ホヤ(その2)
餌を含む海水の入り口である入水孔と出口である出水孔を持つその姿は、
なんだかガマガエルさえ連想させる姿だ。
鮮度の良いものはつつくと、身をパンパンに張らせる。
岩に着いていた脚に当たる部分を切り取り、包丁を入れて固い表皮を切って中身を取り出す。
厄介なのは中に詰まった糞の処理だが、出来る事ならば磯の香を逃がさないために水洗いはしたくない。
身は板前さんの手になると綺麗に切り分けられるが、私は手でちぎる事さえまま有る。
後は、二杯酢かなーに、ただ酢を少量降りかけるだけでも良い。
一切れを口に入れ、日本酒を一口含むと不思議なほどの甘さと磯の香りが口中を駆け巡るのだ。
(続く)