鵜飼トレーニング(予行演習) 潜る前に鵜匠が鵜の首を撫でてやる
川風が無遠慮に吹き抜け、身震いするような冷たさ寒さの錦帯橋下の川面で、早くも今年の鵜飼トレーニングが始まった。海鵜を捕獲して調教したという元気有り余る鵜は、寒さもなんのその。手縄(たなわ)を緩めれば文句なし川面に飛び込み、あっと言う間に潜る。鵜匠が投げ込んだ魚をくわえて引き上げられる。鳥と人間の見事な連携プレーである。
錦帯橋観光鵜飼の本番は6月1日からというのに、早くも鵜舎での基礎訓練を終えて、本番さながらの実践トレーニングである。鵜匠も船頭さんも、こんな寒さをものともせず、繰り返し繰り返し練習して、鵜とともにそのシーズンの開幕を待っている。
シーズンを待つと言えば、プロ野球選手もこの季節は自主トレーニングに精出す時期である。
春のキャンプインで首脳陣にどれだけアピールできるか。自主トレ成果が問われる大切な季節でもある。寒さで体が固くなっていてケガをしなけりゃいいが、などと甘いことばかり言っていられない世界でもある。
6月に開幕する鵜飼はすでに本番さながらのトレーニングをしている。3月下旬に開幕するプロ野球選手が今、玉の汗を流すのは至極当然のことなのだろう。
と、ここまで書いたところで「悠雅君がテレビに出るよ」とカミさんが叫ぶ。
図らずも、今夕の地元ケーブルテレビ「デイリーアイ」というニュース番組で、悠雅君所属チームの練習風景を流した。そのワンカットに横っ飛びで捕球しようとする悠雅君の姿が映った、という次第。
暮れに里帰りした、プロ野球日本ハムの清水優心選手がノックしてくれるのを、順番に捕球してバックホームする練習の様子を撮影したニュース番組であった。それにしてもかっこいいところを捕えているね~などと、鼻の下を伸ばすジジである。
寒い時季に手に息を吹きかけながらボールを追う姿は、鵜匠に操られて必死に水に潜る鵜にも似ている。
ちょっと同情はしてみるが、やはりこの時期のトレーニングは大切なんよ、と言い聞かせたくなる。