二日目の朝はマックスの吠える声で目が覚めたら五時だった。
マックスに一声かけてから内湯の「タヌキの湯」に一人でゆっくりと入る。
そして、明るくなるのを待ってマックスと朝の散歩。
恐々と道路の端を覗きこむマックスです。
マックスだって怖いわけです。
道路の端から、切り立った崖になって佐梨川に落ち込んでいるのですから。
八時からの朝食バイキング方式。
珍しく、食堂は満員で湯治場の風呂の静寂さが信じられないほど。
朝食後少し間をおいて奥の「上の湯」に向かいます。
左の建物は「旧館」と呼ばれ、昔は自炊の湯治客が利用したところです。
もう30年あまりも前の事になってしまったが、母の葬儀を終えた父は、
三ケ月余り一人でここで湯治をして過ごし、母の死を乗り越えて帰って来たのだった。
「上の湯」は現代風の広々とした風呂場です。
先客が一人いたけれども、いびきを掻いて寝ていたので挨拶はしません。
先客が出ると全く一人の静かな時間です。
途中で宿の主人が源泉を汲み取りに来て、源泉の出口に塩ビのパイプを取りつけてポリポットに汲んだ。
これは泊まった部屋から見た「下の湯」です。
左に少し見えるけれども、何十段もの階段を下ってようやくたどり着く川岸にある。
以前、夜中にひとりで入っていたらなんだか怖くなっちゃって上がったっけ。
新館と旧館を結ぶ二階になっている渡り廊下から見た駐車場、マックスの御宿です。
二時間余りの時間を一人で「上の湯」で過ごした後、マックスと帰宅です。
部屋に有った小冊子の表紙です。上手なイラストですね。
「日本秘湯の会」の会員でも有るようです。
昔は、湯治なんて年寄りのするものだなんて思っていました。
たまにゆっくりするのも良いものだ。なんて思うのは自分も年寄りになったからかも知れません(笑)。
(終り)