時々後ろ足が動きます お母さんのお乳飲んでた赤ちゃん時代の夢でも見ているのでしょうか
太田信定もしくは牛一は 信長公について書いていた 現実に 書いた物が残っている
本能寺の変後 牛一は信長の遺体が何処にあるのか 探し始め
やがて 太閤の血筋 陰謀までも知ることになる
信長の死についての新しい見方 と言えば それまでの話である
若い娘との色模様も無理やり差し込まれたようで 落ち着きが悪い
作家に転身 最初の作品であるらしい
思い付きを書き上げる力と根気
正直な感想を言えば 話の種に読んでもいいが ひどく疲れることを覚悟してほしい
死にかけた清兵衛は 幼馴染みの甚助に誘われ 不思議な話の会に入る
この世の不思議を語り合う
死を話す人々は 死から招かれた人々でもあったのか
連作短編集
さような事も 世の中には あるやもしれませぬ
異界は口を開け待っているので ございます
水茶屋明石屋の娘お初に お針のお師匠さん おとくから持ちかけられた縁談 青物屋 八百清の栄蔵
だんだんに相手の良い所が見えてきて
この人と一緒になりたい
そんな想いが募り始めた頃 栄蔵の店が火事に
一途な娘心は 母の死 兄の結婚
働いてる女の死
様々な事件を見るうちに 好きでもどうにもならない 好きな気持ちばかりでは どうにもならない
そういう事もあるのだと
娘の幸せを願う父とその親友
何より お初を想う男の強い気持ち
好きなら とことん想えば いいじゃないか
何もかも 頑張って 頑張って
諦めるのは それからサ
江戸をたのしんで下さい
海岸を少し 進むと 家が見える
もはや住む者のない廃墟の群れ
一軒一軒回って見る
鼠すら見ないのが異様と言えた
更に奥へ行けば 道は長い上り坂
左手には墓地 右手には はるか高所に鳥居が見える
石段 あれを上るには根性と体力がいりそうだ
「夜になるのが楽しみだ」亜貴欧がニヤリと笑う
「危なくない場所がいるが・・・」
「明るいうちに食べときますかね」
おにぎり 沢庵 焼いたハムの 簡単手抜きな弁当に 仕上げは1個ままのリンゴ
これさえも贅沢な食事ということになる
鬼が出るか蛇が出るか もっと厄介なモノが出るか
最近めっきり頼もしくなった相棒は 食べ終わると大きく伸びをし 周囲へ神経を向ける
「明かりが残るうちに上がってしまおう」そう言った
石段を足の長さに合わせて 一段飛ばしで上がる
歩数の節約だ
鳥居の先には何がある 神か それとも
祠にまつられているのは
禍々しい影を鳥居は落としていた
点在する祠の前には 剥がれかけた御札
何かが 封じてあったのか
それは祠を出たのか
一体何なのか
「さかしま 天の邪鬼 山の物の怪(もののけ)」 亜貴欧が呟く
歌が聞こえてきた
欲しい欲しい あの娘(こ)が欲しい
いらない いらない あの娘だけは いらない
とおりゃんせ とおりゃんせ ここは何処の細道じゃてんしむ様へ行く処この子を守るに 鳥居うち そっと通してくだしゃんせ
御札の無い者とおしゃせぬ
いきも危なし 帰りもこわい
こわいなりゃこそ 帰りゃせぬ かえしゃせぬ
何処からか聞こえるその歌は「とおりゃんせ」と 微妙に歌詞が違っていた
それきり歌は途絶え静寂が世界を支配する
神社の境内は広く 歩くうちに黄昏 藍闇の世界となり 丸い月が浮かぶ
「飛んでみようか?」と亜貴欧
こいつ正体は龍であるらしいのだ
黒銀の龍
ばさり・・・
人としての輪郭 外形が闇に溶ける
空へ龍が浮かぶ
メタモルフォーゼ
どんな仕組みかは判らない
だんだんコントロールできるように なってきているようだ
ゆっくりと 龍が降りて来る
ふわり
着替えが面倒なのか着物を1枚 裸にまとい 帯を結ぶ 慣れたものだ
「明かりはない 何かは息をひそめている
怖がりな化け物なのだろう」
何かを挑発するように亜貴欧が言う
焼き肉用のお肉を前もってタレにつけておき 玉葱 ピーマン キャベツなど 有合わせの野菜でザクザク炒め 軽く塩胡椒 仕上げに焼き肉用タレささっとからめて出来上がり
手抜きしたい子供のいる土曜の昼食に
「チーム・バチスタの栄光」の迷惑 白鳥と ぐっち―こと田口が再び登場
不思議な声を持つ看護師
死期が近い歌姫 冴子
病気で目を失うしかない少年
読書が趣味の美少女
無責任な医者
エリート中のエリート加納
内臓を取り出された 死体
笑いと悲しみの狭間
次回作を楽しみに待つ 作家さんの一人です
中学生の夏貴は 死んだ父に生き写しのせいか 最近母の言動が常軌を逸してきた
異常に行動を疑い嫉妬するのだ
たまったものではない 今日もたまらなくなり部屋を飛び出し 親友の家に
だが その家は燃えていた
止めた手をふりきり友は炎の中へ
夏貴の手には 友の携帯が残った
その携帯から死んだはずの友の声がした
火事の原因を調査してほしい
そんな夏貴の前に次々に起こる事件
それは彼の出生に結び付いていた
クローン人間は存在しても良いのか?
夏貴の新しい父となる東が 物語を安定させます
こんないい男が何処に落ちていたんだ?と思いつつ
スーパーマンじゃありませんが
頼れる存在って いいですね
読み応えのある本です
「しゃばけ」シリーズとは また違った味わいがあります
読んで損は ありません
いつからか人がいつかなくなり ほぼ無人島と化した島
近くで下ろして貰い ボート漕いで島へ
夜は流れの関係か島から出られない―とか
「刑務所によさそうだ」と亜貴欧
「お前また変な本読んだな」
「フランスでさ 島が刑務所っての」
二重人格まではいかないが こいつの中に こいつでない こいつがいるように思える時がある
普段はあけっぴろげだが 時々凄みをます
背は190をちょっと切る俺と同じくらい 髪は僅かに栗色を帯びている 色が白い 若殿様みたいな育ちの良さを漂わせている
年上女が好みそうな甘い優しさがある
そこが生きてる間は人間だったが 死んでから吸血鬼になった俺の従兄弟 令一さんとの 顔は同じでも違いだろう
「あ・・・島へ上る前に お守り」
と言って紅葉をくれた 亜貴欧は紅葉を操る 陰陽師の式神のようなものだろうか
植物やら小さな生き物そんなあたりを手下代わりにしている
「言葉の通じる相手なら呪(しゅ)もいいけれど通じない相手なら どうしようもないじゃん そう言うのだった
ところで運悪く 力及ばない化け物と遭遇したら どうするか
みっともないが 俺は助っ人を頼む事にしている
人にして人に非ず 真姫と言う 異世界から魔物封じの家系である 彼女には異世界の親友が いるのだった
人の形をとる時は いずれもゾッとするほどの美形となる
俺は裏の仕事に行く時は 真姫(まき」さんに 連絡をいれておく 終わったあとは報告も
たいていの妖怪は寂しがり屋で臆病で 人間に害なそうなんて 思っちゃいない
ごく一部の悪しき存在(モノ)が 人間にとって代わろうとするのだ
叔父の鷹夜は 島の不気味な変化についての調査を依頼された
その島では一時間日の出が遅く 一時間日没が早い
青空を見ることが少ない
何故?
魔を見る力があるという犬も猫も急死か行方不明となるかで いつくことはない
それでも叔父が来た頃には 海岸沿いに漁をし 畑耕す人々が わずかに残っていたそうだ 「ありゃ~死霊が出るけぇ」 船を出すのを嫌がった一人は そう言った
父の弟 つまりは叔父が妖怪退治なるアナログな仕事をしていると知ったのは 小学校の終わり
「内緒だよ」と叔父 狩生鷹夜(かりゅうたかや)は言った
血筋の中に素質ある者のみが引き継ぐ仕事なのだと
「結構命に関わる ま 余程の変わり者か物好きでなくてはね」そう笑った
おもえばあの時に 選んでいたのかもしれない
色々変わったモノが見える理由が判った
やがて時々叔父は相棒として声をかけてくれるようになり
割りのいいバイトとして手伝っていた
叔父は何処かの神社さんから 依頼を受けて動いていた
姫巫女と呼んでた恐いような美少女が連絡係 長い髪 少しつり上がった大きな瞳 にこりともしない表情 結ばれたままの唇
高3の夏 叔父が消えた
叔父の最後の仕事は 瀬戸内海の島 ある無人島で続く怪異を調べ できれば治めること その場所が 幾ら調べても判らなかった
それから―大学で死んだ従兄弟そっくりの男に会った
妙に変な力持つ男 相棒としては このうえなく頼もしい 彼の名は 高崎亜貴欧(たかさき あきお) 同じ会社にひっぱって 旅先で 亜貴欧は自分の運命と正体を知った そして俺は漸く 叔父の消えた島を突き止めた
叔父が消えたのと同じ夏
俺と亜貴欧は その島へ渡ることにした
「先輩って辺鄙なとこが好きですよね」
俺でなしに妖怪はそういう場所が好きなんだよ
海の色が変わる部分がある
俺達を送ってくれた船は 一週間後に迎えに来てくれると言った
余程の物好きと思われたらしい
「修禅寺物語」は面打ちの父親が幾ら打っても死相が出る面に 悩みますが 後日その相手が暗殺されたことを聞きその運命を 己の腕が悟っていたことに気付く 娘とその死ぬべき男との恋と
そんなお話だったように記憶しています
他にも記者時代に「番長皿屋敷」を書き上げたというからその才能に 舌を巻きます
そんな才気溢れる綺堂先生が 下巻に選んだのは
まずはアーサー・コナン・ドイル作「北極星号の船長」 きりりとした容姿で男らしい船長を悩ませたいたものは―船に同乗した医学生が船長の死までの怪異を記し
医学生の父がさらに付記する構成です
幻想文学の雄 ホフマン作「廃宅」 愛する男が妹の夫となり誇り高い娘は 妹夫婦を呪った その経緯から始まる不思議
アナトール・フランス著「聖餐祭」 死者の会う時間 若くして死んだ婚約者に出会った老女に訪れた死は 優しかったのだろうか
詩人としても有名なキップリング作「幻の人力車」 不倫の恋の挙句 男を思い切れず人妻は死んだ
その未練は男にまといつき 遂に死へと導く
怪奇小説は得意なクラウフォード作「上床(アッパーバース)」 船室の窓は勝手に開閉し 何かが訪れる その船室に眠る者は死ぬと言う
アンドレーフ作「ラザルス」 1度埋葬された男が戻ってきた やがて人々は彼を怖れ始める
フランスの文豪モーパッサン作「幽霊」 再会した友人から頼まれ 訪れた部屋に現れた亡霊は 髪を梳いてほしい―と願った
男は願いをかなえるが
次はイギリスの作家マクドナルド作「鏡中の美女」 青年は鏡の中に現れる美人に恋をし 呪いから解き放つ為に 己が命を捨てた・・・
「女か虎か」で有名なストックトン作「幽霊の移転」 これは波津彬子先生に漫画化をお願いしたいような ユーモア溢れる佳品です
最後は「牡丹灯記」作家名が携帯からは打てない漢字なのでした く宗吉(そうきつ)作 どうやら中国は明の時代の人らしいですが その生年没年は明らかでない―とのこと
日本では「牡丹灯籠」と換骨奪胎された物語になっています
懐かしいような幽霊話 スプラッタはありませんが そんなに恐くないところも 夜の読書に安心してオススメできます 長いばかりが怪談 恐怖小説ではありませぬ 読了してから 更にその先を読者に想像させるものこそ 本当の怪談なのだそうです
最後にひとひねりのショートショートにも一脈通じるものがありますね
あら 後ろから肩を叩く人は誰ですか? 振り向き仰ぎ見ても安心な・・・存在でしょうか 聞こえるはずない音が 何処かから近付いてはいませんか
大丈夫・・・ですか・・・
「半七捕物帳」「修善寺物語」「三浦老人昔話」など現在も愛される作品を書いた作家は元記者にして 語学にも堪能であった
翻訳物とは思えぬ こなれた言葉遣い リズムの良い読みやすさ
偉大であると ただただ頭が下がります リットン作「貸家」 人が居着かぬ怪異の家 豪胆な紳士が泊まり込み つぶさに見たものは―
プーシキン作「スペードの女王」 小耳にはさんだ 勝負に勝つ秘策を知ろうと たくまずして人を殺した青年は亡霊に 手痛いしっぺ返しをされる
ビヤーズ作「妖物」 怪死を遂げた男の死の真相は・・・
ゴーチェ作「クラリモンド」 神への誓いをしたその日 美貌の女性と目が合い その魅力にからめとられる男 誰が知ろう かの女性(ひと)は 血で命を繋ぐ魔物であったのだ
ディッケンズ作「信号手」信号手は見る 死に神の姿を 彼は苦しむ
デフォー作「ヴィール夫人の亡霊」 死んだ女性が親友を訪問し 生ける者のように会話した 気掛かりなことを頼み
怖くない亡霊です
ホーソン作「ラッパチーニの娘」 存在が毒の美しい娘
青年は自分も毒人間にされたと気付くや 恋した娘を罵る
クラリモンドもラッパチーニの娘も 毒を食らわば皿まで 共に地獄に墜ちよう
そんな男がいればよかったのに
命をかけた恋 なのに薄情な男ばかり 好きな怪異話ではありますが