今はね、こんなにしょぼくれてしまって、畑の周りを歩くだけですけれどもね、
いや、こんなボク、マックスにも通り過ぎた青春、若き日も有ったのでしたよ。
麦藁帽子を斜に冠ってチョイと気取ってはいますけれども、これは息抜きタイム。
トーちゃん、煙草一本ちょうだい、なんてね。
スベルべトーちゃんと一緒に絶壁、急斜面を楽しむ場面。
トーちゃんはせっせゼンマイや独活を採り、僕は大きな石を集めているって事よ。
ほら、筋肉の盛り上がり方なんてアルタミラ洞窟の野牛の絵のようでしょ。
うーん、あのころは僕も弾けるようなエネルギーの塊だったなー。
第一、疲れるなんて感覚は知らなかったものー。
ま、人も犬も年齢には抗えないってことか。
だんだん若くなるなんて事は絶対に無いんですから。
「わおー!」なんてね、時折り大声を上げて畑見るんですけれどもね。
ま、大声を上げると少し息切れするってのも、これ、一つの現実。
ほら、僕の集めたコレクションの数々ですよ。
一つ一つに苦労した思い出がこびりついているようです。
こんな風に、石に齧りついた歯の跡さえ刻みつけたけれども、代償は大きかった。
左上の大事な犬歯なんて、根元からぽっきりよ。
聞くところによると、スベルべトーちゃんも生意気に歯でビール瓶の栓を抜いたり、
梅干の固い殻を、ガチンなんて噛み砕いていたとか言っていたなー。
ウフフ、無理して良い恰好はしないが一番、己の力を知るって事が大切さ。