日に日に色を増す里山の緑 五月雨を 集めて早し 根笠川
頃合いを図ってクルマを飛ばし、里山のふもとにある小さな梅林の下刈りに行ってきた。
青梅が実って、ちょうどもぎ頃を迎えるのが6月半ば、かれこれ1か月後である。その時のために、ぼうぼうに生い茂る下草を一度刈っておかなければならない。この時期の乗り越えなければならない難関のひとつではある。これをやっておかないと、梅干し・梅酒・梅ジャムそして青梅外交がままならない。収穫という欲がからんで、毎年汗を流すのだが、その労働が少しずつ億劫になりつつある。お年頃かね~。
オレがやらなきゃ誰がやる?というほど粋がるわけでもないが、草刈り機や必要グッズをクルマに積み込み、いざ出かけてみると、山深い里の緑が格別な色合いで迎えてくれるようだ。五月雨を集めた小さな川も、瀬を早み岩にせかれて白波を立てながらせせらぎの大合唱を聞かせてくれる。
着くまでのちょっと落ち込んだ気持ちを吹き飛ばすように、緑の風とせせらぎが背中を押してやる気にさせる。さあやるぞ~!
と思った瞬間、目の前に大と中くらいの2匹のヘビが戯れているのにぶつかった。一瞬体が硬直する。それほどに未だ好きになれない動物である。
長柄の鎌の裏側で追い払おうと、威嚇の音を立ててみる。反応しない。もうちょっと近づけて直接押してみた。なんと生意気に、鎌に向かって反撃をするしぐさを見せるではないか。さらに追い払おうとすると頭をもたげて攻撃の構えをする。いささか頭にきて、本気で鎌の裏側で衝撃を与えた。渋々というかようやくというか、仕方なしに大きい方が草むらを揺らして去っていった。しばらくして観念したのか中くらいの方も、後を追うように草むらを揺らして去っていった。
怖さ半分で草刈り機のアクセルをしっかり握り、回転音を唸らせながら「遠くへ逃げていておくれ」と祈りつつ刈り進んだ。その後何事もなし。ホッ!
そこで思いついた。待てよ!ひょっとしたらアタシともあろうものが、彼らの恋路の邪魔をしたのではないか、と。
普段、ヘビという臆病な生き物は人間を恐れ、出会うとすぐに危険を感じていち早く逃げ惑うものだ、と思い込んできた。それが、マムシでもない普通の青大将が人間様に抵抗してくるとは、彼らには彼らの何か事情があったのに違いない。
2匹が仲睦まじく戯れる。しかも危険を冒してでも人間に抵抗する。なかなかその場を離れない。これは親子ではない。カップルであったのに違いない。
とすれば、あの抵抗も執拗さも理解できる。う~ん、季節や良し、お天気も良し、子孫繁栄に一役買っていたのだとしたら……。
無粋な、わりーことしたねー。ヘビさんごめんなさいだ。それでも、どうしても好きになれないあの長いニュロニョロ。
過疎に悩み限界集落に近い山里ではあるが、深い緑、昔懐かしいせせらぎ、動植物の営み。味のある発見はいくつもあるということか。