友との突然の別れ(その1)
梅雨上がりの暑い夏が始まり、長岡まつりも10日後ほどに迫っていた。
そんなある夏の日の朝早く、電話が鳴り母が出た。家族ぐるみでのお付き合いが有った、長岡の友達の母からだった。
「家の子は泊まらせてもらっていましたか」と言う問い合わせ。
母の「昨日は家には来ませんでした」と言う返事に、友人家族はかすかな望みを絶たれたのだったと思う。
釣りに行くと、オートバイで出かけたけれども、帰宅しないと言うのです。
それから、大掛かりな捜索が始まった。
その春には一緒に岩魚釣りに出かけたことも有り、釣りは共通の趣味でも一緒だったのだ。
彼の父上は国鉄職員で、北堀之内に勤務していた際に、大規模な土砂崩れが鉄道官舎に迫り、
移転がやむなくなって新たな官舎が出来るまでの間、村の家々や、共同作業所に分宿したのだった。
その際にその友人家族が親子4人で我が家に下宿。3か月ほどの共同生活をしたのでした。
二人で裸になってレスリングをする姿を見て母上は「お前たちは犬か猫の兄弟と同じ」と、
目を細めて眺めていてくれていたものだった。
(続く)