畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載2『ゼンマイ』

2015-01-18 14:54:39 | 山菜


  「ぜんまい」

 魚沼地方では慶弔何につけてもの、ご馳走の一つに「ぜんまい」の煮物がある。
我が家の下手に、標高差百メートル余り、斜度は平均で四十度以上は確実な斜面と言うより崖と呼ぶべき山がある。
この雪深い魚沼の地にあっても、雪がとどまる事は無い斜面なのだ。
雪が積もらないのだから春の訪れは一番に来る。

 四月から五月にかけ、暖かい日差しが続くとまずその斜面のぜんまいが一番に採り頃となる。
毎年の事となると大概の太い「ぜんまい」の根は分る。
しかしその斜面でも、一等品のぜんまいは急斜面の殆どオーバーハング状態の先端近くの、
全くつかまる木も無い、とんでも無い所にあるのだ。

 登山家ガストン・レビュファの「北壁に舞う」のようだ、なんて洒落は消し飛ぶ。
事実滑落し三ヶ月も入院した人もいたのだ。その本当にきつい崖の「ぜんまい」を狙う奴は近所でも私ともう一人。
行ってみて採った跡を見ると、次ぎに会った時、お互いに、にやりと笑いを交わす。

 その峻険な斜面はその斜度がゆえに、あの中越地震で、山頂付近から一気に崩れ落ち、
崩落土は上越線の線路を埋め尽くし、国道まで届くほどだった。

 剥き出しなってしまった斜面を見て、元の姿を取り戻すには、三十年もかかると思った。
しかし、逞しい自然はちっぽけな人間の想像を越え、
数年後には一部を除いてほぼ元の姿を見せてくれたのだった。
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コンサートに行く

2015-01-18 05:09:26 | 暮らし

 友人夫妻に、そのコンサートの存在を教えてもらい、そして誘われて昨日行ってきました。
なんと、造り酒屋「朝日酒造」を会場とした『SanDo concert』と言う集いです。



 驚くべき会場。
左は出来上がった酒を瓶詰にしたりする工場なのです。



 エントランスホールと言うか、その工場の反対側の片隅が会場。
音響効果も抜群と言うその会場の最前席に四人で席を取ります。



 さすがに酒屋さんだなと思えるのは「ウェルカムドリンク」としてお酒が出ている事。
一口だけ頂いてみましたが、すぐに3時開演の時刻となります。



 昨日は使われなかったけれどもピアノも中々の名器だとの事です。
間も無く、弦楽四重奏が始まります。



 もちろん、演奏中の写真など撮れませんから以下は残念ながら想像していただくしか有りません。
演目の構成も中々洒落ていて、初めに1.17と言う事でそれを意識した曲で始まります。



 次に「名優を忍んで」と言う副題で、昨年没した俳優さんたちに関連した曲の演奏。
「高倉健」さん関連した局は映画『鉄道員(ポッポ屋)』で使われた曲です。

 目を瞑って聞くと、吹雪の駅にたたずむ高倉健演ずる駅長の姿がまぶたに浮かびます。
そして、物語が頭の中に浮かび、情けない事に涙があふれてくる始末。

 そして、涙も乾かぬうちに最前列と言う事でテレビのインタビューを受け、困った事態に。
言葉に詰まりながらもなんとか終えると次の演奏に入ります。

 驚きの『越後酒屋唄』です。
小千谷の音楽家が、DVDに録音し、何十回も繰り返して聞きながら採譜し弦楽奏向きに編曲されたものだとか。

 音楽って本当に素晴らしいものだと感動させられました。
バイオリン、ヴィオラ、チェロで正に酒造りの作業歌を再現するのですから。

 なお、このコンサートは毎月開かれ、来月二月は50回記念で特別の企画が有ります。
興味のある方は「朝日酒造」のホームページをご覧ください。
最近の造り酒屋さんって本当に洒落れた事をなさいます。
コメント (2)
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