【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.14】:ピント外れのこども家庭庁「こどもまんなか」政策 “10兆円”の行方は
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.14】:ピント外れのこども家庭庁「こどもまんなか」政策 “10兆円”の行方は
三重テレビのニューススタジオ。先日のゲストは「こども食堂・太陽の家」代表の対馬あさみさんだった。7人に1人の子どもがおなかをすかしているいまの社会。だけど太陽の家は食堂だけではない。1人親家庭の悩み、保育園問題、コロナ離職、介護、いじめ、不登校…。子どもも大人も本音をぶつけあう。
「だけど、それってみんな『こども家庭庁』がやるべきことじゃないの?」。コメントで思わず、私の最近の思いが口をついて出た。
昨年、年間予算5兆円でスタートした「こども家庭庁」。これに加えて岸田政権は少子化対策に本年度5兆円の特別会計を組むことにした。
だけどこども家庭庁が打ち出した「こどもまんなか」政策は、サッカー少年を応援する「Jリーグとのコラボ」だったり、子育て中の家庭を若者が訪問する「家族留学」。さらには博物館、美術館のこども優先レーンだという。一体これらのどこが、いじめや不登校、ワンオペ育児に悩むこどもや家庭のための施策なのか。
5兆円もの少子化対策では、特別会計(特会)が亡霊のごとく現れた。特会は国会の審議を経る一般会計と違って、ノーチェックの便利なお財布。かつては道路やハコモノにバラまかれ、「母屋(一般会計)がおかゆをすすっているのに、離れ(特会)ではすき焼きを食っている」と批判されて縮小したものが復活してきたのだ。
こども家庭庁と特会で合わせて10兆円。民間の寄付に頼るこども食堂にとって、仰ぎ見る金額ではないか。
ちなみに取材させてもらった日のこども食堂のメニューは、安くて栄養満点、チンジャオロースと具材たっぷりいろいろおにぎりでした。
◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)
ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。
■大谷昭宏のフラッシュアップ
元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】 2023年08月14日 08:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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