンバー9名で計37頭、うち、雄は、パラディシア2頭、チトヌス1頭、ゴライアス1頭、プリアムス2頭の結果であった。

筆者は、残念ながら雄を捕らえることはできなかったが、ゴライアス、チトヌス、プリアムスの各雌をネットインすることができた。

網の中で「バッサ、バッサ」とうごめくそれは、まさに「とりばね」を実感した。

何より、所期目標のゴライアス、パラディシア、チトヌス各雄の自然の姿を目の当たりにすることもできた。

さらに、飼育ケージ内であるが、間近に見るゴライアス雄の勇姿に感動、その黄金に光り輝く羽ばたきと微かな羽音に言葉を失った。

今回の旅は、西アフリカのエボラ出血熱や本邦初のデング熱が感染拡大する中、催行されたが、道中、不安な出来事は無く、乾期のため蚊も少なかったことから、安心して採集と観察を行うことができた。

また、ガイドの十分な水分補給により、誰も熱中症に罹ることはなかった。

そして、何より、ニューギニアの原始の森で元気に網を振ることができたこと、やさしい現地の人々に接したことで、一層、この地域に親しみを感じることができた。

さいごに、旅行企画の関係者並びに現地旅行スタッフの皆様に心から感謝申し上げる次第である。


             終わり


この紀行文は 北海道昆虫同好会のうすばきNo.104  p. 6-19 に掲載されたものですが非常に好評であったため 本ブログにも再録させていただいたものです。



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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記  その八

2016-04-25 21:01:36 | 採集記・旅行・写真
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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~

             その八

                   中川忠則


トリバネチョウの雑種と個体変異について

J氏は、飼育販売の傍ら、トリバネチョウの交雑に熱心である。




氏は現在、ロスチャイルドとプリアムスの雑種であるタカネトリバネ(O,akakeae)を作出。

飼育ケージ内において、その幼虫を観察することができた。




目下、若齢幼虫を約20数頭ほど飼育しているとのことであったが、その価値については「エキスペンシブ」とだけ言って、教えてはもらえなかった。


それでも、特別にJ氏のスマートフォンに収録された御家族と自慢のゴライアス×パラディシア、ロスチャルド×チトヌスの交雑個体のほか、プリアムスの前翅に金色を配した個体や無紋の異常型等を見せてくれた。





ニューギニア本島のプリアムスの亜種は全てポセイドンとされるが、ここに来て、実に変異が多いと感じた。

図鑑や日本で入手できる個体の多くがノーマル個体であるが、アルファクの高地帯だけでもバリエーションがあり、低地帯産とも異なっているという。



筆者が購入したポセイドンには後翅に黄色の斑紋が現れていた。


J氏が手招きしてプリアムスの様々な異常型を奨めてくれたが見送った。

予算と時間が許せば、ゆっくりと選びたいところである。

氏のこだわりの品は、いずれも高値で取引きされるようであるが、どうやら、顧客のニーズと懐具合をみて、一つひとつ交渉して決めているようである。



西パプア(旧:西イリアン)随想

マノクワリは、近年、モータリゼション著しく、日本製のオートバイが飛躍的に増えているという。

信号は主要箇所を除いてほとんど無く、交通ルールはいったいはどうなっているのかはわからないが、車とオートバイが両脇から進入してくる。


このため、いつでも、どこでも、クラクションで牽制しながら走行することになるのである。

しかし、どんなにクラクションを鳴らしても、飛び出して来る犬や豚とのクラッシュを避けることはできないようだ。

ニューギニアというと原始的な生活をイメージしてしまうが、今や最新の日本車が走り、町にはレストランやスーパーマーケットもあるので、特に生活に不自由を感じさせない。

市街地の照明もLED化が進んでいるようである。また、アルファックに向かう途中、ジャカルタ大手企業とセクターのパームヤシ農園に暮らす人々の暮らしも安定しているように見えた。

ここに来て、私のニユーギニアの印象はすっかり変わってしまった。

宗教について少々注目すると、インドネシアの国教は回教であるが、西パプアはオランダの植民地時代を経てインドネシアの移民政策により併合、幾多の分離独立運動があったと誌されているが、寛容政策により平穏が保たれている。

当地域はクリスチャン人口の占める割合が多く、コミュニティーにはプロテスタントの教会とモスクとが共存している。


イスラム教のモスク。


キリスト教の協会。

ガイド曰く、「両者は大変友好的でトラブルは無い」とのことであるが、更なる近代化と不穏な国際情勢のもと、トリバネチョウ舞うこの地が、けっして紛争に巻き込まれることの無いよう心から願った。

また、西イリアン地域住民の飲酒は禁じられているが、旅行者とスラウェシ島から随行のガイドの飲酒は問題ないとのこと。

回教国ゆえ禁止と聞いたことがあるが、どうも矛盾するので尋ねてみると、当地方の原住民は飲酒の節度に欠け、お酒によるトラブルやアルコール依存症が憂慮されるとして、現地人に対し禁酒法を施行しているのだと云う。

そんな、マノクワリの人々であるが、皆穏やかで誰もが笑顔で接してくれる。

どこかの国のように、街角で罵り合う光景を目にすることはなかった。


                この項、続く。





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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記  その七

2016-04-25 00:34:18 | 採集記・旅行・写真
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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~

             その七

                   中川忠則






トリバネ・ビジネスについて
最終日の午後は、標本商J氏の事務所で昆虫標本の購入が予定されていたので、早めの下山、これまで、通り過ぎていた河原のポイントで、ミナミミカドアゲハ、パプアアゲハ、キララシジミなどを追加することができた。

パプアアゲハ。

ここで、標本商J氏のトリバネ・ビジネスについて紹介する。

冒頭、トリバネチョウはずいぶん流通したと記述したが、なるほど、J氏の量産体制に驚かされてしまった。

羽化を待つトリバネチョウの蛹がズラリと並んでいる。

飼育ケージの蛹の数もさることながら、自宅兼事務所においても、常時大量の羽化が見られ、まさに、収穫と云った感じで、標本の乾燥にも工夫がこらされていた。

トリバネ幼虫。



ゴライアストリバネ幼虫。

データ管理やサイテスの手続き等、まさにプロの仕事である。

トリバネチョウ(全てペア)の価格については、現在、ゴライアス:30ドル(現レートで約3千円)と、かつては何十万円もしていたのに、ほんとうに安くなってしまった。

パラディシア:150ドル、チトヌス:85ドル、ロスチャイルド:13ドル、プリアムス:6ドルとなっており、たくさん購入することで値切ることができるようである。

ただし、良いものには強気である。

なお、J氏の営業範囲は、西イリアンと周辺の島嶼のようで、パプアニューギニアやセラムは含まれていない。

ティミカ産のメリディオナリス:250ドル(日本価格とあまり変わらない。)やパラディシアの別亜種も扱っているので、筆者は、マノクワリ低地帯に産するパラディシア・クリサンセマムを購入することにした。

ちなみに、生態時のパラディシアはバニラの香を発することで有名である。

今回、M氏が採集した際、嗅がしてもらったが、筆者の三角紙のクリサンセマムもまた、良い香りに溢れていた。



  採集許可とサイテス(ワシントン条約)について




海外採集の常識であるが、国内のように自由に採集することはできない。

今回、採集許可手数料は、旅行費用とは別に1人150ドル、許可書には許可ポイントが記されており、同ポイント以外勝手に行動することはできない。

また、現在、西パプアにおける採集許可申請窓口はJ氏のみで、同時にサイテス証明証の発行の権利を有しているのも彼以外いない。

ほぼ独占企業の状態なので、サイテス許可も相当の標本購入が条件となっている。

ただし、今回、トリバネを購入しないメンバーへのサイテス手数料の負担はなかったので、購入者割りとなった。

なお、採集品及び購入品のトリバネチョウとキシタアゲハは正規の輸出扱いのため、各自、三角紙に氏名を記載の上、一括してサイテス証明書が添付された。後日、日本の税関を経由して「月刊むし社」へ送られ、一ヶ月後、無事メンバーの元へ届けられた。


        この項、続く。

 


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