北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

モンゴルのスーチャンヒョウモンモドキ

2024-02-28 13:19:22 | 蝶・昆虫・自然・同好会など

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モンゴルのスーチャンヒョウモンモドキ。

 

7月上旬のモンゴル、ウランバートル近郊の豊かな草原には多数のスーチャンヒョウモンモドキ( Melitaea sutschana )が一斉に発生する。

 

その数は、時におびただしいものになります。

 

この蝶オスはあまり変異が目立たないがメスの多型性は著しく、目が慣れないうちはスーチャンヒョウモンモドキ以外の蝶に見えてしまうことも稀でない。

 

 

 

拙著 モンゴルの蝶類 第2巻タテハチョウ編 ではメス個体の多型性を示すために多数のメス標本をせっせと提示したものの、きりがないので途中でやめた。

 

 

 

人間の目で見れば本種のメスは多型性に富み同定に苦慮するものもある一方、本種のオスから見れば一目瞭然の紫外線模様パターンや、フェロモンによる誘導があるのかもしれない。

 

スーチャンヒョウモンモドキの交尾。裏面はオスメスともによく似ており大型個体がメス。

 

 

 

モンゴルにおける幼生期や食草は、ほとんど調べられていないが幼虫はおそらくオオバコ科、ゴマノハグサ科の植物を食すると推定しています。

 

 

 

 

 

北部のボルガンやフブスグル湖周辺にも産するがウランバートル周辺ほどは多くない。その他の地域、モンゴル北西部や南ゴビでは見ていないが調査は不十分。

モンゴルのマツムシソウでしょうか。

 

生態写真は吉田嘉男氏が撮影。

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最後のチョウ、オオウラギンスジヒョウモン 

2024-02-18 15:48:00 | オオウラギンスジヒョウモン

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最後のチョウ、オオウラギンスジヒョウモン 

 

その名のとおり、オオウラギンスジヒョウモン Argyronome ruslana は ウラギンスジヒョウモンを大きくしたような印象の中型サイズのヒョウモンチョウです。

 

 

 

 

北海道、本州、四国、九州に分布し、北海道では普通にみられるチョウです。普通種のわりにはあまりよく調べられておらず、たとえば自然界では何令で蛹化するのかもさだかではありません。北見市の飼育では6令で蛹化しています。

 

 

 

 

 

 

 

本州方面では7月に発生したヒョウモンチョウたちの成虫は夏期の猛暑を避けて夏眠し、気温がおちつく9月に夏眠からさめて交尾産卵するようですが、比較的冷涼な北海道では夏眠せずにダラダラ夏を過ごす場合もあるようです。つまり北海道では、ヒョウモンチョウ類の夏眠現象は本州方面のようなクリアカットなものではない印象をもっています。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、近年地球温暖化の影響か、北海道もこれまで経験したことがないような猛暑の夏が見られるようになっており、北海道におけるヒョウモンチョウ類の夏眠もやがて常態化してゆく可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

これまで、しばしば述べて来ましたとおり、自然環境・生態系は長い地球の歴史的にみてもある一定のところにとどまっていることはむしろ少なく、刻一刻と今現在も変化し続けているのが普通です。

 

 

 

 

 

 

 

北海道においては、はっきり夏眠を確認、実感できるヒョウモンは、いままでところギンボシヒョウモンのみでした。オホーツクのオオウラギンスジヒョウモンは夏眠の有無はともかく、従来、夏場はあまり個体数は多くない(多くはないが飛んではいる)と感じています。

 

 

 

 

 

さて、夏が終わり秋になると渓流釣りのおりなど川沿い、林道沿いでみかけるオオウラギンスジヒョウモンは個体数が急増し、ボロボロのメスグロヒョウモンに較べたりすると、オオウラギンスジヒョウモンはとりわけ立派なメスをよく見かけます。

 

 

 

さらに、9月が過ぎ10月に入るとチョウたちはどんどん姿を消し、やがて見かけるヒョウモンチョウはオオウラギンスジヒョウモンのメスのみになります。そうです。多くのチョウたちが姿を消す晩秋、渓流釣りの際、みかける最後のチョウはオオウラギンスジヒョウモンのメスなのです。

 

 

 

 

上記のお話は私が長年オホーツクで感じてきたことですが、道内各地に普遍的なものなのかどうかについては、多少地域差のようなものはあるかも知れないことをお断りしておきます。

 

 

 

 

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生態系を宇宙人の視点から見ると。

2024-02-08 14:02:55 | オオモンシロチョウ

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生態系を宇宙人の視点から見ると。

 

 

2009-8-5    北見市の我が家の庭のクロフネ ツツジの葉上で交尾していたオモンシロチョウのペアを撮影しました。

 

 

当時、蝶の世界の最悪の悪玉外来種はオオモンシロチョウ Pieris brassicae であろうと思われていた。この大型のシロチョウはかって日本にはいなかった。突然現れた本種はたちまち北海道全域に分布を広げ、在来種のモンシロチョウPieris rapae を各地で駆逐しつつあった。

 

 

北見市では私が見ていた範囲内ではやがてオオモンシロチョウ一色になり、モンシロチョウは消えた。

 

 

ブラックバスやブラウントラウトと同じく駆除は至難の業だと思われた。

 

 

ちょうちょ、チョウチョ、菜の花にとまれ.......と歌われた日本の在来種モンシロチョウはオオモンシロチョウに圧倒されて各地で消えつつあったが案外これを悲しみ問題視して大騒ぎする蝶愛好家はいなかったと認識している。我が家の菜園では、やがてエゾスジグロチョウも消えた。

 

 

 

私も含めて、蝶の研究家たちはある意味で達観していて、これも広い意味で自然の成り行きの一つと捉えているのだと思う。

 

 

 

実際、いわゆる生態系はある状況でとどまることはむしろ少なく、日々変動し続けるのが普通だ。

 

 

 

いわゆる自然保護・生態系保護を訴える場合このような視点は必須だと思う。

 

 

 

とくに採集禁止種増産のみに明け暮れている環境省などは、この視点が欠けているかに見えるのは私だけだろうか?。

 

 

 

ヤマベをはじめ天然の渓流魚が激減したのも外来魚問題も環境汚染も地球温暖化も宇宙人の目からみれば単なる地球上の生き物たちの自然の営みの一環にすぎない。

 

 

 

なかでも人間という生き物が根元的に地球環境にとって最悪の生き物だと思われるのは間違いないだろう。

 

 

 

2023年、この数年オオモンシロチョウの勢いは急速に衰えはじめ、気がついたら我が家の庭のコマツナには多数のモンシロチョウ幼虫が見られるようになった。

 

 

 

気候変動の影響か、寄生蜂によるコントロールが効いてきたのか、その他の原因か、理由はわからないがオオモンシロチョウは近年激減し、モンシロチョウやエゾスジグロチョウが復活してきているのです。

 

 

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