畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載83-3「貧乏旅行」(その3終わり)

2016-10-02 05:15:44 | 旅行

 (母校は髪型、長髪は自由なのに無帽禁止と言う不思議な学則だった。ほら、スベルへの手には帽子が。
スベルべの他の2人は亡くなってしまったが、中央の男とは谷崎潤一郎について熱く語り合ったりしていた)

   「貧乏旅行」(その3終わり)

 次は盛岡周辺で、花巻温泉に泊まったのだが、宿の記憶は無い。
しかし、工業高校生なのに、文学にも憧れていた私たちは、岩手に生まれた宮沢賢治や石川啄木。
そして松尾芭蕉の「奥の細道」にも憧れて、の東北旅行の一面もきっと有ったのだと思う。

 花巻温泉とともに、小岩井農場を訪ねたのだが、この辺りは記憶に薄い。
次に訪れた青森の弘前城ではまだ有名な桜の開花も程遠く、雪を投げ合って遊んだ記憶がよみがえる。
旅も終りに近づき、最後の宿泊は秋田駅構内を選んだ。しかし、その秋田駅でハプニングも経験する。

 駅舎から一人で出て、帰って見ると出入口のドアの取手にはチェーンが巻かれ鎖錠がされていたのだった。
仲間が駅に説明し、原則宿泊は認めていないと説教された末に中に入ることが出来たのだった。

 翌朝の奥羽本線の普通列車に乗り、一路長岡を目指した。
全線普通列車と言う学生ならではの貧乏旅行もこうして無事に終わった。

 長岡駅で立ち蕎麦を食べて解散となったが、その味も旅の思い出と共に忘れられない。
こうして青春を共にし、貧乏旅行を楽しんだ親友も、一昨年病気で亡くなってしまった。
もう一人の友とも音信不通。50年も昔の青春の思い出だけが私に残った。

  (音信不通だった友とは先日古希の同級会で50年ぶりの再会を果たした)

        (終わり)
コメント (6)
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