(鰍取りの写真が見つからない。これは若き日の釣りを楽しむスベルべママ)
鰍酒(その2)
そして、板の真ん中には15センチほどの穴が開いていて、
川に入ると片足立ちになり空いた足をその穴に入れ、
両手で杉の棒を握りゴリゴリと川の中の石を起こしながら下るという寸法だ。
板は水圧に押され、板に上手く体重を乗せられたらしめたものだ。その板の下流方に網を当てて一人が下る。
雪解けが始まった冷たい水に半冬眠状態でお休み中の鰍が住処の石ごと揺さぶられ、水流で網の中へと収まる。
あの頃は、鰍もたくさん生息していたと見え、日暮れ前には大きなバケツに八、九分まで鰍を入れて帰って来た。
そして、これまたいつの間にか作られていた竹串に塩を振った鰍を刺し、
枕木を燃やす大型のストーブの周りで、焼き魚のコツ、強火の遠火のことわざ通りにこんがりと焼く。
焼きあがった鰍の塩焼きをコップに入れて、薬缶で缶を付けた熱々の酒を注ぐと、
美味しい美味しい鰍酒の出来上がり。
(続く)