浜茶屋と浜焼き(その3終わり)
なお、最近知ったことなのだが、ここで「アナゴ」と呼ぶ代物は実はアナゴでは無くて、
「ヌタウナギ」と言う別種でした。道理でアナゴよりはぬめりが強そうだったな。
帰りはビールの酔いの余韻を引きながら、またガタンゴトンと玩具のような電車に乗って帰ったものだった。
今は海へ行くとは言っても、何時でも自家用車で行けるような便利な時代になってしまった。
でも、電車やバスを乗り継いで行き、一日のんびりと過ごせたことは、何物にも替え難い幸せな時間だったとも思う。
今でも姉夫婦は時々浜焼きを手土産に遊びに来てくれるが、
自身もアナゴの好きな義兄は「今日は有ったよ」と、嬉しそうに言って渡してくれるのだ。
そして、貰った私はと言えば、一瞬あの懐かしい浜茶屋が脳裏をかすめる。
(終わり)