大盛り一丁!(その2終わり)
長岡に何店舗か展開する、それなりに名前の知られたラーメン屋さんが有る。
何よりもそこが有名なのはボリュームが凄いと言う事。
聞けば、「あそこの大盛りはすり鉢のような大きな丼で出て来る」と言うではないか。
長岡に住んでいた娘を夫婦で訪ね、昼食をそのラーメン屋で摂る事に決まった。
メニューを見るまでも無く、一度はその大盛りとやらを食べてみたいと思っていたので、躊躇なく決めた。
しばらくして、出てきたその大盛りは、想像を越えるような一杯。
ヨシッ、とばかりに気合を込めて食べようとすると、
となりのテーブルの夫婦と思われる客人から遠慮がちに質問された。
「あのー、失礼ですが、それ、お一人でお食べになるのですか」と。
家族、となりのテーブルの客人の視線を感じながらも、無理する事も無く腹中に収まったのだった。
ま、称賛の拍手までは無かったが。
大食、大食らいなんて決して褒められたものではなく、自慢するようなものでも無かろう。
しかし、一人私の大食に理解を示す人間も居て安心する。
それは義母で「いっぱい仕事をする人は、いっぱい食べるもんだいや」なんて言葉で。
(終わり)