出来上がった宿題の一つ。 ちょっと神妙なカー君。
暑い暑いと嘆いた夏も、ここにきて雨による水冷効果でひと息付いたと思ったら、残暑再び。
早い秋の訪れを待ちたいと思ったら、今度は台風接近のニュース。なかなかうまいこと行かないものである。
孫君達の夏休みもいよいよ残すところわずか。自称「じいちゃん学校校長」としては、宿題が気にかかる。
我が家で出来る「夏スキル」や「漢字・算数ドリル」などは、まずまず提出できる程度に終わらせた。
もちろん、日々の記録を残す「一行日記」も、課題の通り、五七五調で書きあげていった。
問題は工作である。といっても、決して不器用な仲間に入る我輩ではないが、なかなかテーマが見つからないでいた。
夏休みに入って間もなくの頃、母親が看護師として働く介護施設に、我が教え子のカー君が遊びに行った。
その日、80歳近いデーサービス通所者のおじいちゃんが、それはそれは見事なスカイツリーの模型を作って、施設に持ってきていたのだそうな。
それを目にしたカー君は、得意の社交術でそのおじいちゃんと一気に仲良しになったという。
「ボクもスカイツリーを作りたい」とか言ったのに違いない。そのおじいちゃんも本気になって「教えてやろう」ということに。
竹を細く削り、接着剤を用意し、原材料全てを調達して、週1回来所するたびにマンツーマンで教えてくれたのだと言う。
まるで自分の孫に作らせるように、優しく、懇切丁寧な指導であったようだ。じいちゃん校長より優しかったのかも。
カー君の出来上がりは、高さ42cm。縮尺1500分の1。
おじいちゃんの作品は1000分の1で、もう一回り大きいのだが、「学校に持って行くのに大き過ぎる」という、怖気を知らないカー君の申し入れに応じて、この寸法になったとのこと。ちゃんと計算済みの縮尺でうまく出来上がっている。
ちょっと口惜しいが仕方がない。世の中には得意な分野を持つ人は色々いるものだ。
工作の宿題は、その器用なおじいちゃんといち早く仲良しになったカー君の手柄であり、週一ではあっても一生懸命努力した成果が形となって現れたことになる。
兎に角、あと数日でじいちゃん学校も閉鎖される。ホッと一息?いや、しばらくは9月の風を寂しく感じるのかな。