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巨大ブラックホールの衝突が新宇宙を形成⇒循環宇宙論、有機物質から人間への進化メカニズム(循環論理の評価)⇒戦略的進化論

何故、日本は奈落の底へ落下するのか、その対策は何か

2012年10月21日 22時41分44秒 | 深刻な問題

 アメリカ、中国、ヨーロッパの戦略が顕在化する中で、日本はこれらの戦略の谷間に埋没してきた。1990年代、日本が莫大な借金を抱え、経済が停滞し、中国に抜かれることは分かっていた。しかも、中国に抜かれる時期は予想するたびに、どんどん前倒しとなった。

 1000兆円を超える借金は更に加速度的に増加している。GDPの約2倍と、あのギリシャよりひどい状況だ。小松左京は日本沈没を予想したが、実は日本は沈没しているのではなく、落下しているのだ。しかも、どこまで落ちるか歯止めがかからない。ブラックホールに吸引されるように奈落の底に落ちようとしている。

 日本に戦略が無かったと言うのは簡単なことだが、具体的に日本には何が欠けていたのか?日本では十分理解されていないことだが、元々、戦略とは軍事戦略の事だ。日本はシビリアンコントロールを目指す上に、平和ボケで、元々軍事戦略が無い。一方で世界、とりわけアメリカと中国は軍事戦略で動いている。

  アメリカはベルリンの壁崩壊以降、軍事戦略を大きく変更してきた。その原因を作ったのは日本だ。東西ドイツの統一はドイツ国民を含めた悲願だったが、この崩壊に日本が一役買ったと見る。アメリカはソビエトと冷戦構造で対立していたが、ふと気が付くと、日本が経済でアメリカに挑戦し、アメリカを買い占め、アメリカを脅かしていた。

 アメリカにとって、対峙していたソビエトよりも軍事同盟を結んでいた日本の方が怖かった。私のこの見方は、1990年代には大変奇異に感じられ、唐突に受け取られたと思うが、最近、これを裏付ける事実が最近出版された著書で明らかになった。

 ソビエトは経済的に行き詰まり自由主義に舵を切り崩壊し始め、軍事的にもアメリカの優位が明確になった。アメリカは冷戦終了へ動き、民族運動と連動してベルリンの壁は崩壊し、日本に全力で立ち向かってきた。 大きな転換は経済を軍事戦略に組み込んだこと。アメリカは日本が二度と挑戦できないように経済の仕組みもルールも変更し、徹底的に叩いた。

 BIS規制もそうだし、冷戦終了で余った諜報機関を経済戦略に利用し始めた。盗聴によって日本の情報は筒抜け、丸裸にされ、為替や株価を自由に操り始めた。特に悪情報を掴んだうえでの金融操作(盗聴による情報入手、大量の空売り、格付け機関の信用下げ)は日本の資産をアメリカに取り組む大きな武器だった。

 アメリカの軍事戦略を研究し良い所どりしたのが中国だった。中国は強力な軍事力(人民解放軍)をバックに経済を躍進させ、経済の成長率を上回る軍事拡大を図り更に経済を発展させた。例えば、日本はプラザ合意で、為替を変動相場に移行させられたが、中国はいまだに固定相場で、安定した経済政策がのぞめる。

 中国にはアメリカの強力な協力もあった。つい先ごろまで、日本はアメリカ中国にとって共通する敵だったので、アメリカは中国の日本に対する行き過ぎた横暴も見逃がしてきた。

 現在の経済状況を見るにつけ、日本はアメリカに莫大な金を供給し、中国や韓国が成長できるような足長おじさんであり、恰好の踏み台になってきたと言える。

 一方で、日本は実質的に官僚が支配してきた。自民党も民主党も官僚には歯が立たない。国内では向かうところ敵なしの官僚だが、実は官僚の世界には事実が無い。官僚は既得権を維持するために、より重要な事実を封じ込めあるいは隠蔽してきた。事実の無いところでは戦略が成立しない。

 官僚の、アホバカ間抜けぶりは地球規模で、アメリカや中国の戦略、あるいは欧州の統合(ドイツがアメリカとの距離を置き、経済的に利用されるのを防ぎたかったので欧州統合の中心的役割を果たした)の動きなど、分かるはずも無かった。

 官僚は教科書、実績が無い世界は対応できない。バブル崩壊以降は、ひたすら税金をばらまいて経済を持ち上げようとしたがすべて失敗し、大借金が残った。しかも、アメリカが官僚組織に隈なくCIAを浸透させるなど、その攻勢には歯が立たず、自らの既得権維持を認めてもらう代わりにアメリカの軍門に下ることにした。

 官僚は本来日本のために働くべきであるが、部分的に、しかも重要な決定事項においてアメリカの利益のために働いていると言えるだろう。そこで、官僚造語として「失われた10年」だの、「15年」だのが流される。

 日本に戦略が生まれにくい理由として、日本の教育で現代史を学んでないことも指摘しておこう。中学校でもせいぜい明治ぐらいまで学習すると、時間が無いとの理由で打ち切られる。その欠如した現代史こそが最も重要な歴史なのだ。教師としては触れたくないが、例えば戦争の場面は日本人の実態を余すことなく赤裸々に伝えてくれる。

 失敗の本質などを読んで欲しい。戦時中の日本軍の行為は現代に繋がっており、場面が異なるだけで、日本人が本質的に変化していないことを知ることが出来る。あの中国が日本は歴史に学ばないと笑っている。古代なんて捨てても良いから、現代史を学ぶべきだ。昨日のことが分からないから、今日のこと、自分自身が分からない。

 日本を復活させるには速攻治療として、金融緩和が求められる。為替への介入は筋が悪い。日銀は金融緩和競争で完全に後手後手にまわっており、円高要因になっている。日銀は元々、インフレを極端に嫌い、インフレにする気など毛頭ない。インフレ目標も1%では実現しなかった時の言い訳を用意しているようなもの。2%以上を目標にし、失敗しても1%以上を維持させる。

  最も良い手は、円高を利用し、世界中の資源、企業などを買って買って買いまくること。数100兆円を用意したら良い。ここで、商社をはじめ日本のノウハウや叡智を集め、将来を見越した買い物をすべきだろう。例えば孫正義に購入する企業などを担保、保険加入を条件にし、50兆円渡して、有力企業を買収するよう要請するなんてのも面白い。

 世界の資源や有力企業を買い進めれば、将来への大きな備えになり、かつ金融緩和と同じ効果を生む。韓国が破綻後、V字回復したのもウオンが急落したため。一時は人件費が日本並みになっていたのが現在は半分。それが韓国の成長を支えている。例えば、1ドルが120円ぐらいになると、日本の製造業は完全に息を吹き返す。中国との逆転が起き始める。

 長期的に見て確実な方法は日本発展の最大のガンである官僚組織を改革することだ。民主党が政権を取った時、官僚人事に介入し改革すると期待していた。経済がにわかに回復することは無いが、いずれ着実に上昇し始めると期待していた。ところが、このていたらくだ。

 あまりにも民主党は素人すぎる。物事の進め方が全く分かっていない。かと言って、自民党に戻ると、また、土建屋さんが総動員で必要もないダムやビルを作り出す。一般の方はご存じないが、土建屋さんは選挙のプロだ。選挙でビジネスを確保している。自民党も官僚神輿に乗っていたから政府を運営できたに過ぎない。

 維新の会でもみんなの党でも頑張って、政権をとり、官僚改革を断行してほしい。兎に角、トップ人事に手を付けるべきだ。改革に反対する次官はどんどん、毎月でも切り飛ばし、発展を推進できる若手を養成すべきだ。有能な官僚は必要だ。

 日銀の独立性は時期が早すぎたので、一旦研究期間を10年ぐらい置き、戦略的なマネジメントができるようになってから元に戻せばよい。

 長期的には日本の将来ビジョンの策定と、それに従った大学教育の確立。居眠りしていても卒業できるような大学の状態では、未来はない。例えば、英語が分かり易い。英語を聞き取り、喋れないような学生に大学英語の単位をやる必要はない。まずは教師の質が問われる。大学は未来を創造すべき学生の質を担保しろ。

 また、日本の教育界は暗記型教育ばかりに偏り、教育をビジネスに身売りさせ、教育が利益集団を生むことになった。経済大国になる前から、リーダーシップを身に着けるべく舵を切るべきだったのに全くおろそかにした。そのことが日本をしてリーダー不足にさせている。企業やスポーツ界を見て分かる通り、リーダーは輸入しなければならない状況。大量の命令待ちロボットが蔓延している。

 発展のベーシックな駆動力、最終戦略はアメリカを中心とした世界展開を実現するための緊密な協力関係だろう。日本の経済成長が破綻したのは、アメリカをはじめ世界を無視して自分たちだけの世界を作ろうとしたからで、アメリカの逆襲を招いた。日本が発展するとアメリカをはじめ世界に貢献できるというビジョンが求められる。

 アメリカとはトップどうしが常に連絡し合い、腹を割って話し合わなければならない。アメリカの利益、世界のポリスとしての軍事力を維持拡大する全面協力無しにアメリカが日本の経済発展を認める筈が無い。