坂田と酒田(その2)
男気満開の快男児。普段の暮らしの中でのエピソードも多いのだが、酒の上での失敗もスケールが違う。忘年会か何かの飲み会時の話だと思う。したたかに酔った彼は、最終電車を逃し、自宅ではかなりの距離があるのに、タクシーに乗ったという。
行先はと言うと「坂田だ」と運転手に告げ、走り出した途端に眠りに落ちたらしい。良い気持ちで寝込んでいると、運転手に声を掛けられた。「お客さん、車がスリップして動けません。少し手を貸してください」と頼まれ、降りたら寒さで一気に酔いも醒めたらしい。見渡すとかなりの山中だった。「運転手さん、ここはどこ?」と訊ね返事に驚いた。
「ここは葡萄峠です」と告げられて驚いた。村上市の中心部を外れ山形もそう遠くはない峠道だったのだから。
(続く)