嫁が友達の結婚式に参列するため、姫孫を連れて里帰りしてきた。
式場が遠くなので一日がかりとなり、帰るのは夕方になるが、姫を一日預かってもらえるかという。
得たり賢し!まかせなさい。心配せんでいいからゆっくり行っておいで、と送り出す。
別れ際は愁嘆場になるんじゃないかというジジ・ババの心配をよそに、あっけらかんと母親にバイバイする希姫。
どういうわけか、生まれて間もなくから我が家がえらくお気に入りの姫孫ではある。
ちょっとご機嫌斜めな時は、裏の畑に抱いて出て「ちょーちょ、ちょーちょ、菜の葉にとまれ~ ・・・ ・・・」
などと歌ってやると、すぐに上機嫌になってケラケラ笑い一緒に歌う。
そんな切り札を持っているから、親のいないお守りもさほど心配ではなかった。
母親が出かけるとすぐに「コウエン、ギットンバット」と片言の催促。早速ジジの出番。公園であれやこれや。
一通り公園遊具を触ると、いよいよ「オサンポ・・・」となる。
時季やよし、田んぼにはハスの葉が広がりを見せ、カエルもカニも出始めている。希姫とジジのゆっくりした時間が流れる。
「長丁場の守りだ、できるだけ好きなようにさせてやろう」ジジ心丸出しで、つかず離れず後ろをついて歩く。
いつもの散歩コース、何の危険もない。と高をくくったのが過ちの始まり。
耕運機などの農機具を上げ下ろしするために、道路から田んぼに向けてコンクリート製の坂道がつけてある。
この小さな坂道を「トントントン・・・」自分で声を出しながら、上がったり下りたりするのが大好きな希さん。
その日も同じように「トントントン」。ジジが笑顔で見つめる目の前で、思いっきり田んぼにはまった。さあ大変!!
腰から胸まで浸かってしまって大泣き。ジジもドベドベになって抱き上げる。二人とも見るも無残な泥まみれ。
ひっかかえて走って帰り、泣き叫ぶ姫をあやしながらシャワーを浴びさせて一件落着。
改めてよく見ると、これまでは田んぼに水がなくて、コンクリートの切れ目がちゃんと見えていた。
それがこの季節。田んぼにたっぷり水を張り、そのうえに水草がべったり表面を覆っている。
まるでどこまででも歩いて行けそうな陸続きの雰囲気である。
間もなく2歳の誕生日を迎える彼女にその区別がつくはずもない。明かな監督不行き届き。切腹ものである?
「二度とじいちゃんと散歩に行かない」などと言い出さなきゃいいのだが・・・。
三つ子の魂百までというが、まだ2歳だから、忘れてくれればありがたい。
服の着換えは揃えてあったから助かったが、くつの履き替えまでは準備していない。午後から早速、靴や靴下を買い求めて。
あの小さい子供の靴の高価なのに驚いた。誕生祝はすでに準備してあったのに、余分なプレゼントという出費のおまけつき。
孫守りはくれぐれもご用心。姫には泣かれるし、無駄な出費にジジは泣かされますぞ~ という孫守り騒動記のお粗末!!