路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説】:東北新社の接待調査 行政ゆがめた疑念募る

2021-05-31 06:00:20 | 【中央省庁・内閣府・1府11省2庁・公取委・主任の大臣・事務次官・官房・

【社説】:東北新社の接待調査 行政ゆがめた疑念募る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:東北新社の接待調査 行政ゆがめた疑念募る 

 総務省幹部の接待問題で、放送事業会社「東北新社」は先週、特別調査委員会の報告書を公表した。2020年12月までの約5年間で会食が54件あり、いずれも同社が費用を負担していたことを確認したという。

 総務省が2月に公表した39件を上回った。内部調査では漏れが避けられない証しでもある。「ばれなければ良い」と知らんぷりしている官僚が多いのではないか。そんな疑念が深まる。

 官民の癒着が放送・通信行政をゆがめたことはなかったか、厳しいチェックが求められる。総務省は既に第三者の検証委員会を設け、調べている。信頼回復には徹底的な調査が必要だ。

 東北新社の報告書は、会食はコンプライアンス(法令順守)上、重大な問題がある、と指摘した。しかも総務省との関係は明らかに限度を超えていた。

 「忘年会いかがですか」「暑気払いを兼ねた情報交換会を設定させて…」。そうした東北新社からのお誘いメールに、ほいほい乗った幹部に公務員としての自覚はあるのだろうか。

 放送事業者からの申請の公募中や、認定審査の期間は、総務省への会食の誘いは避けていたという。後ろめたい思いが東北新社にあったからに違いない。

 会食への出席は、担当の執行役員が49件で最も多く、菅義偉首相の長男の正剛氏が22件で続いた。だが、報告書は「菅氏とつながりがあるかのように示唆して働き掛けをする意図があったとは認められない」とした。

 しかし直接の担当者ではないのに、なぜこれほど多く出席したのか。会話の盛り上げ役を期待したとの説明は説得力を欠く。長男がいるだけで、総務省側に菅氏の威光を感じさせることができたのではないか。

 さらに深刻なのは、放送法の外資規制に違反していた問題である。報告書は東北新社幹部が17年8月に総務省を訪れた時、規制違反について「何らかの報告・相談を行ったと認定することが合理的だ」とした。

 しかし総務省側は3月、国会で「記憶は全くない」と答弁し、食い違う。ただ東北新社の調査はメールや社内会議の資料に基づいており、具体的だ。どちらが信用できるだろうか。

 新たに疑念を招く事実も発覚した。東北新社幹部が総務省を訪問した直後、課長との会食でプロ野球の話題が出たため、後日、同社の持つ東京ドームのチケットを渡していた。時期や相手を考えると規制違反を大目に見てもらった対価と見られかねない。「軽率に過ぎ、驚きを禁じ得ない」。そう報告書が指摘するのも当然だ。むしろ、チケットを受け取った課長の倫理観の乏しさこそ責めるべきだ。

 放送行政に詳しい大学教授は「利害なしの接待なし」と言い切る。平時に杯を重ねて懇ろになり、何かあったときに特別扱いしてもらえる関係をつくるのが接待の真の狙いだという。

 放送や通信の許認可権限を持つ総務省に取り入ろうと、幹部の接待に走る事業者は少なくあるまい。実際、東北新社だけではなく、通信大手のNTTによる高額接待も明らかになった。

 問題は、官の側がどうやって癒着を断ち切るかだ。政府を挙げた抜本的な意識改革が必要だ。利害関係者との付き合いはどうあるべきなのか。明確なルール作りも急がれる。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月31日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録】:南極が溶ける問題

2021-05-31 06:00:10 | 【生物学・特定外来生物法・動物生態系・終生飼養・環境税・花粉症】

【天風録】:南極が溶ける問題

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:南極が溶ける問題

 世界最大の氷山が生まれたという。面積は東京都の約2倍に相当する。南極大陸の棚氷と呼ばれる陸から分離した。南極は日本の36倍もの大きさなのだから分離した氷山なんてわずかなもの…とは言っていられまい▲昔の大気や隕石(いんせき)などを閉じ込めた南極の氷は「タイムカプセル」。気候の変化を知る手掛かりとなる。一方、人による汚染が少ない南極ではわずかな環境悪化でもすぐ現れる。地球の健康度を測る「バロメーター」だ▲氷山の分離もメーターがこの星の「病」を警告しているのか―。そう思われて背筋が寒くなるが、専門家によると、今回の現象は自然のサイクルで気候変動とは関係ないそうだ。海面が上昇することもないという。とはいえ、やはり気に掛かる▲「南極が溶ける問題解けないよ」。日本自動車連盟が募った「JAFみんなのエコ川柳」の中高生部門で、大賞に輝いた一句である。遠い極地の現象であっても、地球に暮らす私たちの問題として捉える視点は心強い▲探検家アムンゼンの南極点到達からことしで110年。この間、平均気温は少なくとも0・6度上がったという。氷が溶けるのはその影響でないのか。問題を早く解かなくては。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2021年05月31日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【米国】:プーチン氏に人権問題提起へ バイデン大統領「侵害看過せず」

2021-05-31 05:22:30 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【米国】:プーチン氏に人権問題提起へ バイデン大統領「侵害看過せず」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【米国】:プーチン氏に人権問題提起へ バイデン大統領「侵害看過せず」

 【ワシントン共同】バイデン米大統領は30日、ジュネーブで6月16日に開くロシアのプーチン大統領との初の首脳会談で、人権問題を提起する意向を示した。東部デラウェア州で演説し、会談では「プーチン氏が人権を侵害するのを米国は看過しないと明白にする」と述べた。ロシアによる反体制派ナワリヌイ氏弾圧の問題などを取り上げるとみられる。

 バイデン氏は、プーチン政権に近いベラルーシのルカシェンコ政権が旅客機を強制着陸させて反政権派を拘束した問題に関しても、会談で懸念を伝える方針。人権問題を巡りプーチン氏と厳しいやりとりが予想される。

 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 国際 【北米・バイデン政権】  2021年05月31日  05:22:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:LGBT法案 成立断念は納得できぬ

2021-05-31 05:05:50 | 【LGBTQ+=ジェンダー・アイデンティティ、レズ、ゲイ、バイセクシャル、

【社説①】:LGBT法案 成立断念は納得できぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:LGBT法案 成立断念は納得できぬ 

 自民党はLGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案の今国会提出を断念した。保守派が強く反対し、党内の議論が紛糾したためだ。

 法案については与野党が合意し、議員立法で提出する方向だった。だが、自民党保守派は目的と理念を表した「差別は許されない」という文言に不満を示していた。

 差別を許さないことに疑問の余地はないはずだ。成立断念は納得できない。

 性的少数者への権利拡大が国際的に進む中で、日本では理解が広がっていない。多様性のある社会の構築が急務だ。

 法案はその一歩にすぎず、さらに踏み込んだ対策も待たれる。

 与野党は一刻も早く成立を期すべきだ。

 法案に関する自民党内の議論で、山谷えり子元拉致問題担当相は「体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろとか、ばかげたことが起きている」と語った。

 簗和生元国土交通政務官は「生物学上、種の保存に背く」と発言した。時代錯誤も甚だしい。

 これまでも自民党の議員はLGBTのカップルを「生産性がない」と表現するなどして、厳しい批判を受けてきた。

 だが、性同一性障害と診断された経済産業省職員が職場のトイレ使用のあり方を問うた訴訟で、東京高裁は「性自認に基づく性別で社会生活を送るのは憲法で保障された権利」と認めている。

 問われているのは自民党の体質だ。総裁の菅義偉首相は是正に向けてリーダーシップを発揮する必要がある。

 性的少数者が職場や公共の場のトイレを利用できないのでは多様性ある社会とは言えまい。

 男女だけでなく誰もが使えるトイレの設置はまだ不十分だ。こうした状況を改善するためにLGBT法の必要性は高まっている。

 3月には、同性同士の結婚を認めない現行制度が憲法に違反するかどうか争われた訴訟で、札幌地裁は憲法第14条が保障する「法の下の平等」に反するとの全国初の司法判断を示した。

 性的指向や性自認を理由とする差別や偏見に苦しむ人たちに向き合い、社会全体へと理解を広げることは時代の要請でもある。

 応えるには、今回のような理解増進を図る法整備が最低でも必要となる。それさえもできないと言うのなら、自民党は与党としての責務を果たしていないと言うしかあるまい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月31日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:銀行の業務拡大 地域支える役割第一に

2021-05-31 05:05:40 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説②】:銀行の業務拡大 地域支える役割第一に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:銀行の業務拡大 地域支える役割第一に 

 地域での銀行の役割が改めて問われる機会となろう。

 改正銀行法が成立し、銀行の業務が拡大されることになった。

 ITシステム販売など新たなビジネスが認められ、出資制限も緩和される。11月にも施行される。

 銀行法は業務範囲を厳しく制限してきた。本業の金融以外に手を出して経営が悪化すれば、預金者に影響を及ぼしかねないためだ。

 だが融資の利ざやで稼ぐ従来のビジネスモデルは低金利で難しくなっている。法改正は収益の機会を広げるとともに、取引先などへの支援拡充を後押しする。

 銀行は経営リスクを考慮した上で、業務拡大を自らの収益増だけでなく、地域の経済社会の再生に生かしてもらいたい。

 新たな業務としてアプリの販売、データ分析、広告、登録型人材派遣などができるようになる。

 豊富なデータや知見に基づく銀行ならではのシステムや、専門人材の供給が期待される。

 デジタル化のノウハウや人手の不足に悩む取引先の経営改善につなげてほしい。

 ただ銀行が優越的な地位から新たなサービスを押しつけるようなことがあってはならない。当局は監督の目を光らせるべきだ。

 まちづくりや地場産品販売など地域活性化に取り組む企業への銀行の出資は、従来の50%から100%を可能とする。

 取引先の事業承継支援では、新しい経営者が見つかるまで銀行が株式を保有できる期間を倍の10年に延長する。

 経営再建中の企業への出資も、要件になっている民事再生法の計画認可を外し、早い段階から関与できるようにする。

 新型コロナで飲食業や観光業などの経営は苦境が続く。雇用も懸念される。再生の可能性を十分に見極めて、踏み込んだ出資で支えることも検討してはどうか。

 地方銀行の再編費用を国が支援する改正金融機能強化法も成立した。7月施行の予定だ。

 地銀の数を減らして規模を大きくし、過当競争を防ぐことが菅義偉政権の狙いだろう。

 人口減や地場産業の衰退などで乏しい資金需要を奪い合っているのは確かだ。カードローンなど高利回り商品での収益確保も限界があり、社会の視線も厳しい。

 しかし規模の拡大だけでは問題が解決しないのも明らかである。取引先や地域社会の成長の種を見いだす目利き力を向上させ、地域貢献を収益につなげたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:信念ある就活を

2021-05-31 05:05:30 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【卓上四季】:信念ある就活を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:信念ある就活を 

 昭和の名人古今亭志ん生は落語家という職業について「まるっきり馬鹿(ばか)じゃできない商売。利口じゃこんなことやる奴(やつ)ぁない」と笑いを誘った▼もう一方の名人桂文楽にはこんな逸話も。弟子入り志願の若者が来たが、自分の噺(はなし)を聞いたこともないという。あちこちに入門を頼み込む「常習犯」だった。「今の若い人はわれわれと違って教養もあろうが、信念がなさ過ぎます」と嘆いた(「芸談あばらかべっそん」ちくま文庫)▼今の世はその逆か。多くの企業にエントリーシートを提出し、内定を確保するのが就職活動の常道だ。希望の仕事に就けるとは限らず、まずは入社して数年後に次の道を探す人もいるらしい▼あすから、来春卒業する大学生の面接が解禁となる。コロナで対面方式が難しくなり、ウェブを活用する企業も多い。今春の大卒就職率は大幅な低下を記録した▼逆風の中の就活である。不採用通知が届けば、心も折れかけるだろう。それでも信念は持ち続けてほしい。人生かけて成し遂げたい理想や、学生時代に熱意を注いだ活動が、きっと心の支えとなる▼志ん生が得意とした「唐茄子(とうなす)屋政談」の若旦那は道楽が過ぎて勘当され、おじに拾われる。行商を命じられ、みっともないからと嫌がると「どんなものだって売って、口銭上げりゃ立派なお商人(あきんど)だ」と一喝される。働くことは尊く、職業に貴賎(きせん)はない。それが基本である。2021・5・31

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2021年05月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説】:香港民主制 骨抜き 中国は強硬姿勢改めよ

2021-05-31 05:04:55 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説】:香港民主制 骨抜き 中国は強硬姿勢改めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:香港民主制 骨抜き 中国は強硬姿勢改めよ

 香港立法会(議会)で27日、選挙制度の見直しに関する条例案が賛成多数で可決された。当局が認定する「愛国者」以外は立候補できなくなり、香港の政治から民主派勢力が排除される内容だ。

 中国の習近平国家主席が主導する「愛国者による香港統治」は、香港の政治、行政、立法の人員を、共産党に反対しない「愛国者」で構成することを狙ったものだ。その総仕上げとなる選挙制度の見直しが完了したことにより、香港の民主主義は骨抜きになり「一国二制度」は事実上終了したといっていい。
 「香港人による香港統治」という高度な自治の保障は、香港返還に際して中国が国際社会に示した約束のはずだ。香港市民の自由を封じ、力ずくで中国共産党の支配を行き渡らせようとする習指導部の強硬姿勢を認めるわけにはいかない。国際社会の声を高めて、中国に専制主義を改めさせなければならない。
 新制度は、立法会選挙などへの立候補者が「香港への忠誠」という条件を満たしているかどうかが審査される。また、政府トップの行政長官を選ぶ「選挙委員会」の定数は1200から1500に増枠し、増えた分は中国と関係の深い組織に割り当てる。選挙への立候補には、親中色が強まる選挙委員会からの推薦も必要となる。
 親中派が確実に多数を握る仕組みをつくり、立候補に当たって中国共産党が認める「愛国者」となるかどうか踏み絵を踏ませる。徹底排除される民主派勢力は、厳しい対応を迫られることとなる。
 選挙制度見直し案の採決は賛成40、反対2だった。だが、立法会の定数は70であり、3分の1は採決に加わっていない。香港国家安全維持法に反対した民主派議員4人の資格を香港政府が剥奪(はくだつ)し、それに抗議した議員15人が一斉辞職した後だからだ。
 異を唱える議員を強権で排除して議会を無力化した上で、国家の都合のいい選挙制度に作り替える。ワイマール共和国の議会制民主主義に終止符を打った、ドイツのヒトラーの手法そのものである。
 国際社会からの批判を「内政干渉」として突っぱねる中国の姿勢は通用しない。香港は、中国本土と異なる独自の制度と民主主義が認められた地域だからだ。香港の憲法に当たる香港基本法は、1984年の中英共同宣言に基づき、香港返還後も50年間は、資本主義を維持し「高度の自治」を香港に認めると規定している。習指導部のやり方は明らかに基本法に反している。
 香港の完全掌握の先に、武力を背景にした台湾の統一という習氏の野心があるのだろう。米国は同盟国を巻き込んで台湾問題への関与を強めている。沖縄も戦争に巻き込まれる危険性が高まるなど、深刻な影響が及んでいる。
 東アジア地域の安定のためにも、香港の自治侵害を放置することはできない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:パインのストロー

2021-05-31 05:04:50 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【金口木舌】:パインのストロー

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:パインのストロー

 5月31日は、世界保健機関(WHO)が定めた「世界禁煙デー」。健康被害が広く認識されたこともあり、厚生労働省によると成人男性の喫煙率は1989年の55.3%から、2019年の27.1%と30年で半減した

 ▼なかなかたばこがやめられない人も。原因はニコチン中毒だとされるが、ガムをかんだり、アメをなめるなどの禁煙方法もある。口寂しさを抑えるためだ
 ▼普段から慣れ親しんでいる感覚がなくなるのは寂しい。ストローも同じ。環境保全のために紙製のストローも提供されるようになったが、やはり慣れ親しんだプラスチックの感触の方がいいと感じてしまう
 ▼とはいえ、健康と同様に、環境のことも考えなければならない。国連環境計画(UNEP)などによると、ストローなどから溶け出るプラスチックごみは年800万トン以上が海に流出しており、汚染は深刻だ
 ▼食品関連開発・販売のフードリボン(大宜味村)が、パイナップルの繊維を使ったストローを販売している。収穫後に廃棄されるパインの葉など100%天然素材を使用している一方で、ふやけないなど耐久性が特徴
 ▼持続可能な開発目標(SDGs)を推進する県内ホテルなどで使用が始まっている。慣れ親しんだものを捨てるのは難しいが、環境被害が広く認識されることでプラスチック使用量の半減も実現できるかもしれない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年05月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:コロナ禍での五輪 中止を決断すべき時だ

2021-05-31 05:04:45 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:コロナ禍での五輪 中止を決断すべき時だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:コロナ禍での五輪 中止を決断すべき時だ

 政府は28日、新型コロナウイルス対策である緊急事態宣言を9都道府県で6月20日まで延長すると発表した。会見で菅義偉首相は宣言下での東京五輪・パラリンピックの開催について「準備を進める」と述べ、観客を入れる方向で検討することも表明した。

 だが宣言期限までに収束する科学的根拠はない。むしろ拡大を予期させる材料ばかりだ。感染力の強い英国やインド由来の変異株が広がる中、ワクチン接種は追い付いていない。世界を見ても接種が進んでいるのは欧米の一部だけだ。医療の逼迫(ひっぱく)は限界に近い。
 こうした状況を踏まえ、五輪開催に国内外で強い不安の声が広がっている。菅首相は国民の生命や健康を最優先し、開催中止を決断すべきだ。
 首相はワクチンを「切り札」として、7月末までに全高齢者への接種完了を目指す。だが12日発表の政府調査では市区町村全体の14%が7月末までに完了できないとしている。7月23日開会の五輪期間中、国民の大半が未接種だ。
 米国の感染症の専門家は五輪開催の推進は「最善の科学的根拠に基づいていない」とし「中止が最も安全な選択肢かもしれない」と指摘する。9万人以上の関係者が集う五輪が「一大感染イベント」になる可能性に、世界から懸念の声が相次いでいる。
 しかし首相はじめ国際オリンピック委員会(IOC)など関係者は開催に前のめりだ。開催ありきの発言や姿勢が国内外から批判を浴びている。共同通信による今月中旬の世論調査で約6割が中止を支持した。民意とかけ離れた祭典の開催に、なぜこだわるのか。
 五輪に詳しい米パシフィック大のジュールズ・ボイコフ教授は理由は三つだとして「カネとカネ、そしてカネだ」と指摘する。そのほとんどが選手たちに使われず、大会の運営や放映、出資する人々の手に入ると説明する。米有力紙ワシントン・ポストはIOCのバッハ会長を「ぼったくり男爵」と呼んだ。開催に突き進む理由が一部関係者の利権だとすれば、言語道断だ。
 現状での開催は意義を失っている。五輪憲章は機会の平等を掲げるが、コロナ禍で準備不足の選手がいるほか、医療従事者を五輪のために確保することにも不公平感がある。選手間や住民との交流も難しい。今や政府が唱える「復興五輪」や「コロナに打ち勝った証し」は空虚に響く。
 野村総合研究所の試算では中止した場合の経済的損失は約1兆8千億円。昨年や今年初めの宣言下での損失各6兆円以上よりはるかに少ない。むしろ五輪が感染拡大を招いた場合の損失の方が大きい。
 コロナ禍で生活困窮者が急増した。五輪費用を困窮者支援に充てる発想も必要だ。県出身を含め選手にとっては残念な状況ではある。だが判断の先送りは事態の悪化を招く。論理性と柔軟性を欠き、一度決めたら止められない政治に国民の命は預けられない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【金口木舌】:同じ方向を向いて

2021-05-31 05:04:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【金口木舌】:同じ方向を向いて

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:同じ方向を向いて

 「君がイエスと言えば、僕はノーと言う」「君が止まれと言えば、僕は行けと言う」。ザ・ビートルズのハローグッバイの歌詞だ。ポップなメロディーが印象的で、楽曲を聴いたことがある人も多いはず

 ▼楽曲制作の過程では、世の中の相反する言葉を出し合いながら歌詞をつづったとされる。登場する2人の会話はすれ違い、「僕」は「なぜなんだ」と嘆く
 ▼同じすれ違いで見過ごせないのは、県教育委員会が実施した部活動実態調査の結果だ。信頼関係の有無や体罰の解決に関する項目で、生徒と指導者の間で認識の差があった。教育の一環の部活で、生徒が指導者を信頼できず体罰などが残るとしたら 「なぜ」と頭を抱えたくなる
 ▼以前、取材した指導者は体罰を行わないことが信念だった。一方で期待する生徒には厳しい言葉を投げ掛けていたという。チームは強くなったが徐々に笑顔がなくなり、厳しい言葉を受けた生徒は去って行った
 ▼その指導者は生徒と気持ちがかみ合っていなかったことを悔やむ。「厳しいだけではなく楽しさも伝え、生徒の背中を押す存在になるべきだった」と自戒を込めた
 ▼県内では現在、県高校総体が開催されている。主役である生徒たちと、指導者はすれ違ったままになっていないか。同じ方向を見つめて競技に打ち込んでいるか。部活動の在り方を、改めて考える大会になってほしい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年05月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:わいせつ教員対策法 性暴力根絶の一歩とせよ

2021-05-31 05:04:35 | 【事件・未解決・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・オウム事件・旧統一教会を巡る事件他】

【社説】:わいせつ教員対策法 性暴力根絶の一歩とせよ

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:わいせつ教員対策法 性暴力根絶の一歩とせよ 

 わいせつ行為で懲戒免職となった教員の免許取得を、都道府県教委が拒絶できる新法が28日に成立した。

 当事者、保護者をはじめとする世論の高まりが立法化を後押しした。優越的な立場を悪用した教員のわいせつ行為は許されず、子どもの性被害を防ぐ上で前進した。
 一方で新法は学校に防止や早期発見、調査などの対応を求めた。被害者の心に深い傷を残す性暴力はあってはならないものだ。新法成立を性暴力根絶への第一歩としたい。
 焦点だった免職者の免許再取得は、都道府県教委が拒絶権を持つことで、わいせつ教員が再び教壇に立つことのないよう歯止めをかけた。
 憲法が保障する職業選択の自由を制限する内容だが、子どもたちの人権を守るためには必要最小限の規制だ。
 免許再取得に当たっては更生状況などが適当と認められる場合に限定した。同時に第三者による審査会を設けることで公平性を担保している。
 新法の背景にあるのは、教員による不祥事の多さだ。文部科学省によると、2019年度にわいせつ行為やセクハラで懲戒処分や訓告を受けた公立小中高の教員は過去2番目に多い273人だった。
 県内では、13年に当時中学3年生の女子生徒が40代男性教諭からわいせつ行為を受け、後に自殺した。
 琉大大学院の村末勇介准教授によると、学校では犯罪が起こらないという「心理的死角」、教室など2人きりになる密室がある「構造的死角」があり、性暴力が起きる温床となっている。
 子どもの人権を守るという当たり前のことを教員に徹底する必要がある。現状、教員による性暴力がなくならないのであれば、それらの教員を教育現場から退けるのは子どもたちや保護者にとって自衛の手段である。
 施行後に重要となるのは防止策への取り組みだろう。
 新法は教員のわいせつ行為などを「児童生徒性暴力」と定義し、同意の有無にかかわらず禁止した。服の上から体に触ることや性的な言動も含めている。文科省は防止策をまとめた「基本指針」を策定することになっており、現場への周知が必要だ。
 併せて被害者の人権に配慮して医療、福祉、法律の専門家も協力した調査が教委に求められている。
 特に被害者への配慮が重要だ。90年代に中学教諭から性暴力を受けた札幌市の女性は「教諭は生徒を導く絶対的な存在と思っていた」と当時を振り返る。自身が性暴力の被害者だと理解するまで30年近い歳月を必要としたという。
 相手が教員であろうと嫌なことにすぐ声を上げられるようにするには、子どもたちへの人権教育、被害を訴える場の確保が必要だ。ましてや教員への信頼を悪用し、被害者が自身を責めることがあってはならない。教委や学校に課された課題は重い。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:虹色の絵本が描く社会

2021-05-31 05:04:30 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【金口木舌】:虹色の絵本が描く社会

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:虹色の絵本が描く社会

 日本で読み継がれている海外絵本に米国の絵本作家エリック・カールさんの「パパ、お月さまとって!」がある。月を取ってと娘にせがまれた父親が長いはしごを調達する。そこから始まるのは奇想天外な出来事

 ▼カールさんといえば、「はらぺこあおむし」で知られる。日本語版をはじめ70カ国以上で翻訳された。生き物を描いた絵本を得意とし、70冊以上の著書を送り出した。虹のような鮮明な色使いが真骨頂だ
 ▼少年時代を第2次世界大戦下のドイツで過ごし、空爆を避けるため灰色や茶色に塗られた家で育った。当時を「色のない、悲しい生活。私の作品の色彩は、それに対する反動からなのかもしれません」と語っていた
 ▼カールさんが91歳で亡くなった。華やかで多彩な色が印象に残るのは、今の時代がモノクロな空気に覆われているように感じるからだろうか。新型コロナウイルスの感染拡大は日本人の「同調圧力」をあらわにした
 ▼感染者への差別や中傷。コロナ禍で不満をため込んだ人が、他人のすきにつけ込みSNSで激しく批判する。差別の解消を求める障がい者や女性への過度なバッシング―。その息苦しさを色に例えるとモノトーン
 ▼カールさんが描いたような多様な価値観を認め合う社会とはほど遠い。カールさんは70冊以上の著書がある。多彩な色使いは今の時代だからより輝いて見える。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年05月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:沖縄への核報復容認 外交による緊張緩和を

2021-05-31 05:04:25 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説】:沖縄への核報復容認 外交による緊張緩和を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:沖縄への核報復容認 外交による緊張緩和を 

 沖縄に核攻撃が行われていたかもしれない、恐るべき事実が明らかになった。

 1958年の台湾海峡危機で米政府が中国への核攻撃を検討した際、米軍幹部が沖縄への核による報復攻撃を容認する意向を示していたのだ。沖縄返還交渉にも携わった元米国防次官補代理のモートン・ハルペリン氏が、台湾海峡危機について執筆した機密文書から明らかになった。
 過去の話としてやり過ごすわけにはいかない。最近の米中の対立激化で台湾海峡の緊張が高まっており、沖縄が攻撃の標的となる危機が再び現実味を増しているからだ。
 むしろ沖縄が戦争に巻き込まれる危険性は当時より高まっている。外交によって地域の緊張緩和の方策を探り、南西諸島で進む軍備強化の動きを押しとどめねばならない。
 沖縄が米施政下にあった冷戦期、米軍にとって沖縄は東アジアの核拠点だった。59年6月には、核弾頭を搭載したナイキ・ハーキュリーズミサイルが誤射され、那覇市沖の海中に突っ込んでいる。核巡航ミサイル「メースB」も配備されていた。62年のキューバ危機の際、沖縄のミサイル部隊に核攻撃命令が誤って出され、土壇場で発射が回避されたこともある。
 核配備に対する沖縄県民の危機感が「核抜き返還」の合言葉となり、沖縄の施政権返還を実現する原動力となった。だが、日米両政府は沖縄返還交渉に当たり、沖縄に再び核兵器を持ち込めるとする核密約を交わしていた。核の脅威は去っていない。
 現在の米中対立の中で、米側は、沖縄からフィリピンを結ぶ「第一列島線」に地上発射型の中距離ミサイル網を構築する構想を進める。核弾頭を搭載すれば核ミサイルとなる。当然、中国は対抗手段として沖縄の米軍基地を攻撃対象に定めてくるはずだ。
 中国の軍事力向上により、米軍が圧倒的な軍事力で中国を抑止できた1958年よりも台湾海峡危機のコントロールは難しくなっている。
 今月、陸上自衛隊と仏陸軍、米海兵隊が宮崎、鹿児島両県で「離島防衛訓練」を実施した。英国はインド太平洋へ空母打撃群を派遣する。欧州を関与させて対中けん制を狙うが、中国も対抗して軍拡競争を繰り返せば、安全保障のジレンマに陥る。かえって沖縄が戦争に巻き込まれる危険性を高めてしまう。
 台湾周辺で軍事行動を活発化させ、台湾侵攻が取り沙汰される中国にも大きな責任がある。中国の挑発的な行動や軍事拡張を改めさせる必要がある。だが、その解決に向けた手法は、相互に核を突きつけ合う軍拡のエスカレーションであってならない。
 太平洋戦争で本土防衛の「捨て石」となった沖縄が、再び国家に利用されることは断固として拒否する。粘り強く対話を重ねる外交によってしか、沖縄が戦争を免れ生き延びる道はない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:伝え続けることの大切さ

2021-05-31 05:04:20 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【金口木舌】:伝え続けることの大切さ

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:伝え続けることの大切さ

 「この世界でナイルパーチは旅をする銀の鱗(うろこ)をなくした夜も」。県出身モデルで女優の知花くららさんの短歌だ。知花さんは国連の世界食糧計画(WFP)日本大使としてアフリカなどの貧困や食料不足の問題を伝えている
 ▼ナイルパーチは白身魚のフライなどに使われる代用魚だ。歌人の黒瀬珂瀾(からん)さんはこの歌を「自分の名前を呼ばれず、個々の人間として扱われない難民の人々の厳しい境遇を(代用魚に)重ねている」と評価した
 ▼アフリカ中部のコンゴ(旧ザイール)で22日、ニーラゴンゴ山が噴火した。溶岩が住宅街を覆い、30人以上が死亡。5千人以上が家を失ったという。国連児童基金によると170人以上の子どもが行方不明になった
 ▼コンゴは天然資源が豊富でスマートフォンなどに使われるコバルトの主要産出国だ。ただ世界銀行によると1日1・9ドル(約200円)未満で暮らす貧困層が半数以上に及ぶ
 ▼知花さんは4年前、本紙の取材に「空腹で体が弱っていく人と出会うが、その感覚は想像できない」「完全な共感は難しい」と話している。ただ状況を具体的に話せば「目の色が変わり、興味を持っていただける」と地道に伝え続けることの大切さを強調した
 ▼海外の状況は十分に沖縄まで伝わらないことも多い。それでも一人一人がわがことと考えれば国際的な支援を広げる一歩になるはずだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年05月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:合同委議事録不開示 命より対米重視に抗議

2021-05-31 05:04:15 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説】:合同委議事録不開示 命より対米重視に抗議

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:合同委議事録不開示 命より対米重視に抗議 

 米軍嘉手納基地周辺の河川から発がんリスクなどが指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題を巡り、外務省が基地内立ち入り調査に関する日米合同委員会の議事録や関係資料を不開示とする決定を下していたことが明らかになった。

 公にすることで「国の安全が害される恐れ」や「米国との信頼関係が損なわれる恐れ」などがあると説明している。国民の命より国家の安全と対米関係が大事なのか。県民軽視の姿勢に強く抗議する。
 政府に合同委の議事録と関係資料の開示、汚染原因特定のため基地内の立ち入り調査の早期実現を求める。
 県内の有機フッ素化合物のPFOSやPFOA問題は、2016年1月に県企業局の調査で発覚した。
 県は同年6月に基地内への立ち入り調査を求めたが、米軍は拒否した。国が水道水中のPFOSとPFOAに関する暫定目標値を設定したことを受け20年5月、県は沖縄防衛局を通して再び基地内への立ち入りを求めたが、現時点で政府から正式な回答は来ていない。
 PFASは自然環境中でほとんど分解されない。人や動物の体内に長く残留する。発がん性のほか、出生時の体重に影響が生じる。
 小泉昭夫京都大学名誉教授(環境衛生学)が指摘するように「5年間も汚染源の特定すらできず放置されている状況は深刻な問題」であり、県民の命を長期間危険にさらし続けている。
 県企業局が管理運営する北谷浄水場は、PFASを除去するため総工費が当初予定の13億円から約16億円に増加した。3分の1は水道料金を財源とする企業局予算から捻出する。本来必要のない支出だ。
 日米合同委員会は日米地位協定に基づき設置され、外務省北米局長と在日米軍副司令官が両政府を代表する。外交官ではない軍人がトップに立つのは文民統制の観点からいびつだ。沖縄返還を機に駐日米大使が、日米合同委の代表権を米軍から大使館に移管するよう求めたが拒否され、現在に至っている。
 議事録や協議内容は原則的に非公開で決定過程が不透明だ。国会や国民の目の届かない場で、凶悪犯罪を除き米兵の裁判権を日本側が放棄した秘密合意などが交わされた。
 韓国は17年の韓米合同委員会で、軍事機密など内部情報を除き公開可能な情報を国民に公表することを合意した。なぜ日本はできないのか。米国に従属する姿勢は主権国家とは言えない。米軍に特権を与える日米地位協定を根本的に見直さなければならない。
 一連の資料は琉球朝日放送報道制作局が開示請求した。同局ディレクターは「日米政府間で具体的な議論が積み上げられた形跡すら感じられない」と指摘する。行政の不作為が明らかになることを恐れたから不開示なのか。そう勘ぐられても仕方ない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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