1枚の年賀状(部分的修正を加えている)
今年ばかりはどういうわけか、年賀状を頂いた数が予想以上に少なかった。
我が国のお正月風物詩として長年根付いてきた年賀はがき文化が、平成の終わりを迎える今、衰退の一途をたどっているのかもしれない。それよりも葉書を含む手紙文化そのものが消えてしまいそうである。
そんな中、一枚の心温まるというか、ジジの心を震わせるような年賀状が届いた。孫三兄弟の三男坊、小3の悠雅君からである。表面(おもてめん)の宛名はたどたどしい鉛筆書き。大きな字や小さな字。漢字に平仮名も混じる住所や名前。郵便配達泣かせではある。
決して上手ではないが、愛おしさはこれに勝るものなし。百数十枚の中のピカイチである。
裏面の通信欄には「ことしは、ソフトボールいっぱいやるよ」と書かれている。
昨年までならおそらく、ソフトボールの文字が「スキー」だったはずである。ジジがソフトボールを必死に応援する姿に忖度があったのかも。それにこの冬3年生で、灘オールスターズという選抜チームに大抜擢された自覚がそういわせたのかも。
完全アウトドア派で、放課後教室の先生方を悩ませるほどの机ぎらいではあるが、そんな彼の手で必死に書いた年賀状にはちょっとだけ値打ちを感じるジジである。
年賀状とは、言わずと知れた年の初めのお祝いメッセージである。せめて松の内で終わりにしてほしい。
こちらから出した返礼だからと言って、10日以上過ぎて「おめでとう」などと言われても「ちょっと待ってよ」と言いたくはなっても有難みなどありはしない。いっそ来ない方が気持ちすっきり。
たった1枚の葉書。夢おろそかに扱うなかれ。と自分に言い聞かせよう。多分半年もすれば忘れてしまって、また同じことを繰り返すのかもしれないが。