夢見るババアの雑談室

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ほぼ身辺雑記です

五十嵐貴久著「魅入られた瞳   南青山骨董通り探偵社Ⅱ」(光文社文庫)

2015-06-30 23:16:05 | 本と雑誌
魅入られた瞳: 南青山骨董通り探偵社II (光文社文庫)
五十嵐 貴久
光文社



南青山骨董通り探偵社シリーズ第2作


裏表紙の作品紹介から{正式に探偵社に入社した井上雅也。だが、地味な仕事続きで不満気味。 そんな折、社長の金城から任されたのは、商社マンの美しき妻・志津恵をクリニックへ送迎することだった。
渋々引き受けた雅也だったが、一目で彼女に魅了される。着々と仕事を進める中、送迎車の消失や謎の男からの暴行など予期せぬ事態が起こる。
探偵社の面々を待つ驚愕の真実とは?!}



若き井上雅也クンは探偵にはなったが 腕力はない そして童貞らしい 先輩探偵たちからその点では よくからかわれている
年上の美女に弱い

今回も志津枝にめろめろになり 非力ながら体を張って守ろうとする
しかし この志津恵が なかなかに曲者の美女なのである


商社マンという触れ込みの高岩は実は暴力団員 事件解決後ー取引で十億の金が行方不明となっている

その十億を手にしていたのは 夫の仕事について何も知らなかったはずの妻の志津恵だった

はたしてこの頼りなき若者・井上雅也クンは立派な一人前の探偵になれるのだろうか


井上がひそかにうすらハゲと呼ぶ先輩探偵の立木

元刑事らしい徳吉

知的美人の玲子

キャバクラの仕事もする真由美

格闘でのガッツも見事な美紀


正体が掴めない底知れないところのある社長の金城


南青山骨董通り探偵社の次作は秋頃刊行予定だそうです

「燃えた」

2015-06-30 09:36:44 | 自作の小説
斎場での法要が終わり舅の暮らした家に入ってきた女は 喪服のままその家に火を付けようとしていた・・・・・

女は 舅の古い家も 代々のものという巨大な仏壇も大っ嫌いだった


何かが出そうな気がするのだ


それなのに夫は退職したら この家に戻ってきたいと言った


ーこんなモノ さっさとぶち壊して売ってしまえばいいのよ
更地にしたほうが高く売れるんだしー


仏事用の太い蝋燭に火を付ける 用意しておいた油を染ませた紙とキャンプ用の着火剤


ー燃えちゃえばいいんだわー



部屋の一角で何かが動いた


がさごそ カサコソ 


ーひっー

半透明の蟹が涌いて出ている その甲羅は舅の顔

ゆらゆら わらわら

どんどん数が増えて 部屋に蟹が充ちる 満ち溢れる



腰を抜かした女の服の上に蝋燭の火 
蟹は女の鼻の穴 悲鳴をあげようとした口の中へも入っていく

蟹が女の体を覆う

女の体は蟹に埋もれる


ぶすぶす・・・・
女の体が燃え始める
手には油を染ませた紙と着火剤

生焼けになる心配はなさそうだ



別の車で遅れて戻ってきた夫と子供達が見たものはー

黒焦げの女

家は女の体がある畳が僅かに焦げたのみ



「火事を消そうとして自分が燃えたのか」



妻が死んだ建物は さすがに暮らしにくいと思ったか
相続した保険金や預貯金などの遺産で 夫は子供達と相談し 家を建て替えた

すっかり暮らしやすくなったその家で 子供達が嬉しそうに生活している


自分の子供には祟れず 焼け死んだ女の霊は悔しげに漂い出ては・・・・・
巨大な仏壇に引きずり戻されている