やんちゃでわがまま、屁理屈こねたり生意気なことを言ったり、なかなか素直に言うことをきかない5才児。
良いこともそうでないことも、二人の兄から色んなことを教わって知恵がついた孫三男坊。
色んな事にこだわりをもっていて、きかん気が強い。それだけに、どうかすると面白くて、からかうのが楽しい時もある。
そして一つを始めたら、他を見向きもしない執念も見せる。何となく将来に夢を抱かせるような一面も合わせ持っている厄介なちびっこ。
幼稚園から帰ってくるころには、NHKの大相撲が中入りとなり、本格的な取り組みが始まる。
おやつを食べながら、あの仕切り時間の長い、どうかすると退屈な相撲を楽しそうに見ている。
2チャンネル、Eテレでは子供向け番組が華やかに放送されているのに、相撲があるときはチャンネルを替えない。
「じいちゃん、これは誰?ガイジン?どこの人?」一番一番質問が飛んでくる。
「この人もまたモンゴルじゃ」というと、「またモングリか、モングリばっかりじゃね」と一丁前に言う。
やがて、「えんどーはまだかねー?」と來る。まだ髪が短くて大銀杏は結えないのでちょんまげで登場する遠藤を待つ。
取り組み前後の花道の奥を映す画面で、えんどーは、と探している。
何故えんどーなのか、何故白鵬じゃいけないのか、よくわからないが、えんどーひと筋
「遠藤は強いからもうちょっと後になるよ」、と番付についても少し説明してやる。
「じいちゃん、えんどー早く出してや」とせがみ始めるが、こればかりはじいちゃんも何ともならない。
そして、永谷園の宣伝垂れ幕が土俵を一周すると、あれは何か?。勝ったら懸賞金がもらえることを教える。
「勝ったらお金がもらえるん?」「そう、なんでも強くなったらお金がいっぱいもらえる」「横綱はいっぱいもらうね」
こんな会話をしながら、相撲に付き合う。
上の兄二人とは、こういう面では丸っきり異なる感性を持っている。
相撲を見ると決めたら、ジーッと相撲を見ている。幼稚園のお疲れで眠くなるまで続く。何かの魅力を感じているのだろう。
やがてジジの口から、強くなることの大切さ、そのための努力が欠かせないこと、などを話して聞かせる日がくるのだろう。