【社説②】:'19統一地方選 無投票で道議に 自治機能の危機を招く
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:'19統一地方選 無投票で道議に 自治機能の危機を招く
道議選は29日の告示が迫っている。
気がかりなのは、無投票になりそうな選挙区の多さである。全46選挙区のうち21選挙区の計35人に上り、選挙区、当選者とも過去最多になる見通しだ。
定数100の3割を超える議席が、選挙の洗礼を受けずに与えられることになる。
無投票が増えると、有権者に見られているという緊張感が薄れ、道政をチェックする道議会の機能が弱体化しかねない。
北海道の民主主義、地方自治の危機といっていい。候補を擁立する政党や団体は深刻に受け止め、新たな人材を発掘する手だてを考えるべきだ。
無投票は2015年の前回が19選挙区28人、その前の11年が14選挙区31人だった。
今回、無投票が増えるのは、第2会派の民主・道民連合を構成する勢力が候補者を十分に擁立できていないことが大きい。
前回は当時の民主党が43人を立てたが、同党の流れをくむ立憲民主党と国民民主党が今回擁立するのは、他会派所属を含めても39人にとどまる。
旧民進党が分裂した影響を引きずり、立憲民主党と国民民主党の調整不足が露呈したといえる。
しかし、両党は自民党と公明党に支えられた高橋はるみ知事と対峙(たいじ)してきた最大野党として対立軸を打ち出す責務があるはずだ。
道政奪還を目指し、これまで道民とどう向き合ってきたのか。真剣さを疑われても仕方あるまい。
最大会派の自民党は前回と同じく54人の公認に加え、新人3人を推薦する。
現有議席の確保を優先する「安全策」をとった結果、擁立に消極的になったのが実情ではないか。
道議会は地方議会の中でも政党色が濃く、政党が果たすべき責任は重い。道内の各党は、そのことを自覚する必要がある。
そもそも候補者が現れない要因には、道議会への不信感もある。
政務活動費の使い方や道議会庁舎の建て替え問題、質問と答弁を事前にすり合わせる答弁調整など、有権者の感覚とかけ離れていると批判されながら、なかなか改革が進まない。
これでは、声が代弁されていると道民は実感できす、道議を志す人も出てこないだろう。
道議会の中でしか通用しない内向きの論理から脱却し、道民との距離を縮めることが重要だ。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年03月25日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。