ハンムラビ法廷~初恋はツンデレ判事!?~ DVD-SET1 | |
エル(INFINITE),Ara,ソン・ドンイル,リュ・ドクファン,イ・エリヤ | |
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン |
レビュー一覧は、こちらから。
長続きしそうにないと思ったバルンの考えは、的中しました。
チャオルムは一生懸命でした。意欲もありました。正義感も。
でもね、それらは経験の浅いチャオルムにとっては、前のめりにさせるだけだったのです。
チャオルムは仕事をする上で自分のペースを守ろうとしました。とにかく頑張って少しでも早く、そして正確性を貫こうと。それは周囲の同僚にも同じペースを要求することに繋がっていきました。
決して意図したわけではありませんが、意気込みが前のめりになって残業続きも厭わない状況を作り出すと、それをフォローする実務官も同じ状況を要求されてしまうわけで。
バルンが忠告しても、事件当事者のためだからと一切聞く耳を持ちませんでした。
それどころか、バルンは冷たいとか言い出す始末。現実には、法律など何も知らない人が多くいるのだから、証拠という目に見えるモノだけを重要視するのではなく、真実が何か見極めるためにも事情をよく聞くことが大切だとね。
チャオルムの言い分はもっともだと思えます。
でも、証拠が全てだという原則に従わないと無念な敗訴はなくならないと言うバルンの言葉ももっともです。
ところで、バルン・・・本当に勉強だけをやってきたのね。
テニスも下手だし、お酒も飲めません。
一方、チャオルムは世慣れている感じ。社交性もあるし、何事にもくじけない強さももっています。
たいていの職業モノでは、有能な男性がドジなヒロインに惹かれる・・・と言うパターンだと思います。が、この作品はひと味違います。
女性主人公も有能なんです、本当に。決して鈍くもなく、人を思いやる気持ちも十分過ぎるほどに持っています。
チャオルムの言葉じゃありませんが、彼女は子供じゃないんです。司法試験に合格し、判事として一人立ちしようとしているれっきとした大人なんです。
ただ、経験に乏しいだけです。
幼さを魅力とするヒロインを見かける事が多い中、私的には好感が持てるヒロイン像です。
ただ、あまりにも事件にのめり込むのを見ているバルンは、不安になりました。
で、なにかと忠告するのですが、それすら、姑の口出しと同じだと言わんばかり。
でもね、少しずつチャオルムにも周囲やチームとしてのやり方、それぞれの事情が分かって来ました。自分の考え方が正しいとは言え無くなってきたのです。
メン実務官が、苦情を持ち込みました。正当な苦情です。
チャオルムのペースで、彼女の下についているユン実務官がどれほど大変な思いをしているかを訴えたのです。真面目なユン実務官は、不平など一言も言わずにチャオルムの要求に答えてくれていました。
でもそれは、シングルマザーであるユン実務官に相当な負担を強いていました。
だから、見かねたメン実務官が申し入れに来たってわけ。
チャオルムは、ショックでした。何でも分かっていると思い込んでいた自分が恥ずかしいと思ったでしょう。
仕事に一生懸命になるのは当然の事ですが、それと同時に公務員でも人としての現実の人生があるということをチャオルムは分かってなかったのです。
追い討ちをかけるようにハン部長判事が激怒してやって来ました。
チャオルムは、借金問題の裁判で被告人となっている老女に電話して話を聞いてしまったのです。判事は双方の話を聞く立場にも関わらず、裁判の場ではなく、個人的に。
相手の老女は、判事から電話があったということは、自分に有利だと考えましてね。告訴人に得意気に連絡し、あろうことか、チャオルムは自分の遠縁だとか嘘まで言っちゃった。だから、告訴を取り下げろ・・・なんてね。
で、激怒した告訴人が裁判所に連絡してきたのです。
ハン部長判事が激怒するのも当たり前ですな。
チャオルムは、告訴人は悪で被告人の老女は弱者だと勝手に思い込んでいたのです。
何の根拠も無く。
うわべだけで、老女に同情してしまったのです。現実は違うのに。真実は見た目で判断するものじゃないのに。
チャオルムは、少しずつ学びました。
今持っている自信は過信であって、自分はまだまだ未熟だと思い知らされました。
そしてもう一つ分かったことが。
口ではキツいことを連発してばかりのバルンが、本当は細やかな思いやりを持っているということです。
残業続きのチャオルムを叱りつけ、無茶してつぶれたら、周りが困ると帰宅させました。
その時、チャオルムの仕事を簡単な方法を知っていると代わってくれたのです。本当はそんな簡単な方法など無く、それどころか、物凄く時間と手間のかかる事だと分かったのは、後になってからでした。
チャオルムは、バルンの事もうわべだけで判断してしまっていたことに気づきました。
分かったら、反省し、すぐに行動を見直すことができるのが、チャオルムの良いところです。
落ち込むチャオルムを、祖母と市場のアジュンマたちが慰めてくれたことも大きかったでしょう。
翌日、チャオルムは実務官たちに、仕事のやり方を変えるとそれとなく伝え、メン実務官の顔も立てましたし、バルンに対しても、感謝を伝えました。
この時、事実を知ったと直接的に言うのではなく、さりげなく、気持ちを伝えるやり方、とても心地よいです。
44部、良いチームになりそうです。