北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

いまや微妙な立ち位置のセイヨウオオマルハナバチ

2021-09-26 17:32:28 | せいようおおまるはなばち

いまや微妙な立ち位置のセイヨウオオマルハナバチ

 

ここで閑話休題です。

 

 

20XX-6-13 (土)  晴れ 31℃ 

 

 

 

朝から良い天気。セイヨウオオマルハナバチが朝からブンブン羽音をたてて我が家の家庭菜園を元気良く飛びまわり、この日、初めてネギ坊主の白い花にきているのを観察しました。

 

 

 

 

まだ朝早いせいか、花粉団子は見えません。

 

 

 

このハチの同定は極めて容易で、お尻の毛が白いことで本種と同定可能です。

 

 

 

野菜ハウスでの効率的な受粉目的で我が国に導入された外来種ですが、たちまちハウスから逃げ出し全国で大繁殖、日本在来のマルハナバチたちを駆逐したり、盗蜜で稀少植物を痛めたり、とにかく相当性悪の悪役外来種に祭り上げられて各地で駆除の対象になることもあるようです。

 

 

 

 

一方、トマトやハウス野菜の受粉には、いまやなくてはならない存在とも密かにいわれており、農家さんと自然保護派さんの板挟み状態の微妙な立ち位置のハチと言えます。

 

 

 

 

かく言う我が家の家庭菜園でも、このハチは無償で朝から晩までせっせと働いています。

 

 

 

トマト、ナス、サヤインゲン、キュウリは どうみても全面的にセイヨウマルハナバチさんのお世話になっていると言っても過言ではありません。

 

 

 

孫の女の子たちは、このハチがぶんぶんやってくるときゃーきゃー騒いで逃げますが、普通は決して人間を刺したりしないので、変なちょっかいを出さなければ逃げまどう必要はまったくないのです。

 

 

 

 

これらの収穫は セイヨウオオマルハナバチさんのおかげといっても過言ではありません。

 

 

 

なお、アバウト社会日本とは異なり、在来の生態系をとりわけ大切にするカナダやアメリカでは本種の導入は法律で禁止されています。

 

 

 

日本でもおそまきながら、2000年代になってからは本種を積極的に利用する事態はなくなったようですが、ここまで定着してしまったセイヨウオオマルハナバチは、もはやどうすることもできないのが現状のようです。

 

 

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根室半島のカラフトルリシジミの現状と将来

2021-09-23 10:11:21 | カラフトルリシジミ

根室半島のカラフトルリシジミの現状と将来

 

 

20XX-7-17 (金)  晴れ  強風

 

 

この日、朝8:00 根室半島のカラフトルリシジミ撮影に出発。

 

 

北見→弟子屈→別海→厚床→根室半島のカラフトルリシジミ生息地 まで 北見から私にすれば超遠距離ドライブ約3時間。

 

 

 

 

午前11時ころ現地に到着したが晴れてはいるものの、あいにくの強風でカラフトルリシジミ見えず。

 

 

 

 

 

そこでアカエゾマツの松林の中へ入るとやや風が穏やかになり、日溜まりのようなところで、やっと1♂1♀を発見し撮影した。

 

 

 

 

 

とても小さな蝶でチラチラ結構速く低く飛び、すぐ周りの景色にとけ込んでしまうので見失いやすい。

 

 

 

 

ウラジャノメがかなり発生していて、あたかもモンゴルの Oeneis  jutta みたいに速く飛ぶ。

 

 

 

 

その後、あちこちさがすが、強風があたらず日当たりもよいといったカラフトルリシジミが好んで飛ぶ環境は意外と少ない。

 

 

 

林縁のあたり、ツルコケモモ ガンコウラン コケモモが多く ワタスゲもあるいかにもカラフトルリシジミが好みそうな環境を入念に捜すが、この蝶は見つからない。

 

 

 

とりあえず、スゲが少ないところを中心にカラフトルリシジミを入念にさがす。

 

 

アカエゾマツの林のなかに開けた10m四方ほどの明るい場所を発見、ここに約10頭ほどのカラフトルリシジミがチラチラ飛んでいた。

 

 

 

 

ガンコウランに止まる♀

 

 

アカエゾマツの枝にもよく止まる。

エゾイソツツジの葉に止まる♂。

 

 

なかなか止まってくれないが辛抱つよくエゾイソツツジ、ガンコウランなどに静止するチャンスをうかがっては撮影を続けた。

ガンコウランに止まる♂。

 

 

 

 

 

近年、乾燥化した湿地にはスゲがどんどん侵入しており、訪れるたびに湿地の乾燥化がすすみ、雑草やスゲが侵入するためカラフトルリシジミの棲息環境が狭くなってゆくのが実感される。

 

 

 

このあたりにウラジャノメが増えているのは、乾燥化しつつある湿地に侵入する食草のリシリスゲが増えているせいと思われた。

 

 

このような湿地も多いが、高層湿原というよりは唯の湿原になってしまって、このようなところにはカラフトルリシジミは見られない。

 

 

 

 

 

盛んに草のなかに苦労して潜ってはツルコケモモの花に吸蜜していた。少し前まではツルコケモモに追い被さる草本はなかったはずだ。

 

 

 

前述のごとく草にもぐられてはカラフトルリシジミの撮影はなかなか手強い。

 

 

  この項、続く。

 

 

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ツルコケモモの花に吸蜜する根室半島のカラフトルリシジミ。

2021-09-22 01:39:00 | カラフトルリシジミ

ツルコケモモの花に吸蜜する根室半島のカラフトルリシジミ。

 

20XX-7-17 (金)  晴れ  強風

 

 

 

根室半島のカラフトルリシジミの主たる食草はコケモモやガンコウランではなくツルコケモモであることが現地同好者たちの詳細な調査で知られており、吸蜜植物としてもツルコケモモの花が最も好まれているように見える。

 

 

 

しかしツルコケモモの花は蜜量が少ないのだろうか、吸蜜時間がとても短い上、ツルコケモモの花におおいかぶさる植物をかき分けて素早くデジカメを挿入し蝶へ接近しなければならず、その時の草の動きや振動ですぐ蝶が飛んでしまうためなかなかシャッターチャンスが得られない。 

それでも、せっせと撮影したがいまいちの写真ばかりでおまけに強い太陽光でしらっちゃけた写真ばかりでイヤになる。

 

 

 

えんえんとカラフトルリシジミを追いかけ回したが、結局たいした写真は撮れず、午後3時過ぎには松の木陰になって日があたらない場所が多くなり気温もどんどん下がってきた。

 

 

 

 

やがて常に10頭ほどは視界に見えていたカラフトルリシジミたちは、いつのまにか全部消えてしまい見えなくなった。

 

 

たまたま目にとまった1 頭は風に乗って舞い上がり、7-8mもの高い松の梢に止まってそのまま静止していた。こんなところで夜を越す個体もいるのかも知れない。

 

 

高層湿原のコキマダラセセリ♂。 エゾイソツツジの葉に静止していた。

 

 

         この項、続く。

 

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モウセンゴケに捕らえられたカラフトルリシジミ

2021-09-19 10:10:41 | カラフトルリシジミ

モウセンゴケに捕らえられたカラフトルリシジミ

 

北海道、根室半島の高層湿原ではミズゴケ、ツルコケモモのあるところ、決まって

モウセンゴケ Drosera  rotundifolia が見られます。

 

 

モウセンゴケはウツボカズラ、ムシトリスミレなどとならんで有名な食虫植物の一種です。

 

 

 

 

ここではツルコケモモに吸蜜にきたとおぼしきカラフトルリシジミが捕まっていました。

 

 

ここのカラフトルリシジミにとっては密猟者(ニンゲン)に匹敵する天敵かも知れません。

 

 

 

モウセンゴケとはいいますがコケではなくれっきとした種子植物。

 

 

 

葉の表面から虫を呼び寄せる甘い香りのするねばねば粘液をだし、それにくついてしまった小昆虫を包み込んで消化吸収します。

 

 

   この項、続く。

 

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ワタスゲにストローを伸ばすカラフトルリシジミ

2021-09-17 20:12:13 | カラフトルリシジミ

ワタスゲにストローを伸ばすカラフトルリシジミ

 

 

 

根室半島の高層湿原ではカラフトルリシジミが最も好む吸蜜植物はピンク色のツルコケモモの小さな花です。

 

 

 

しかし、ツルコケモモは地表近くにあり、普通そのうえを種々の草類が覆うので、カメラで接近しにくく、花は小さく蜜量も少ないため、すぐ飛び立つので撮影は困難をきわめます。

 

 

 

いっぽう、ワタスゲにストローを伸ばすカラフトルリシジミは多く、常識的にワタスゲで吸蜜しているとは考えにくい。

 

恐らく、朝露で湿ったワタスゲから吸水しているのでしょうか。

 

 

ツルコケモモの吸蜜とは異なり、しばらくはストローを伸ばしているので撮影は比較的容易でした。

 

 

 

 

この項、続く。

 

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