北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

スリランカのクリノオビクジャクアゲハ Papilio crino in Sri Lanka

2017-03-28 20:45:07 | 採集記・旅行・写真
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スリランカのクリノオビクジャクアゲハ 

Papilio crino in Sri Lanka


スリランカは人口約2096万人、インド南端海上にある涙滴状の島国で広さは九州と四国を足したくらい。


スリランカ北部のシギリアで蝶とりをしているとやってきたサロジャニちゃん。
このあとスリランカ北東部は凄惨なスリランカ内戦の最激戦地となる。





第二次大戦後のサンフランシスコ平和会議(1951)で、 スリランカのジャヤワルダナ代表は「 憎悪は憎悪によって止むことはなく、愛によって止む 」という仏陀の教えを引用して賠償請求権を放棄し、日本を国際社会の一員として受け入れるよう訴えた。


また戦勝国による日本の分割統治に強く反対したのであった。


下手をすると、北日本:共産圏、 南日本:アメリカ系 といったお隣さんの国みたいになっていた可能性が高かった。


そんな経緯もあって日本人はスリランカが大好き。


スリランカもかなりの経済協力を惜しまないできた日本を大好き。


人口の70% はシンハラ人でタミール人は18% 、ムーア人8% 、 仏教70% 、ヒンドゥー教 10% 、キリスト教 11% 、 イスラム教 8% で 多民族多宗教国家である。 


産業は 縫製業と農業。紅茶の栽培で有名。


ただ、山地帯の自然がことごとく紅茶畑になってしまい、恐らく豊かな原始自然はごく一部の国立公園くらいにしか残っていないのではあるまいか。


と、はるか昔にスリランカを訪れた当時、私たちは感じました。


少数派ヒンドゥ教徒のタミール人がLTTE という反政府組織を結成し、タミール人が多く住む北東部2州の分離独立を主張して多数派仏教徒シンハラ人の政府軍と内戦状態になった。


1983年から始まり2009年5月に終わった内戦は26年におよんだ。


この間、内戦中のスリランカへ蝶を見に入った人はいないだろうと思う。


いつからスリランカで蝶の採集などが禁じられたのかは知らぬが、今現在はインドと同じくこの国での昆虫採集は公には不可能。


スリランカのクリノオビクジャクアゲハ

ダブレラの世界の蝶類図鑑シリーズで有名なBernard d’Abrera氏は幼少時スリランカに住んでいたことがあるようで、 Papilio crino クリノオビクジャクアゲハとの出会いについて 著書 The butterflies of Ceyron で述べている。


彼は12歳の蝶好きの少年であったが ある日、首都キャンディの父の家の庭でこの蝶を初めて発見したが取り逃がす。


生まれて初めてみた美しい蝶に興奮し、この蝶を狙い続けて四日目にしてやっと捕らえた。


それまでの3日間はこの蝶で頭が一杯、まったく寝ることができなかったという。


確かにとても美しい蝶でインセクトフェアでは南インド産のクリノオビクジャクアゲハが人気でよく売れていた。


本種は南インドからカルカッタにかけての地域とスリランカに生息する。


現在、南インド産はなんとか入手可能な状況だが スリランカ産は厳重な採集禁止措置のため入手は困難、我が国には禁止措置以前の古い採集品が多少残っているかもしれない。


コブラ使いは観光地には必ずいました。私はこのコブラ使いの笛を買ってきました。



私は半世紀も昔のことだが2回、妻とスリランカへ蝶採りにゆき P. crino とよく対面した。


個体数は少ないとは言えないが、とにかく早い、速い、速くて追いかける気が起きないほど速く飛ぶ。


一瞬、花に立ち止まったすきにかろうじて採集しても大抵羽のへりがボロボロで尾状突起が欠けた不完全品でがっかりが続く。


ところが平地と違って森のなかでは比較的飛翔が緩やかになり採集しやすくなると同時に採集品の鮮度もよくなるといった印象であった。


ホソオビクジャクアゲハの別名のとおりオビクジャクアゲハの仲間のなかでは前翅表面の緑の帯は最も細い。


スリランカの森で採集した Papilio crino. 美麗な♂。


  

南インド産はほとんど変異が無いが、スリランカ産は個体変異の幅が大きいといい、そのため両者を亜種区分することが出来ないらしい。


食樹は Satinwood ( Chloroxylon swietenia ) 。 


ダブレラによれば 幼生期や生態は、いまだ断片的知見しかないようだが、おそらく現在では現地愛好家たちはよく知っているのではなかろうか。






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2016年北見市のウラジャノメ発生地で美しいヒメシジミ撮影

2017-03-23 07:24:20 | ヒメシジミ
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2016年北見市のウラジャノメ発生地で美しいヒメシジミ撮影。


2016-7-15 (金) 曇 19度C

この日の撮影時間は、およそ午前10:30~13:00であった。


多数のウラジャノメが舞っていたが、よく見るとヨモギの群落やその周囲の草丈の高い草地をヒメシジミたちがチラチラ縫うように飛び交っている。 


ウラジャノメたちと違って、なかなか止まってくれず、ましてやポーズをとってくれる個体はいない。


それでも発生の盛期のヒメシジミを20♂♂4♀♀ A 確認。


なかで、なんとか止まってモデルになってくれる個体をさがしまわって撮影することができた。














♀の翅表には変異が多く青色紋の出現状態がおもしろい感じ。


 




 


私はかっては猛烈ネットマンであった。


蝶の撮影を始める前は見向きもしなかったヒメシジミだが、展翅標本では見られない美しい姿を撮影できてうれしかった。












特に蝶たちの複眼、羽根の縁毛、胸部、背部、腹部に生えそろった毛並みの美しさは展翅標本ではなかなか実感できないものである。






























シロオビヒメヒカゲ♂。




コキマダラセセリ♀。




イタドリの葉上のウラジャノメ♂。




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2016年、北見市でウラジャノメ多数発生

2017-03-19 11:26:32 | ウラジャノメ
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2016年、北見市でウラジャノメ多数発生





2016-7-15 (金) 曇 19度C

朝8:30 X 氏から電話あり。昨日、北見市近郊でオオイチ4♀♀A トラップ採集したが、近年珍しくよその地域からの採集者を見かけた由。


大雪湖周辺、層雲峡は最近オオイチが激減したため、恐らく本州方面からの採集者が流れてきているもよう。


富里ダムでK氏がカラフトセセリ採集したらしい。


今年は北見市内あちこちで例年になくウラジャノメが多いようだ。


などなど、ホットな情報が入る。


T氏からの情報ということで今年、特にウラジャノメ多い場所をこっそり教えてもらった。


今日は近郊でウラジャノメが例年になくかなり発生しているとの情報があり、それでは陸別方面にでもウラジャノメ撮影に行こうかと思っていた。


しかし急遽予定を変更して北見市近郊をさぐることになった。


かっては北見市でウラジャノメは稀でなかったが、この20年ほどは滅多に見ることがないほど激減していた。


まさに北見市ではウラジャノメは絶滅危惧種状態であった。


うっかり環境省の目にとまればイシダシジミみたいな理不尽な運命が待っていたかも知れない。


それが理由は不明だが2016年は北見市各地でウラジャノメがけっこう発生しているというのだ。


午前 9:30 我が家を出発。  


30分ほど走って、北見市郊外でウラジャノメが多いカラ松植林地に開けた30m四方の狭い草地に到着した。





まさに奇跡的ピンポイントなウラジャノメ発生地だ。





林道沿い、林間草地、小規模な土崖斜面等には食草のリシリスゲがびっしりと見られる。










いるいる。遠くからもフワフワ多数のウラジャノメが飛んでいるのが見える。


このあたり一帯で発生したウラジャノメ♂たちが♀探索で活発に飛び、この狭い草地に一時立ち寄るといったパターンのようだ。


次々に飛来する♂はA1~B でやや鮮度おち。


それでもせっせと撮影した。


ピーカンではなく曇天。 


直射日光がなく、風もなく気温も17~19度C であまり暑くない。


ウラジャノメ♂たちの飛翔も緩やかですぐ止まるので撮影には絶好の天候であった。


フキ、ヨモギ、シダ、カラマツの枝などにとまるのをせっせと撮影。






















ヨモギは意外とあまり好きではないのか止まることは少なかった。







イタドリにとまることも少ない。




シダに止まる♂たち。













シダに止まるウラジャノメ♀。



♀は少なかった。









このウラジャノメ♂と目があってしまった。 おまえ 何やってんだといった目つき。
















リシリスゲ上のウラジャノメ。



新鮮な♀も見られたが少ない。


















ここは若いカラマツ植林地であるがウラジャノメたちは好んで針葉樹カラマツの枝に止まっていた。


根室半島ではカラフトルリシジミが棲息する湿原のアカエゾマツの枝に止まるウラジャノメをよく目撃した。

ウラジャノメは松葉に止まるのがお好き?.


2015-7-18 根室半島のカラフトルリシジミ発生地では多数のウラジャノメが見られ、このような格好でアカエゾマツにとまる個体が多かった。



カラマツの松葉に好んで止まるウラジャノメ♂たち。












単なる偶然の可能性も高いがウラジャノメは意外と松の枝で休むのが好きなのかも知れない。


松ヤニが多く、カラマツのように鋭く尖った針葉樹の葉に止まることは、たとえば天敵から身を守るために有利なことでもあるのだろうか。


今日は♀探索が主目的のようで、♂たちの吸蜜・吸汁シーンはなかった。


結局21♂♂A1~B, 2♀♀A-A1 を撮影できた。


いわゆるLopinga achine jezoensis と思われる個体群で特別変わった斑紋の個体や異常型などはなかった。


来年もここにウラジャノメの撮影にこようと思い、この日は撮影のみにして、あえて採集はしなかった。


似たような環境はほかにもあるのだが、この狭いポイント以外、ウラジャノメは見られなかった。 





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2016年、久しぶりのウラジャノメ

2017-03-17 14:37:40 | ウラジャノメ
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2016年、久しぶりのウラジャノメ




2016-7-9 (土) 曇 一時晴れ のち曇

 朝食は、先日セブンイレブンのクジで当たったトマトケチャップピリ辛ラーメン。まずくもおいしくもない。




午前10時出発。まず北見市近郊のかってのウラジャノメポイントへゆくと、久しぶりに、まさに20年ぶりくらいに発生しておりリシリスゲの多い斜面の木漏れ日の中を敏捷に飛ぶ1♂をみて感激した。














この蝶は木漏れ日の中を敏捷に飛翔することが多い。



かって旭川市旭山のウラジャノメはまさにその傾向が強かった。



木漏れ日のなかでは遠近感がつかなくなるため、なかなか採集しにくかった。






















結局5匹みて3♂♂採集した。


今日のウラジャノメは、活発に飛び回るばかりで生態写真の撮影は困難と判断、手のひら写真を撮影したのであった。



ここは、かってウラジャノメが多産していたのだが、おそらく過度の採集圧のためいなくなって久しい産地であった。


わずかに生き残っていたウラジャノメが復活してきたのかも知れない。


この時はわからなかったが、実は2016年は何故か北見市各地でウラジャノメがとても多い年であった。


近年、オホーツクでは 激減し、今日も、もしかしたらウラジャノメに会えるかもしれないといった程度の気持ちでやってきたのであった。



のちに北見市界隈のいたるところでウラジャノメを多数見かけるという珍しい年になったことを知るのであった。



ギンボシヒヨウモン1♂採集。




フタスジチョウがとても多く交尾行動をしていた。


クロヒカゲとキマダラヒカゲが一斉に羽化しつつあるようで個体数が多い。



廃屋の農家庭のスモモを、ひとしきり叩いたがエゾリンゴ飛ばず。 



キマダラヒカゲを10数匹採集。だいたいサトかヤマかを一瞥で鑑別できるようになった。



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準絶滅危惧種ヒョウモンチョウと今後の蝶の保護のありかた

2017-03-13 22:58:47 | ヒョウモンチョウ
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準絶滅危惧種ヒョウモンチョウと今後の蝶の保護のありかた

わが国のヒョウモンチョウは北日本亜種 Brenthis daphne iwatensis 、本州中部亜種 Brenthis daphne rabia が知られる。 


環境省レッドリストでは いつのまにか準絶滅危惧種になっていたとは露知らなかった。


近似種コヒョウモンが山地性で林道や渓流沿いや湿地に多いのに較べると、広い草地、草原など開けたやや乾いた環境に多いような気がする。


ここはとあるオホーツクの広大なベニヒカゲ発生地。ベニヒカゲ盛期の少し前、ヒョウモンチョウがみられるがベニヒカゲと較べるともともとが圧倒的に少ない蝶である。













オホーツクでヒョウモンチョウが比較的よく見られるもう一つの環境は、ゴマシジミの多い広い草地です。



このような環境は樹木・灌木の生育に伴いやがて自然消滅する傾向があります。そんな環境の時間的推移もそのうちアップしてみたいと思います。






広い草地、豊かな草原が人間の営みに関連して次々に消えたことが ヒョウモンチョウがいつのまにか準絶滅危惧種になった最大唯一の理由である。


イシダシジミの減少も同様。


種々の自然環境の変遷や地球温暖化の影響なども多少はあるかも知れない。


毎度おなじみの蝶が減少→環境省が種の保存法該当種に指定→採集・売買・譲渡禁止.......といったこれまでのような陳腐無意味な環境省のみの一人芝居(やっつけ仕事)は百害あって一利なし



むしろ全国の同好会などに広く現状把握と環境保護、状況によっては種苗の保存などを呼びかける方が有効ではなかろうか。


環境省(たまたまそれを担当することになる数人の職員諸氏)には、ぜひそのような本質的な方向での努力を期待したい。


採集圧による絶滅が危惧される場合はそれに対する対策を早めに柔軟に考慮すべきであろう。



蝶の保護を試みるにあたり最大の関係者たる蝶愛好家全体を真っ向から敵視しているかに見える現在の環境省の態度は、今後とも安易な採集禁止に帰結する外はなく、あまりにも古典的である。



今まさに消えゆく蝶の絶滅を少しでも先送りにしたいと本気で考えるなら、もっとやるべきことがあるはずだ。






ヒョウモンチョウの写真は すべてF氏撮影。





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