世にスポーツと言う名は数々あれど、純粋な日本が発祥となるスポーツは多くない。が、今や「駅伝」(エキデン・EKIDEN)は世界に広がっていると聞く。
発祥の経緯は諸説あるようだがそのひとつに、その昔の書簡伝達は人間の脚で走ることでいち早く先方に届ける「飛脚」という職業にゆだねられていた。東海道五十三次のように、宿場から宿場をつないで交代で走り続ける。それをスポーツ化した、頭のいい人がいたというか先見の明を持った人がいて、現在の一大人気スポーツに発展させたということらしい。
暮れには全国の高生生男女が都大路を走る全国高校駅伝がある。正月元旦は、全日本実業団の代表による「ニューイヤー駅伝」として定着している。正月二日三日は、選ばれた大学20校による箱根山を越える「箱根駅伝」が衆目を集める。そして1月半ばには天皇杯・皇后杯を競う全国都道府県対抗駅伝が、男女に別れて行われる。
今日はその皇后杯、女子駅伝が都大路を駆け抜けた。
それぞれの都道府県を代表する、中学生・高校生・一般社会人が9人でチームを作り、ゴールを目指してタスキをつなぐ。
受けたタスキは何が何でも次の走者に渡す・つなげる。つなげなくていいのはアンカーだけ。といっても、アンカーは今年の成績全体を来年の新チームにつなげる役割を背負っているのかもしれない。いわゆる責任重大、重いタスキを肩に掛けて走ることになる。一人が何人を抜き去る頑張りを見せても必ず最終結果につながるわけではない。またその逆があっても結果的な成績は全員が背負うことになる。考えようによっては、厳しい感じがしないでもない。
人間社会にも似たようなことはある。円満で幸福な国家を受け継いだリーダーは、そのタスキを円満で幸福なままを後者につないで行くべきである。ところが、安っぽいリーダーが突如不満や不安を抱くと、その不安や不満への憎悪を増幅させて、気に入らぬものは潰しても構わない論調を後者に受け継がせてしまう。無謀な侵略戦争や国内紛争の絶えない国は、自身の中に芽生えた怨念をそのままタスキとしてつなごうとしているのではないか。
駅伝本来の目的は、一人一人が精一杯の幸せを求めて努力する尊さをタスキに込めて次につないでいくことである。駅伝発症の国NIPPONが、その貴重な精神を世界に伝播していきたいものである。
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