「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「ゴマすり」

2008年06月11日 | つれづれ噺
朝ご飯のお味噌汁が実に香ばしく、食欲をそそられる時がある。
毎日ではない、たまーにでもない。ほどよい周期でその味に出会う。その正体は擦りつぶされたゴマをスプーン一杯分、お味噌汁に混ぜ会わされた隠し味。

市販のゴマをレンジでチンしてスリバチで擦る。何とも言えぬいい香りが部屋に広がる。栄養価が高く健康にもいいから、という話を小耳に挟んだカミサンが、擦りつぶしては密封容器に保存しておく。

擦るのは彼女の仕事の一つなのだが、たまに野球中継などを見ながらお手伝いのつもりで擦ってみる。中にはしたたかなゴマがいてなかなか全部が擦りつぶせない。すりこぎを持つ手に段々力が入る、目はテレビにくぎ付け。ゴマがはみ出し、あたりを汚す。「真面目にゴマを擦りんさい」と叱られる。

どこかで聞いたセリフだなーと考えてみる。「ゴマを擦る…」嫌ーな言葉だなーと遠い昔を思い出す。世渡りの難しさは男も女も変わりないと思うが、特に男の世界は厳しかったように思う。時には意に染まぬ命令に反論することもある。そんなときついつい揉み手をしながら、ベンチャラの一つも言って「真面目にゴマを擦って」自分の有利な方向に結論を持って行く…。

あっさり割り切って、今、我が家で必死になってやっているほど若い頃にゴマを擦っていたら人生変わっていたかも知れない。でもゴマを擦れば力余って周囲を汚してしまう不始末では、所詮へたな生き方しか出来なかったのだろう。

ゴマの油と農民は、絞れば絞るほど出るものなり、などと徳川幕府の某勘定奉行がほざいたという話を聞いたことがあるが、ゴマの油は実際に健康食品として重宝されていることに違いはない。

朝ご飯の準備が忙しかったり、ご自分の出勤がせわしなくなったりするとゴマ入り味噌汁がお預けになるが、毎日ではこちらの有り難みも薄れるので、ほどよい回数がちょうどいい。それにしても健康食品への飽くなき挑戦には頭が下がる。

たまにはカミサンにゴマを擦る方策も考えないと、バチが当たるかも。
    (写真:血管の浮いた細腕で、必死にスリバチの「ゴマを擦る」)

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