【企業】:歌舞伎やロボット、忍者… 機内ルール説明 航空各社が工夫
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【企業】:歌舞伎やロボット、忍者… 機内ルール説明 航空各社が工夫
フライト中のルールや緊急時の脱出方法などを説明する旅客機の安全ビデオやしおり。真剣に見ないこともある乗客の注目を集めようと、ユニークな「作品」をつくる航空会社が国内外で増えている。歌舞伎役者やロボット、忍者などが登場し、機内の安全をアピールしている。
拍子木が鳴り響き、赤、緑、黒色の幕が開くと、和服を着て化粧をした役者が旅客機に乗り込む。通路に置かれた風呂敷包みに足が引っ掛かって「おっとっと」と転びそうになったり、酸素マスクをつけながら見えを切ったり。禁煙を訴える場面で役者がくわえているのはたばこではなく、昔ながらのきせるだ。
全日空は約四分間のビデオを昨年十二月から国内線で、今年一月からは国際線で流している。同社は「大切な情報を確実に伝えるためどう目を引くか」を検討し、訪日外国人に日本文化に親しんでもらうことからも歌舞伎の演出を決めた。
利用客の受けは上々だ。「歌舞伎役者を初めて見て興味深かった。日本に旅行で来てみたいと思った」と、ベトナムから米国への乗り継ぎで成田空港に立ち寄ったバオ・トランさん。国内線を使った滋賀県東近江市の福永美代子さん(67)は「真面目なものより面白い方が良い。日本らしさもある」と評価した。
国内航空会社は国土交通省の通達で、ビデオやしおりなどを使い安全に関する情報を乗客に周知するよう義務付けられている。同省によると、緊急時に衝撃に備える姿勢など必要な項目は定めているが、どのような内容ならば承認するかという明確な基準はない。
日本ではスターフライヤーが二〇一一年から忍者やロボットのCGを登場させる目新しいビデオを始めた。
海外ではニュージーランド航空が〇九年、制服をボディーペイントした乗務員が演じるビデオを始め「革新的な安全ビデオのパイオニア」を自負する。ニュージーランド航空はダンスで機内のルールを説明するなど、十六種類のユニークなビデオを制作した。担当者は「乗客に驚いてもらうものを作り続ける」と話し、今後もエンターテインメント性を追求していく。
元稿:東京新聞社 夕刊 主要ニュース 経済 【企業・産業】 2019年03月07日 15:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。