警察回りの夏 | |
堂場 瞬一 | |
集英社 |
日本新報甲府支局の記者の南康祐(みなみ こうすけ)は 3歳と5歳の姉妹殺しの事件を追っていた
容疑者と見られていたのは 行方不明の姉妹の母親で24歳の湯川和佳奈(ゆかわ わかな)
その和佳奈が容疑者として警察の取り調べを受けると思わされる偽情報を懇意の人間に掴まされた南は その情報が真実かの確認をせずに記事を書いてしまう
和佳奈の父親が自殺を図っていることなどから 南の誤報は大きな問題となっていった
南は姿を消し どうして自分がはめられたかを単身 調べようとする
かつて南を教えた高石は この誤報が起きてしまった経緯を調査するメンバーになり この誤報を企んだ人間とその意図を調べ当てた
日本新報の記者だった男に40年前に特ダネを書かれてしまった人間の恨みも動機の一つ
南をはめてしまう役をさせられた人間は良心の咎めから 南に真犯人について情報を与える
幼い姉妹を殺したのは その祖父だった
自堕落な娘からお金をせびられ続けてー将来を悲観し 正気を失ったー
事件はあくまで脇役だ
この事件を利用して自分の野望を無理矢理にでも実現させ 40年前の意趣返しもしようとした人間こそ「犯人」と言えるかもしれない
過熱するマスコミの取材
暴れるネット
そうしたものへの警鐘を鳴らそうとした作品
南の成長
この出来事で記者の良心を取り戻した人間
事件に関わった人間の変化の描かれ方も
いろいろ詰め込んである小説です