千畳閣から見下ろす厳島神社と、遠くに大聖院を望む もみじ谷公園の一角
もみじ谷公園、お弥山さん登り口付近の紅葉
隠れ紅葉の名所と言われる、というか、自分で勝手にそう呼んでいる、国の名勝「錦帯橋」の奥座敷。「岩国もみじ谷公園」。
オオ!見事なものだ!! と、毎年のことながら、数少ないお国自慢の紅葉を愛でてきた。
ところが今年はどうも様子が違う。イロハモミジの艶やかな朱色や、大銀杏の黄金色、いわゆるまばゆいほどの黄落に出合えなかった。
いつまでもいつまでも続いた厳しい残暑のお蔭で、秋という季節が短く、とたんに冬が来るのかと思わせたりして、はなはだしい天候不順。そんな異常もあって、紅葉も例年通り、すんなりとはいかなかったようだ。
結局、目を見張るような艶やかさには出合わないままとなった岩国。
ならば近くにある、こちらは天下に名高い日本三景のひとつ、安芸の宮島を訪れてみた。
もう一つの目的は、世界遺産の厳島神社に詣でるという厳粛な楽しみもある。さらに今一つ、私的な要件もあった。
早めに家を出たにもかかわらず、祭日と土曜日が重なった勤労感謝の日。宮島口駅周辺の駐車場という駐車場は朝から満杯状態。山陽本線を横切った山手の民間駐車場を辛うじて確保。急いで船で渡ると、参道のみやげ物通りはまるですし詰め。縁日の浅草仲見世通りか、年末のアメ横を思わせる混雑ぶり。
日本三景・世界遺産という知名度にはこれほどの人が集まるのかと、改めて舌を巻く。
お目当ての要件を済ませて、神社から少し奥まった山ふところへ。
そこには、放し飼いの鹿もそこかしこ。広い広いもみじ谷公園が待っている。青春時代の甘酸っぱさがジワ~っとわいてくるところ。
ところが、これほどの多くの人出。遠い昔の感傷に浸る間もなく、人影の少ないところを見つけては、紅葉の景観をカメラに収める。
残念なことに、岩国もみじ谷と同様、紅葉そのものは、例年の艶やかさには遠く及ばなかった。
やはり異常気象は、どこもかしこもわけへだてなく、紅葉の見事さを抑えてしまったようである。仕方がない。
その昔、宮島には「やもめの神様」が住んでいて、仲の良さそうなアベックには嫉妬心が働いて、別れさせるから、
カップルではなるべく行かない方がいい・・・などとまことしやかにささやかれた。
それも遠い昔の話なのか、今では完全なデートスポットとなっていて、アツアツのカップルの多いこと。
古手のカップルは、人ごみに圧倒されて早々に退散。次回こそお弥山さんに登ることを誓って・・・。