【菅首相の記者会見詳報】:1人1問の会見 本紙記者「再質問に応じて」と要望、結果は…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【菅首相の記者会見詳報】:1人1問の会見 本紙記者「再質問に応じて」と要望、結果は…
菅義偉首相の7日の記者会見で、内閣記者会の幹事社として最初に質問した本紙は「国民の疑問に答える有意義な質疑となるよう再質問があった場合、応じるようお願いします」と直接、求めた。首相会見は1人1問が原則とされている。この日も、会見の開始前に事務方が注意事項として「追加質問はお控えください」と述べていた。
緊急事態宣言を月末まで延長し、4都府県に愛知、福岡両県を追加することを決め、記者会見する菅首相=7日午後、首相官邸で
会見に先立ち、本紙を含む内閣記者会の一部加盟社は、回答が不十分だったりした場合は再質問を認めるよう、小野日子内閣広報官に要望していた。会見での本紙の求めに対し、首相は発言しなかったが、フリーランス記者の再質問には応じた。
記者会見は、菅首相の冒頭発言後、内閣記者会の幹事2社(各社持ち回り制)が順に代表質問した。その後、司会の小野日子内閣広報官が挙手した記者の中から指名。幹事社を含め16人が質問した後、まだ挙手している記者がいたが、58分で打ち切った。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も同席した。
記者会見の詳報は次の通り。
【冒頭発言】
新型コロナ対策本部を開催し、緊急事態宣言の対象地域に愛知県、福岡県を追加し、5月31日まで延長することを決定した。また、まん延防止等重点措置について北海道、岐阜県、三重県を追加し、5月31日まで延長すること、宮城県は5月11日に終了することを決定した。
新規感染者数は東京、大阪ともにステージ4を大きく超える水準にあり、それぞれの圏域の中心である愛知や福岡においてもステージ4を超えている。感染力が強いとされる変異株も拡大を続けている。このため緊急事態宣言を延長し、ウイルスに対する強い警戒を維持し、改めて対策が必要であると判断した。今回の延長により引き続き負担をおかけする皆さまに深くおわびを申し上げる。
今後は、高い効果の見込まれる措置を徹底して対策を講じていく。飲食店におけるお酒やカラオケの提供の停止を続け、新たにお酒の持ち込みを制限することを対策に加える。
長引く感染対策の決め手となるのがワクチンだ。英国では、国民の約半数に1回接種を行ったところだが、一時、1日6万人を超えていた新規感染者数が約2000人まで減少している。私たちが安心した日常を取り戻すことができるかどうかは、いかに多くの方に接種できるかにかかっていると言っても過言ではない。
私自身が先頭に立ってワクチン接種の加速化を実行に移す。来週より順次、全国の自治体で本格的な接種が始まる。24日からは東京、大阪の大規模接種センターでも始まる。その後、1日100万回の接種を目標とし、7月末に希望する全ての高齢者に2回の接種を終わらせるよう政府としてあらゆる手段を尽くし、自治体をサポートしていく。既に全国の市町村に来月末までの供給量を示しており、月初めまでに約4000万回分をお届けする。
先日、訪米の際に私がファイザー社と協議した結果、新たに9月末までに5000万回分のワクチンが追加されることとなった。来年分として、モデルナ社やノババックス社と合計2億回分の供給を受けることを前提に協議を進めている。
来月中を目途に高齢者の接種の見通しが付いた市町村から基礎疾患がある方々を含めて、広く一般の方々にも接種を開始したい。また、ファイザー社との協議において、東京大会に参加する各国の選手団に対し、ワクチンを無償で供与をしたいという申し出があった。各国選手への供与が実現し、安全安心の大会に大きく貢献することになる。
感染の急拡大の要因とされる変異株について、国内の監視体制を強化し、新たな変異にも常に警戒を行っていく。当分の間、インド、パキスタン、およびネパールからの入国者に3回の検査と、入国後6日間のホテルでの待機を求め、水際対策を強化していく。
ウイルスとの戦いは一進一退が続いている。また緊急事態宣言の延長かと失望される方も多いかと思う。国民の皆さんに安心できる日々を取り戻していただくため、ワクチン接種の加速化を実行する。感染拡大を何としても食い止める。この2つの作戦に私自身、先頭に立って取り組んでいく。
【質疑応答】
◆短期集中、適切だったのか
記者(幹事社・東京新聞) 大型連休の人流抑制や自粛の効果を見極められないうちに緊急事態宣言の延長を判断したが、期間や対策は適切だったか。そもそも短期集中という設定は正しかったのか。国民にさらなる自粛や事業の制約を求める以上、解除の具体的な基準を明示すべきではないか。各社の再質問があった場合、応じていただけるようお願いする。
首相 多くの人出が予想されるゴールデンウイークという特別な期間に短期集中的な対策として、飲食の対策に加え人流を抑える対策を取った結果、人流の減少という所期の目的は達成できた。解除の基準はステージ4を脱却することが目安となるが、専門家や自治体の意見を聞きながら総合的に判断していく。
記者会見する菅首相(左)と新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長
記者(幹事社・共同通信) どのような感染状況になっても国際オリンピック委員会(IOC)が中止を判断しない限り、政府は東京五輪・パラリンピックを開催する立場か。
首相 対策を徹底することで国民の命や健康を守り、安全・安心の大会を実現することは可能と考えており、しっかり準備していきたい。
◆休業要請の緩和は妥当か
記者(毎日新聞) 大型施設への休業要請を緩和するが妥当か。
首相 連休も終わる中、今後は平常の時期に合わせた高い効果が見込まれる措置を徹底することで方策をしっかり講じていく。
記者(TBS) どう変異ウイルスに取り組んでいくのか。
首相 まず水際対策をしっかり行う。同時にワクチンが変異株に効果があると言われており、接種を急ぐことが大事だ。
◆ワクチン接種、自治体との情報共有は
記者(ラジオ日本) ワクチン接種について政府と各自治体で情報共有するための工程表は作るか。
首相 自治体の状況を個別に丁寧に聞きながら7月末を念頭に高齢者接種を終わらせたい。いろんな課題があった場合は市町村としっかり打ち合わせをして進めていきたい。
記者(産経新聞) 改憲による緊急事態条項がなければ取れないような感染症対策はどういうものを念頭に置いているか。
首相 接種が遅れるなどいろんな問題が浮き彫りになった。落ち着いたらそうしたことを検証して対策を考える必要がある。
記者(日本テレビ) 休業要請の効果をどう分析するか。
首相 多くの人出が予想されるGWにおいて人流の減少という目的を果たせた。
◆五輪、日本人選手もワクチン接種終えるのか
記者(伊テレビ局SkyTG24) (東京五輪では)日本人選手も全員ワクチン接種を終えると保証できるか。
首相 ファイザー社から選手団にワクチン提供の提案があった。各国選手へワクチンの無償提供を行う。日本選手の分もその中にあるので接種したい。
◆ワクチン接種、年内に終えられるか
記者(京都新聞) コロナ禍で五輪を目指すことに厳しい風当たりを感じ、苦しんでいるアスリートにメッセージは。
首相 安全安心な大会にするので懸命に取り組んでいただきたい。
記者(時事通信) 一般の国民がワクチン接種を終える目標の時期は。年内に終えることは可能か。
首相 来月中をめどに高齢者の接種の見通しが付いた市町村から基礎疾患を有する方々を含め、一般の方への接種も開始したい。まずは高齢者を終え、国民に広く接種していく。現時点ではそこまでにさせていただきたい。
記者(フリーランス・安積明子氏) 変異株がまん延するインドにいる邦人に、領事館でPCR検査をする仕組みが必要では。
首相 PCR(検査)をする場所を領事館で紹介し、行えるようになっていると報告を受けている。
◆ワクチン1日100万回の根拠は
記者(日本経済新聞) 1日に100万回のワクチン接種を目指す目標に触れたが積算根拠は。
首相 接種が本格的になって慣れてくれば可能だと思っている。
記者(テレビ東京) 大規模商業施設の休業要請を緩和すると感染対策を緩めることにならないか。
首相 感染拡大を防ぐ対応策で全て止めていいのかという批判もあり、総合的に考えて対応した。
◆五輪の外国人関係者の監視、可能か
記者(ラジオ・フランス) 東京五輪のために来日する選手を除く外国人関係者の行動を監視することは可能か。
首相 大会関係者と一般の国民が交わらないように滞在先や移動手段を設定する。水際(対策)を含めてさまざまな制約があり、安全対策を徹底していきたい。
◆高齢者ワクチン、7月に完了できる自治体数は
記者(読売新聞) 高齢者向けのワクチン接種について政府は7月末までの完了を目指すが、どの程度の自治体が可能か。
首相 1700を超える市町村の中で、1000は7月末までに終えられると報告を受けている。医師や看護師の人手が少ないという問題はしっかり支援したい。
記者(フジテレビ) 宣言の長期化への疲れや慣れをどう考えるか。
首相 新型コロナの影響が長期化する中で自粛疲れや慣れが出ているとの指摘はその通りだ。酒の持ち込みもしないでほしいとお願いするなど粘り強く行っていくことが大事だ。
元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政局・菅首相の記者会見】 2021年05月07日 22:07:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。