監督 長谷川 安人
白黒映画
快調な関西弁の語りで始まる映画です
最初は これは喜劇かと思います
当時の大坂について簡単な説明が軽快にユーモラスにされます
と走ってくる汚いヒゲ面の男 掏摸なんです
追われてすれ違いざま他の男の懐に財布を投げ込んで
捕まるや開き直っています
何処に財布があるんじゃいー ふんどしまで脱いだろかいーってな勢いです
財布を預けられた男は小銭をいくらか抜いて 掏摸に返そうとしますが
抜き取られたことを財布の重さから掏摸も見抜きます
彼等は以前は同じ海賊でした
役人に追われて海に投げだされた七人を大商人の河内屋の主人の善右衛門が船へと拾い上げてくれたのです
そのことが元となったのか 河内屋こそ海賊の首領とでっち上げられた罪で 河内屋は捕えられ死罪となりました
財産も没収されて
河内屋は大坂の町に水路をつくるなど土木工事もし 発展に尽くしたので人々から人気がありました
人徳
河内屋の人気を妬む商人や その財産狙いの野心家の東町奉行の松平将監(原田甲子郎)により善右衛門は殺されたのです
その恩人の善右衛門の七回忌の法要を営むために奉行所から金を奪う計画を 元海賊で公事宿の主人の勘助(金子信雄)は立てていました
仲間は
為七(市川小金吾)
捨吉(神戸飄介)
うすのろの吉蔵(田中春男)
業平の丹次郎(里見浩太朗)
医者の道伯(内田良平)
源太(大友柳太郎)
そして紅一点 仲間だった佐吉の妹のお駒(桜町弘子)
島流しにあって佐吉は死んだ
その後 十七のお駒は一人で生きてきた
佐吉宛ての手紙を持ってお駒が来た時 みんななかなか信用しなかったが お駒は死んだ兄から聞いていたーとして 仲間の特徴から名前を当ててみせた
ただ「うすのろ」と呼ばれていた吉蔵のあだ名については「知らない」と答えなかった
このことで吉蔵は お駒に恩に着る
大嫌いなうすのろというあだ名を知らないはずがないのにー言わないでいてくれた
かくして作戦は動き出す
しかし奉行所の役人の竹内金次郎(佐藤慶)の娘のお光を 顔の良い丹次郎が惚れさせようとするがうまくいかない
逆に丹次郎のほうが お光に心をもっていかれそうになる
はっきりした物言いのいっぷう変わった娘なのだ
少しでも役人の数を減らそうと「悪源太」とも呼ばれる源太は同心たちを殺して回る
それも男性の局部を斬るーという残酷で趣味の悪いやり方だ
それには理由があった
源太の父親も役人であったが その上役が源太の観ている前で 源太の母親を犯した
犯された母親は 汚されたその身を恥じて自害した
妻を犯された源太の父親は 奉行所の前で切腹して果てた
上役への抗議ー
だから源太は役人が大っ嫌いなのだ
ふた親に死なれた源太の家はおそらく 断絶したのだろう
どれだけ源太が苦労して育ったかー
奉行所の見取り図をつくろうと勘助は役人の竹内をさらうことにする
殴られても教えなかった竹内だが
娘のお光をやくざ者に傷物にさせて 売り飛ばすぞと言われると
「それだけはやめてくれ お光は河内屋のお嬢さんなんだ お嬢さんの命だけは救いたくて 手代だった自分が裏切り者のふりをして それでお光さんを養女として育ててきた
だから手を出さないでくれ」
最初は軍師と呼ばれる勘助も他の仲間も信じない
しかしお光を連れた丹次郎が入ってきて事実とわかる
お光も竹内を誤解していたことを知る
人から悪く謗られようと お嬢様を守ってきた忠実な男の竹内
お駒は美貌と色っぽさを武器に芸者となり 奉行に賄賂を贈る商人から情報を集める
その魅力に奉行は自分の妾にと
自分の体を男のおもちゃにするお駒が 吉蔵はかわいそうでたまらない
吉蔵にはお駒が観音様に見えるのだった
もうやめてくれーとお駒に言う
さんざ泥水飲んできた体だもの 逆だよーと
お駒は言うーこんな自分でも役に立つのが嬉しいと
吉蔵は苦しくてならないのだが
役人を殺していた源太は追われるが ぼろ拾いにかくまわれる
ぼろ拾いの男は言う「河内屋を慕う者は多い このたびの役人斬りにも大きな声では言えないが 胸がすっとしたーと応援するものは多いのだと」
一度 元海賊の一味は奉行所に押し入ろうとするが警戒が厳しく いったんは撤退する
老中になりたいと野望持つ奉行の将監は 自分の身辺をさぐる幕府の手の者がいると用心していたのだ
第二の策として 元海賊たちは竹内に捕えられたことにして牢へ入る
竹内が牢の鍵を投げ 将監が賄賂を貯めた金を奪おうとするが
金の置き場所は変えてあり お駒がそれを知らせにくる
役人たちが気付き騒ぎ出し
元海賊一味は奉行の悪事の証拠の書類を持ち逃げることにする
どれがどれかわからないから 全部持って逃げることに
役人の数は多く
仲間を逃がすために 源太と竹内は斬り死にをする
みんなが逃げやすいようにと お駒は牢の囚人を全部逃がす
大混乱の中 どうにかお駒 吉蔵 勘助 道伯 為七 丹次郎 捨吉らは船に乗るが 嵐で川へと投げ出される
吉蔵は必死でお駒を助け「絶対手を放したらあかん」と
元海賊だった彼等は碇屋に戻った
さて せっかく盗んだ書類は川に流されてしまう これからどうする
軍師の勘助もお手上げです
ところが道伯が案を持ってました
自分の出番とばかりに
奉行は元海賊の彼等が書類を失ったことを知らないのだ 一芝居打つ余地はおおいにある
ーというわけなのでした
そして奉行相手に大芝居を打つのです
自分が戻らなければ 奪った書類が江戸に届くことになっている
河内屋の七回忌の法要を開くこと 無罪でとらえられた人間を解き放つこと
その条件を奉行は呑み
河内屋の七回忌が盛大に行われます
お光はいっぱいの参列者に礼を言い「ここに命がけで動いてくれた方々のお顔が見えないのが残念だー」と挨拶します
元海賊の彼らは その土地を離れるのでした
吉蔵とお駒は一緒に行くようです
源太の大友柳太郎さん
道伯の内田良平さん それぞれの持ち味を見せる「いい場面」があります
里見浩太朗さんはいなせですし
ユニークな始まりながら きちんとした時代劇です
この映画の情報あるサイトさん↓
http://movie.walkerplus.com/mv21248/
http://e-tsurezure.blog.so-net.ne.jp/2013-04-14
http://d.hatena.ne.jp/hoghug/20130704/p2