山の畑に行くと、決まってどこかからカラスが飛んでくる。
「カーカーカー」と短い間隔の鳴き声は、「こりゃこりゃ何しに来たんだ―」なんて風に聞こえる。
そのカラスはどうも、この柿の木(スベルべ夫婦は『マックス柿』と呼ぶ)の所有権を主張している模様。
カラスと同じ位にアホなスベルべは「こりゃ、その柿の木はスベルべのもんだぞ」なんて大声を出す。
とまって食べ易かったのか、柿の木の上方は実が一つも残っていない。
でも、食べにくいのか枝の茂みの下方はまだ柿の実がビッシリとぶら下がっている。
ほー、やっぱりあの身軽なカラスにも下方の柿の実を食べるのは難行らしい。
横になり、懸命に身体、首を伸ばして食べる。
間も無く雪が降り、柿の実も全て落ちてしまうでしょう。
柿の木の木肌を良く見ると、獣の爪跡さえ見られる事がある。
マックスが大好きだった柿の実を恵んだ、マックス柿は色々な山の生きものたちの命を育んでいるのです。
やがて、この豊かな大地も真っ白な雪に覆われる冬本番がやってきます。